介護の仕事は女性が圧倒的に多く、私の職場も例外ではありません。

女性ばかりですので、職場のあちこちでいろいろと人間関係のトラブルが起こっています。

セクションごとに問題があると言っても過言ではないくらいです。

私が所属する事務所には、事務員は長い間1人でしたが、2ヶ月ほど前にもう1人補充されました。

ベテラン事務員Pさんと、新人のQさんは、この2ヶ月間平和に仕事をしてきました。

が、ここ最近、2人の仲が険悪ムードなのです。

この2人は私と家の方向が一緒なので、退社時間が合えば近所の駅まで車で送ってくれます。

まず最初に、Pさんに送ってもらった時に、Pさん側からの話を聞きました。

話を要約すると・・・。

その日はQさん担当の勤怠の仕事の締切日でした。

夕方だというのにまだデータ送信をしてなくて、間に合わないのではないか、とPさんはヤキモキしていました。

万が一、締切に間に合わなかったら、本社から電話がかかってくるからです。

Qさんはまだ慣れていないので、処理に時間がかかっているようでした。

Qさんは必死でやっています。

可哀想だし、手伝ってあげようかな、とPさんは思いましたが、手伝いませんでした。

考えてみると・・・Qさんはいつも昼休みを1時間きっかり取り、3時にケアマネたちとお茶を飲んでおしゃべりをし、くつろいでいます。

Pさんは忙しいのでお昼は15分しか取れず、あとはお茶も飲まずにノンストップで仕事をしています。 

福祉用具もそうですし、訪問介護も同じように昼休憩すら十分取れずに働いているのに、QさんだけがノンビリしていることにPさんは腹が立ってきました。

休憩時間を取らない私が、なんで休憩時間を取っている人の手伝いをしなきゃいけないのよ、Qさんは仕事の最中でもおしゃべりに夢中になって手が止まることもよくあるし、第一彼女は手伝ってくれたことなんかないのに、どうして私だけが・・・と怒りはエスカレートしていきました。

Pさんは、そのまま知らん顔をしていました。

時間ギリギリになって、Qさんが 「ここがわからないので教えて下さい」 と言い出し、わからない所があったのなら、なんでもっと早く聞かなかったの! とPさんはさらに腹が立ちました。

ですが、仕方がないので手伝ってあげ、その仕事は何とか無事に締切に間に合ったのでした。

「あの子、人が手伝ってあげてるのに、なんかふて腐れた態度やってなー、むっちゃムカついたわ~」 とPさんは言っていました。

そして、それから数日後、今度はQさんと退社時間が一緒になったので、送ってもらいました。

Qさん側からすると・・・。

締切の時間が迫ってきて、本人はとても焦っているのだけど、やり方がイマイチよくわかっていないせいか、なかなかはかどりません。

PさんはPさんの仕事があって忙しそうだし、手伝いを頼むと悪いので遠慮していました。

が、もうこれ以上モタモタしていたら締切に遅れる、というところで、Pさんに質問をしたら、何故かPさんは機嫌が悪く、返事がぶっきらぼうでした。

「なんでちょっと聞いただけやのに、そこまで嫌そうな顔するねん! 元はと言えばアンタの教え方が悪いからやんか!」 とQさんは心の中でブチ切れました。

それは態度に表れ、というか、ムカついたのでわざとふてぶてしい態度を取ったのだそうです。

こうして、2人の間に溝が出来・・・日々それが深まり、険悪なムードになっているのでした。

Pさんは最初、手伝ってあげよう! と思ったのに、それをしませんでした。

しなかった為に、言い訳を自分の中で作りました。

手伝わなかったのは私が悪いのではなく、Qさんが悪いのだ、と。

でも、手伝おうと思った瞬間のQさんは ”必死で頑張っているが、慣れていないので手間取っている可哀想な後輩” でした。

しかし、わずか数分後にQさんは ”怠け癖のある仕事を一生懸命しない人” に変化していました。

この間、Qさん自身に変化はありません。

ただ、仕事をしてただけです。

Pさんの心の中だけで変化が起こったのでした。

あれ?

これと同じ現象をどこかで・・・??? と考えて、思い出しました。

ずいぶん前に読んだ本に、同様の話が書いてあったのです。

”自分の小さな「箱」から脱出する方法” という本で、海外の翻訳本です。

有名な本なので、お読みになった方もたくさんおられると思いますが、私の印象に残っている話を一つだけ書いておきます。

夜中、寝ている時に赤ちゃんが泣きました。

私は気づいて目が覚めましたが、妻はぐっすり寝ています。

妻は疲れているのだろう、起こすと可哀想だから寝かせておいてあげよう、私が起きよう、と思いました。

でも、私は起きませんでした。

よく考えると、私は明日、会社に行かなければなりません、仕事もしないといけないのです、だから寝ておかないと体が持ちません。

ここは妻が起きるべきなのです。

それなのに平気でグーグー寝ている妻はなんてひどい人間なんだ! と思います。

そういえば妻には怠け者の部分があるし、思いやりに欠けているところもある! と腹が立ってきます。

でもここで、心の動きを分析すると・・・。

一番最初に私は、妻の為に何かしてあげるべきだと思いました。

その思いは私自身の純粋な気持ちでした。

ですが、私は私自身を裏切って、起きませんでした。

”人に対して自分はどうあるべきか” という自分自身の感情を裏切りました。

こうして一旦自分の感情にそむくと、周りの世界を、自分への裏切り行為を正当化する視点から見るようになります。

正当化するために、相手の欠点を並べ、自分が被害者になります。

相手が悪いから起きなかったのであって、私が悪いのではない、という論理です。

妻に変わりはなく、ただ寝ているだけです。

自分の感情に変化がおきて、 ”寝かせてあげたい愛する妻” から ”怠け者で思いやりがない妻” になりました。

現実を見る目がゆがめられてしまったのです。

・・・とまあ、こういう内容でした。

ずいぶん前に読んだので、細かい部分は違っているかもしれませんが、こんな感じでした。

Pさんの話に戻りますが、最初に ”手伝ってあげよう” と素直に思った自分自身を、Pさんは裏切りました。

Pさんの本心は、困った人がいたら助けるべき、と思っているのです。

それを裏切って助けませんでした。

その行為を正当化するために、次々に言い訳を作成し、それによってイライラし、機嫌が悪くなったのでした。

Qさんはその微妙な心の動きを察知し、こちらも過剰反応したために、仲が悪くなったのです。

実は、Qさんが休憩時間をキッチリ取る件は、当たり前のことであり、誰も何とも思っていません。

自分たちは、休憩するよりも早く仕事に取り掛かりたい、と勝手に休憩時間を切り上げているだけなのです。

Pさんも、常々そう言っていたし、不愉快でも何でもなかったはずです。

なのに、現実を見る目がゆがんでしまうと、それが怠け者、と映るのです。

視点は正しく持たないと、見ている現実が変わってしまします。

”自分を裏切る” ことは怖いことなのだ、と改めて思いました。






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