私は2回、結婚と離婚をしておりまして、今回は「元夫」の前の、最初の夫だった人のお話です。
何回かブログにも書いていますが、私が最初の離婚をした原因は、夫の不倫です。
あまり思い出したくない出来事ですが、もしかしたら日本のどこかの、誰かの、何かの参考になるかもしれないので、書くことにしました。
私と最初の夫は高校の同級生で、高校2年から交際を始め、7年付き合った後に結婚しました。
お互いに異性は1人しか知らず、真面目に相手一筋の交際でした。
結婚してからも仲睦まじく、息子も授かって、幸せを絵に描いたような家庭でした。
結婚生活8年目、夫が職場の女性と不倫を始めました。
私はまったく気づきませんでした。
高校2年から一緒にいた夫が、自分を裏切るなんて夢にも思っていなかったのです。
不倫を初めて半年くらいすると、夫の愛情が冷めてきたのを感じました。
それでも浮気を疑うことはなく、自分が悪いのだと思い、オシャレしたり、料理を勉強したり、にこやかにすることを心掛けたり、一生懸命自分磨きをしました。
夫の帰りは徐々に遅くなっていき、飲み会が増え、休日出勤が増えていきました。
そんなある日、クリーニングに出そうとしたスーツのポケットに女性からのメモが入っているのを見つけ、不倫が発覚しました。
メモを持つ手が震え足もガクガクして、倒れそうになりながらリビングまで行き、夫に聞きました。
夫が不倫を認めた瞬間、顔の表面がサーッと氷のように本当に冷たくなりました。
夫は潔く認め、土下座をして謝り、すぐに別れる、二度と会わない、と約束しました。
翌日から地獄が始まりました。
最初は裏切られた悲しみです。
今でも鮮明に覚えているのですが、車を運転をしていて、ふと気づくと、景色が白黒に見えていたことがあります。
精神的なショックが大きすぎて、脳がうまく機能していなかったのだと思います。
人生で付き合った男性は夫のみですから、失恋した経験もなく、免疫がゼロだったのです。
10日間くらい、一切物が食べれなくて、一気に痩せてしまいました。
ふらふらで立っているのが困難になったので、これは何か食べないと死んでしまう、と泣きながら無理して食べた記憶があります。
裏切られたショックと夫が他の人を好きになった悲しみが少し落ち着いてくると、 (それは最後まで消えませんでしたが) 今度は夫を疑う苦しみが襲ってきました。
夫はもう会っていない、と言っていましたが、帰りが異常に遅かったり、飲み会だと言われると疑ってしまいます。
そうなると、今度は疑う自分を責めてしまうのです。
結果から言うと、夫は別れたと言いつつ、しっかり関係を続けていました。
ですので、会った証拠などが時々、ポロッと出てきたりして、ますます私は疑ってしまう・・・という繰り返しでした。
この、 ”疑う” という感情は人をボロボロにします。
私は毎日毎日、この疑いと戦っていました。
その時の私は夫を好きだと思っていました。
だから別れたくない、と強く思っていました。
今、冷静に考えると、本当に好きだったのか疑問です。
夫が他を向いていたから、離れていくのを手放したくなかったから、その感情を ”好き” と置き換えていたような気がします。
夫に去られて、1人残されるのが怖かったのです。
不倫発覚から1年以上、 ”おかしい、やっぱりまだ会っているのでは?” と疑い、疑った後で ”やり直そうって夫が頑張っているのに疑うなんて最低” と自分を責め、本当に苦しかったです。
その間に、夫と不倫相手がいる現場に遭遇したり、不倫相手の同棲している彼氏から 「お宅のダンナ、どうにかしてもらえませんか」 と電話をされたり、不愉快な出来事がたくさんありました。
それでも、離婚すると子供が可哀想だから・・・夫が好きだから・・・とやり直そうと頑張っていました。
夫は事が起こるたびに、今度こそ本当にもう会わない、約束する、信じてくれ、と言っていましたが、相手とは別れられないようでした。
発覚からちょうど1年、季節は春でした。
私は窓の外をぼんやり眺めていて、 ”人生ってつらいなぁ・・・” と思いました。
”マンションの屋上から飛び降りたら、楽になるかなぁ・・・”
・・・と、無意識に考えてしまった時に、初めて、自分の精神状態は本格的に危ないかもしれないと思いました。
気をしっかり持っていなければ、発作的に何をするかわからない、逃げないで、ちゃんと考えよう、という気持ちが芽生えました。
その数日後にまた彼女の同棲相手から電話があり、夫を訴えるだの何だの言ってきました。
その日はたまたま夫がいたので、夫が 「もう二度と会いません」 と応対していましたが、同棲相手は気が収まらないようで、一度ちゃんと謝ってもらいたい、ということになりました。
翌日、待ち合わせをし、待ち合わせをした駐車場で、夫は車から降りて向こうの車に行き、同棲相手に謝っていました。
私が助手席で待っていると、彼女が来て 「申し訳ございませんでした。もう二度と会いません、ご迷惑はおかけしません」 と謝りました。
正面切って謝るのはつらいことだし、屈辱だし、これで本当に不倫はやめるだろうと思いました。
彼女に 「約束出来るの?」 と聞くと 「はい」 と言うので、 「私は夫ではなく、あなたを信じます」 と言いました。
その後、2ヶ月くらいはおとなしくしていましたが、彼女が同棲相手と別れて引越しをし、2人はまた会うようになりました。
さすがにここまでくると、私も ”好きだから信じる” ”我慢する” と言っている場合ではありません。
ちゃんと考えないと、無意識に ”疲れた・・・楽になりたいなぁ” という感情が出てくるのです。
専業主婦をしていると、何故か夫が人生の主役のような錯覚に陥ります。
夫がいて、私、という考えになってくるのです。
この時も、主役は夫と彼女、私は2人が不倫をやめるのを受け身で待つだけ、みたいな考えになっていました。
でも、私の人生の主役が夫のはずがありません、私の人生の主役は ”私” です。
それまでの自分の人生を、幼少期から結婚まで振り返り・・・こうしてつらい立場になる為に、私は一生懸命生きてきたのではない、と思いました。
つらい思いをする為に、この世に生まれてきたのではありません。
つらい思いで毎日泣いて暮らすように、親は私を大事に育ててきたのではありません。
この状態に留まっていいはずがありません。
自分が死ぬ時、夫が浮気をしなかったから私の人生は幸せだった、夫が浮気をしたから私の人生はつらかった、と夫の行動が幸せの判断基準になるのはおかしいと思いました。
私は私の人生に責任があります。
別の角度から考えてみると、私は夫を生涯、二度と丸ごと信じることは出来ないと思いました。
この彼女と別れても、また帰りが遅くなれば、違う浮気を疑うでしょう。
夫といれば、一生、疑う感情と生きていなかければなりません。
それは私にとって幸せなのか・・・と思った時、 ”疑う” という苦しい感情を持つくらいなら、1人ぼっちで寂しい方がいい、と思いました。
そしてもう二度と・・・不倫前の何の屈託もなく笑って過ごしていた夫婦には戻れないことを実感しました。
「別れよう!」
そう決心すると、その瞬間から、心の真っ黒い霧が晴れ、憑き物が落ちたように周りがよく見えました。
夫という人物、自分の人生、息子のストレス・・・。 (私が暗く笑わない毎日だったので息子もうつっぽくなっていました)
そして、もう一つ、心から思ったことがあります。
”私は絶対に大丈夫”
これだけのつらい日々に耐えてこられたのです、この先少々のことがあっても大丈夫、生きていけるはずです。
離婚したって、次の人と巡り会えなくったって、私は堂々と胸を張って生きていけます。
不倫をしたのが私でなくて良かった、された方で良かった、と思いました。
離婚をこちらから切り出すと、夫は逆にオロオロして、 「本当に別れるつもり?」 などと言うので笑ってしまいました。
「もうちょっと待ってくれたら、熱が冷めてお前に戻るのに・・・」
うわぁ、この人何様? なんで私がじっと待たなければいけないのよ、と思いました。
一旦腹をくくって決心したら、強いですね、女は。
こうして、不倫発覚から、1年4ヶ月後に離婚したのでした。
この時間は決して無駄な時間ではなく、私にはこれだけの時間が必要だったのだと思います。
しっかり悩んで、苦しんで、考えて、それからの決断だったので、離婚後に後悔は一度たりともしませんでした。
離婚は次の幸せへのための扉だったと思います。
開けなければ先へ進めませんでした。
離婚してしばらくたって・・・夫がやり直そう、と言ってきましたが、 (彼女と同棲していたのに、です) 信頼が出来ない人と一緒に人生は歩めないのでお断りしました。
次の夫と出会うのは、もう少し先の話です。