他国より低い「お給料」…緊急事態宣言下で「どうにか働く日本人」の悲劇 | 時事刻々

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他国より低い「お給料」…緊急事態宣言下で「どうにか働く日本人」の悲劇

GGO編集部

オリパラ開催、緊急事態宣言延長、再発令。コロナ感染拡大が1年以上も続くなか、「働く日本人」の現状は、深刻さを増しています。

「極めて残念であり、到底納得できるものではない」

7月4日、中央最低賃金審議会は、2021年度の最低賃金の目安を28円引き上げ、全国平均「930円」とすることを取り決めました。過去最大の上げ幅に、明るいニュースと喜ぶ人がいる一方、日本商工会議所はHPに『地域別最低賃金額改定の目安に対するコメント』を掲載、コロナ不況の中での引上げを猛烈な言葉で非難しています。

“最高額となる大幅な引上げとなったことは極めて残念であり、到底納得できるものではない。”

“多くの経営者の心が折れ、廃業が更に増加し、雇用に深刻な影響が出ることを強く懸念する。”

――日本商工会議所 2021年7月14日『地域別最低賃金額改定の目安に対するコメント』より

日本・東京商工会議所は2021年4月5日『最低賃金引上げの影響に関する調査』においても、最低賃金の現況を調査し、負担に感じている雇用主の実態を明らかにしていました。驚きと怒りをもって掲載されたコメントに、雇用主と労働者、双方の悲惨な実態を窺い知ることができます。

「平均930円」は夢のまた夢か…日本の恐ろしい現状

OECD(経済協力開発機構)発表の「Real minimum wage(実質最低賃金)」を見ると、日本の最低賃金の水準が英仏独などの金額の6~7割程度に留まっており、先進諸国と比べてはるかに低いことが明らかになっています。

現状の最低賃金はいくらなのか。厚労省の発表より都道府県別に見ていくと、現在の最高額は東京「1013円」、次いで神奈川「1012円」となっています。第3位が大阪「964円」、そして第4位が埼玉「928円」です。

つまり、47都道府県あるなかで、930円を超えているのはわずか3都府県。900円台を保障している県さえ、大阪・埼玉・愛知・千葉・京都・兵庫の6府県に留まります。そのほかの地域では800円が続き、もっとも最も低いのは「792円」です。中央最低賃金審議会の言う「平均930円」との現状のかい離が鮮明になります。

最高額である東京都と比較すると、792円では「221円」もの差額が算出されます。8時間労働で換算してみると、1日あたりの差額は「1768円」にのぼります。

米国の最低賃金1600円の衝撃…露わになる日本の貧困

ちなみにアメリカ。バイデン氏が大統領令に署名し、最低賃金を3割超引き上げ、15ドル(日本円で約1600円程度)にすることを取り決めたことが話題になりました。

最低賃金1600円。現在の日本の最低賃金加重平均は902円ですから、1.7倍以上の差が開くことになります。アメリカではもともと最低賃金が他国と比べて低いことを指摘されていましたから、2国を並列して語ることは安直ともいえますが、そうは言ってもあまりの金額の差に、惨憺たる思いを抱える人もいるかもしれません。

なお厚生労働省ホームページ『必ずチェック最低賃金』には、下記のように記されています。

「最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です」

……実際のところ、ネットには「余裕で最低賃金以下なんだけど」「全然払ってもらえない」といった悲痛な声が散見されています。地域別最低賃金以上の金額を支払わない場合は、罰則(50万円以下の罰金)が定められていますが(特定産業別最低賃金の場合には、罰則もしくは30万円以下の罰金)、その現状は「悲惨」そのものといえます。

民間の平均給与「436万円」の悲惨

令和3年現在、日本の雇用者は約5601万人(役員を除く)。一方、正規職員・従業員は約3546万人、非正規職員・従業員は約2055万人います。

『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和元年)によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は436万円(男性540万円、女性296万円)です。内訳としては、平均給料・手当が366万円(男性449万円、女性253万円)で、平均賞与は70万円(男性91万円、女性43万円)となっています。

「給料を上げてほしい」「上げたくても上げられない」。労働者の悲鳴と雇用者の苦しみ、どちらもすくいあげることは不可能なのでしょうか。オリンピックが続くなか、東京では新型コロナ感染者数が過去最高を更新、緊急事態宣言の延長及び再発令が決まった今、「働く日本人」は、過去稀に見るほどの厳しい局面に立たされています。