山本太郎「れいわ現象」の本当の正体とはなんだったのか?
(本記事は、牧内昇平氏の著書『「れいわ現象」の正体』=ポプラ新書、2019年12月11日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
■「れいわ現象」を巻き起こした男
渡辺氏が数分間思いをぶつけた後、主役の登場である。
ターコイズブルーのTシャツ姿。候補者のたすきを肩にかけている。ステージにのぼると、聴衆が息をのむのが感じられる。それほど、この人はいま人びとの心をひきつけている。
山本太郎、44歳。
「反原発」をかかげて2013年に初当選した俳優出身の政治家だ。6年後の2019年4月に自由党を離れ、小沢一郎氏とも袂を分かち、新たな政治団体「れいわ新選組」を一人で立ち上げた。この夏の「れいわ現象」を巻き起こした張本人である。
この夏の参院選でのれいわ新選組の躍進は、「れいわ現象」と呼ぶべきだ。
選挙期間中マスメディアはほとんど報道しなかったが、代表の山本氏の街頭演説が話題を呼び、SNSを中心に着々と支持を広げた。党としては比例区で228万票を獲得し、重度障がい者の舩後靖彦氏、木村英子氏の2人を国会に送り込んだ。山本氏は全国の比例候補で最多の99万票を集めたものの、2人の当選を優先したため、自らは落選した。
選挙後、山本氏はいわゆる「時の人」になった。メディアへの露出も増え、次の衆院選に向けて、野党結集の中心人物の一人と目されている。「国会の野良犬」と呼ばれた男がどこまで突き進むのかーー。注目度は高まるばかりである。
■「れいわ現象」の本当の正体
一方、「れいわ現象」とは結局なんなのか。巻き起こしたのは山本氏だが、その背景にあるもの、「本当の正体」はなんなのか、その深掘りはさほど行われていない気がする。消費税廃止などの経済政策が分かりやすかった、山本氏の歯に衣着せぬ物言いが既存政党への批判票を集めたーー。どれも正解には違いない。
でも、本当にそれだけだろうか。どこか「上から目線」、他人行儀な分析ではないだろうか。もっと大事なこと、人びとの心にストンと落ちることがないだろうか。
わたしは「れいわ現象」の背後にあるものを正確に言い切る自信がある。それは、現代社会を覆う「生きづらさ」である。
なぜ、そこまで自信をもって言い切れるのか。それは、この夏ずっと、れいわ新選組を支持する人びとの話を聞き続けてきたからだ。貧困にあえぐシングルマザーから大企業のエリートサラリーマンまで、さまざまな人びとに声をかけ、ファミレスでじっくり話を聞いたり、ときには居酒屋で酒を酌み交わしたりした。取材を続けた結果、多様な支持者たちをくくるキーワードとして、「生きづらさ」という言葉がしっくりきたのである。
本書はこれから、れいわを支持する市井の人びとの声を紹介していく。ふだんどんな生活を送っている人たちがれいわ新選組に一票を投じたのか。山本氏の演説のどこに心を打たれたのか。そういったことを書いていく。貧困、病気への偏見、性の悩み……。さまざまな生きづらさを抱えた人びとが登場する。
本書の目的は特定の政党への支持を広げることではない。まして、「山本太郎というすばらしい政治家がいる」と喧伝したいのではない。たしかに、「生きててくれよ!」と叫ぶ彼の演説は人びとの心を打った。生きづらい人びとを勇気づけ、政治に関心が薄かった人びとの一部を目覚めさせた功績はとても大きい。一方で、彼の政治家としての資質やかかげる政策については、わたしの中で評価が定まっていない部分はある。
そうした前提を置いた上で、本書では、れいわ現象をきっかけに浮かび上がってきた「生きづらさ」を再確認していきたい。もちろん、なんらかの困難を抱えた人が全員、れいわ新選組を支持しているわけではない。その中の一部に過ぎないだろう。だが、設立まもない政党がこれだけ注目の的になり、数億円の寄付を集めるというのは特異な現象である。このため、この党の支持者たちに焦点を当てようと思った。れいわ新選組の支持者ばかりをたくさん紹介するのだから、必然的にれいわと山本氏を肯定する言葉が頻出する。しかし、読者の方々には、その言葉の表の意味よりも、背後にある状況について思いをはせてほしい。つまり、政治家に「生きててくれよ!」と語りかけてもらう必要があるほど、生きづらい人びとがたくさんいるという現実をどう考えるかだ。
世の中にもやもやと漂う「生きづらさ」と真摯に向き合うことは、社会をよくする出発点になると思う。れいわ新選組を支持するか支持しないかに関係なく、本書を「生きづらさ」について考えるきっかけにしてほしい。
牧内 昇平
1981年3月13日生まれ。朝日新聞記者。2006年東京大学教育学部卒業。同年に朝日新聞に入社。経済部記者として電機・IT業界、財務省の担当を経て、労働問題の取材チームに加わる。主な取材分野は、過労・パワハラ・働く者のメンタルヘルス(心の健康)問題。共著に『ルポ 税金地獄』(文春新書)がある。過労死問題については、遺族や企業に取材を重ね、過労自死をテーマにした「追い詰められて」などの特集記事を数多く執筆し、それらを元に2019年3月に『過労死』(ポプラ社)を上梓。過労死の凄まじい実態をあぶりだしたとして話題になる。
「れいわ現象」の正体 (ポプラ新書) 968円 Amazon |
古希の手習い@kokinotenarai貧困への問題意識をベースに原発反対派や現政権への批判層が折り重なって「れいわ現象」が生じている……。支持者の話を聞きながら、私はこうした認識を持ちました。しかし、取材を進める中で、「より深い側面」があることも見えてきたのです。
2020年01月02日 21:31
あブラだこす F◇CK ! A・B・E@aburadakosそうかあの時、私は民主派サイドからあの現象を見ていたわけだけど、民主党、民進党の中にも同じ様に危惧していた人達がいて、あの希望の党の一件からしっかり学んだ人達が民進党支持→りっけん支持になって、今、山本太郎によるれいわの件で団結してるんだな。
2020年01月02日 14:32
Kayachan @祝❗️安倍内閣退陣🎉@Mr_Kayachan牧内昇平さん『「れいわ現象」の正体』(ポプラ社)正直、ブームを推す本はもういらなかった。けれどこの本は違う。れいわ新選組を媒介に、現在の日本社会の声なき声を届ける本。そして支持者の方にこそ読んで欲しい。あなたがれいわを応援したいと思った最初の気持ちに立ち返ることができる。 https://t.co/xo7ptEOkja
2020年01月02日 17:58
牧内昇平・朝日新聞@makiuchi_shohei「れいわ現象の正体」の内容の一部を現代ビジネスで紹介していただきました。貧困ゆえに大学を卒業できない若者について書いてます。読んでみてください。 https://t.co/FsHfOdDMis
2019年12月26日 11:48
Naomi@Naonaothai8ホントにその通りなんです!生きづらい山本太郎「れいわ現象」の本当の正体とはなんだったのか? https://t.co/nycm6FckkE @theownerjpから
2020年01月02日 20:30
山本太郎 の なかまです!団長 !iNo!#太郎さんに援護射撃を!《れ組調査平団》@ippoippomaehe【拡散希望】※多くの人に全国へ[原点]本当の《山本太郎》を《山本太郎》に興味のない人に知って欲しい!【事実】《れいわ新選組》現象にはぶっちゃけ怖さを感じている人もいると思う。でも原点はこれなんだ【重要】@ippoippomaehe←フォローのおねがい⚫︎市長選までに5千人《拡散》力強化の為 https://t.co/nTMVXqHLjs
2019年12月30日 18:45
むうたん❤︎れいわが始まる@MisatoFloveなぜ“生きにくい”人々は「れいわ新選組」を支持するのか?『「れいわ現象」の正体』に「電車の中だったのに涙が出てきた」と反響続出 | ダ・ヴィンチニュース https://t.co/Ms9yeRjkP4 @d_davinciより
2019年12月24日 07:33