CD管をコンクリートに埋込せず屋内で露出で施工できるか? | 音響・映像・電気設備が好き

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CD管をコンクリートに埋込せず屋内で露出で施工できるか?SNSで議論が交わされたので筆者もまとめてみました。と、いいますか火を見るより明らかです。CD管は延焼性のため露出で施工できません。露出で施工を行う為には不燃材に収めるか、非延焼性であるPF管を使用する必要があります。どんなに御託を並べてもこれは覆りません。

 
 
  • 最初に確認する各種法令、定義など


・第一種電気工事士試験 令和4年度(2022年) 午前 問28(一般問題 問28)
合成樹脂管工事に使用する材料と管との施設に関する記述として、誤っているものは? との設問。4択問題のうち、誤っている項目は「CD管を点検できる二重天井内に施設した。」である。

 

筆者補足:CD管はコンクリート埋込専用である為、露出での施工は不可。

 

 


・JIS C 8411:2019 合成樹脂製可とう電線管

※JISは公式サイトで登録を行うことで閲覧が可能です。ですが、解説は購入をしないと閲覧はできません。

 

 

耐燃性による分類は、次による。a)非延焼性の電線管:PF管、b)延焼性の電線管:CD管

筆者補足:2019年の改正で「非延焼性」と「延焼性」に変更された。(解説より。購入しないと読めない部分)JIS C 8411:2019 合成樹脂製可とう電線管では耐候性は定められておらず、試験もない。PF管は耐候性がある、CD管は耐候性がない、とする記述はJIS規格では無くメーカ見解と理解できる。

 

7.1 色
色は、次による。
a) 延焼性の電線管は、オレンジ色を基調とする。これは、塗装又は表面処理によって着色したものであってはならない。
b) 非延焼性の電線管は、任意の色とする。ただし、黄、オレンジ又は赤とする場合は、非延焼性である旨を製品上に明確に表示しなければならない。



・電気設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十二号)
第三節 保安原則
第一款 感電、火災等の防止
(電気設備における感電、火災等の防止)
第四条
電気設備は、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。

 


・電気用品の技術上の基準を定める省令(平成二十五年経済産業省令第三十四号)
第三章 危険源に対する保護
(火災の危険源からの保護)
第九条 
電気用品には、発火によって人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように、発火する温度に達しない構造の採用、難燃性の部品及び材料の使用その他の措置が講じられるものとする。

 

 

・JIS C 8461-1:2025 電線管システム-第1部:通則
13.1.3 火災の延焼
非延焼性の電線管システムは、延焼に対して十分な耐性をもたなければならない。
注記 JIS C 60364-4-42:2020の422.3.4及びJIS C 60364-5-52の附随書F(電線管方式の選定)には、延焼性電線管は、コンクリートなどの不燃性材料に埋め込まれない限り、建物での使用には適していないと規定されている。

筆者補足:JIS C 60364-4-42:2020の422.3.4は「特別な火災の危険がある場所の予防措置」に関する内容なので取り上げるにはフェアではない(下記に引用)。また、電気設備の技術基準の解釈第218条においてもIEC※JISでもある 60364-4-42(2014) 低圧電気設備-第4-42部:安全保護-熱の影響に対する保護を引用しつつ422を除くとしている。


・JIS C 60364-4-42:2022 低圧電気設備-第4-42部:安全保護-熱の影響に対する保護 

421 電気機器に起因する火災に対する保護
421.1 一般要求事項
この規格の要求事項及び機器製造業者の指示を考慮した上で、電気設備で発生又は伝ぱ(播)する熱又は火災に起因して発生することがある損害又は損傷に対して、人、家畜及び財産を保護しなければならない。
電気機器から発生する熱が隣接する固定材料又はそのような機器に近接することが予測できる材料に対して危険又は有害な影響を引き起こしてはならない。電気機器は、隣接する材料に火災の危険を与えてはならない。

 

422 特別な火災の危険がある場所の予防措置

422.3 処理又は貯蔵物質の性質による火災の危険がある場所

422.3.4 配線及び配線設備が不燃材の中に埋め込まれる場合を除き、非延焼性配線設備だけを使用しなければならない。
機器は、少なくとも、次の要求事項に従って選定しなければならない。
電線管システムは、JIS C 8461規格群で規定する耐延焼性能試験に合格しなければならない。

筆者補足:JIS C8461-1:2025 電線管システム-第1部:通則 13.1.3 火災の延焼 に引用されている内容だが、場所が限定されている記述であり、フェアではない。また、解説(購入しないと読めない部分)においても422は他法令の適用を受ける規定内容であることから適用除外としている。



・JIS C 60364-5-52:2023 低圧電気設備-第5-52部:電気機器の選定及び施工-配線設備 
附随書F (参考) 電線管方式の選定
表 F.52.1 電線管の特性 - 注記2 耐延焼性に従った、オレンジ色の電線管方式は、コンクリート埋設のときだけ使用が許されている。他の布設方式に関しては、黄色、オレンジ色又は赤以外の全ての色の使用が許されている。

 

 

以上から、非延焼性であるCD管は、他の管と区別が付くようにオレンジ色をしている、と読みとれます。そして、露出での敷設は不可です。また、書くまでもありませんが、建物内の施工において難燃性の材料の選定は電気工事士の責務であると言えます。

続いて施工仕様の確認をしてみましょう。

 
  • 施工仕様の確認
  1. 内線規定2022
  2. 電気設備技術基準の解釈第158条
  3. 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)
  4. 東京都電気設備工事標準仕様書
 
内線規定2022

※内線規程は無料で閲覧ができません。

  • 合成樹脂管工事に使用する電線の種類
3115-1 電線
1.合成樹脂管配線には、絶縁電線を使用すること。
 
  • CD管の施工方法
3115-5 配管
2.5
CD管は、直接コンクリートに埋込んで施設する場合を除き、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること。


電気設備技術基準の解釈第158条
  • 合成樹脂管工事に使用する電線の種類
絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
 
 
  • CD管の施工方法
七 CD管は、次のいずれかにより施設すること。
イ 直接コンクリートに埋め込んで施設すること。
ロ 専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること。




公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)
  • 合成樹脂管工事に使用する電線の種類
電線は、EM-IE電線等とする。
 
  • CD管の施工方法
CD管は、コンクリート埋込部分のみに使用する。
 
 
東京都電気設備工事標準仕様書
  • 合成樹脂管工事に使用する電線の種類
電線は、「1.4.6.1 電線類」による。
 
1. 4. 6. 1電線類
一般配線工事に使用する電線類は、表1.4.1 に示す規格による。
本表には、電線、電力用ケーブル、通信・情報用ケーブルが含まれる。日本語の読解力の問題だが、念のため財務局建築保全部技術管理課確認済み。
上記項目は第2編 電力設備工事、第6編 通信・情報設備工事に該当し、強電でも弱電でも変わらない。
 
 
  • CD管の施工方法
CD管は、コンクリート埋込部分のみに使用する。
 
 
こちらの法令類を確認してみてもおわかりの通り、CD管は延焼性のため露出で施工できません。
 
 一覧表。色がついている部分は筆者が業務で従っている工事標準仕様である。東京都電気設備工事標準仕様書では、電線類の別表にはケーブルも含まれていると読みとれる。念のため、国土交通省官庁営繕に公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)の電線等は電線以外を含むか?と確認したが解釈をこうせよと指示はできないとのことだった。東京都では本文の通りいかなるケーブルも電線管工事に含む
 
  • 配管製造メーカの解釈
配管製造メーカのWebページを見ると、CD管を屋内で露出施工が可能と案内されている場合があります。繰り返しますが、JIS C 8411:2019 合成樹脂製可とう電線管では耐燃性による分類で、非延焼性の電線管をPF管、延焼性の電線管をCD管と定義し、それらを明確に区別が出来るようにCD管はオレンジを基調とし、塗装は不可としています。また、各法令や工事標準仕様書でも難燃性の部材の選定を指示されており、(大事な事なのでふたたび書きますが)建物内の施工において難燃性の材料の選定は電気工事士の責務であると言えます。では、何を根拠に「CD管を屋内で露出で施工が可能」としているのでしょうか・・・?
 
答えは、「合成樹脂管工事に使用する電線の種類」とされているように、合成樹脂製可とう電線管は「電線管」であり、管の中に「電線」を入れない場合は「合成樹脂製可とう電線管」とみなさない、とのことです。
※こちらは筆者が直にパナソニックと未来工業に問い合わせをしていただいた回答です。あくまでもケーブルの保護・防護管であるとの認識。
 
合成樹脂製可とう電線管でないのなら、すべての法規・規格は該当せず何をしても良いとの解釈のようです。
※これを言い始めると、電線管施工の決まりを何一つ守らなくても良いと解釈できてしまいます。サドルで留める必要も、270°以内に曲がりを納める必要も何にもありません。これは国家資格を有した電気工事士が電気工事士法の元行う仕事でそんな事が許されて良いはずがありませんね。
※東京都電気設備工事標準仕様書では電線、電力用ケーブル、通信・情報用ケーブルは合成樹脂管工事に含み、電力設備工事、通信・情報設備工事ともに同じであるとしているためこの解釈はできません。
 
ちなみにこの解釈では、CD管の中を観測するまではそれが合成樹脂製可とう電線管なのか否か判断ができませんので、空のCD管は施工不可となります。(シュレディンガーのCD管※冗談ですよ)施工が完了していない以上、中に電線が入る可能性を排除できませんから現場監督は都度都度確認する必要があります。そちらがそちらの道理を通すなら、そちらの都合の良いところだけに従うのは無しですよ。引き渡し時にも露出で配管されたCD管には電線を通せない旨を説明をする必要もありますね。
 
 
フローでお互いの言い分を分けてみた。筆者は右側の職種である。下記にテキストデータを載せる
 
 
CD管メーカの認識

開始

1.合成樹脂製可とう電線管か?(外見や型番で判断する) JIS C 8411:2019
├─ いいえ → 防護管として扱う → 終了
└─ はい
        ↓
2.管の種類は? JIS C 8411:2019
├─ PF管(非延焼性) →  露出施工OK → 終了
└─ CD管(延焼性)
        ↓
3.管の中に何か収容しているか?
├─ いいえ → 合成樹脂製可とう電線管とみなす →  露出施工NG →終了
└─ はい
        ↓
4.施工方法は?
├─ コンクリート埋め込みでのみ使用する → 使用可能 → 終了
├─ 不燃性又は自消性の難燃管・ダクトに収める → 使用可能 → 終了
└─ 露出施工
           ↓
5.収容物は電線か?
├─ いいえ → 防護管として扱う → CD管の延焼性を施主に説明する → 露出施工OK → 終了
└─ はい →  露出施工NG →終了


電気工事試験や施工管理の認識

開始

1.合成樹脂製可とう電線管か?(外見や型番で判断する) JIS C 8411:2019
├─ いいえ → 防護管として扱う → 終了
└─ はい
        ↓
2.管の種類は? JIS C 8411:2019
├─ PF管(非延焼性) →  露出施工OK → 終了
└─ CD管(延焼性)
              ↓
3.施工方法は?
├─ コンクリート埋め込みでのみ使用する → 使用可能 → 終了
├─ 不燃性又は自消性の難燃管・ダクトに収める → 使用可能 → 終了
└─ 露出施工 → 露出施工を行う場合はPF管を使用する → 終了
 
 
売る側は売る側の都合で解釈をし、筆者の様な電気工事に携わる者の監督責任を背負ってはくれません。監督責任はこちらにあるのは自明ですのでメーカが定量化が難しい性能評価意外の項目で「内線規程はこう解釈できる」と言っても、何の責任もありません。すべての責任は部材を選定・設計・承認・施工した側が持つこととなります。また、内線規定だけに従う電気工事かどうかも現場で分かれます。(筆者の場合は工事契約の際に指針となる工事標準仕様が指定されます。)
 
・・・ですが、これはいくら何でも横暴ではないでしょうか?冒頭にあげた各種法令を見返してください。これだけの法令や規格や基準が揃いも揃って、CD管は延焼性のため露出で施工してはならない、と記しているのです。それなのに、燃えると理解してまでなぜ使うのでしょうか?(価格が安いかららしい)
 
 
屋内でCD管が露出で施工されている場合、管の中が「電線」なのか「ケーブル」なのかでCD管(合成樹脂製可とう電線管)施工なのかが決まる・・・そんな訳はない。
管の中にケーブルを通したからと言ってCD管が非延焼性に変化はしない。
 
 
そもそも、「CD管は屋内では露出で施工ができない」と言っているのです。「CD管をCD管とみなさなければ屋内で露出施工ができる」は確かに真かもしれません。(しかし、"CD管"と認めている時点でそれは論理が通らない・・・CD管は、の条件に反する)ですが、それで「CD管が非延焼性になる」わけではありません。
 
工事業者の方はネットで検索して出てきた結果(都合の良い解釈)だけを鵜呑みにせず、必ず一次資料である各種法令や規格を参照し、ご自身で解釈をし、そして必ず施主に対して延焼性部材の使用を説明してください。
 
今後のJISの動きとしては、国際規格であるIEC 60364に準じていく方向性との事です。(IEC 60364はJISの同番号で再定義している)
しょうもない解釈をするのも別に良いですが、いつか規程が変わる日が来るかと思いますので動向は注視した方が良さそうですね。
 
 
回答してくださった、パナソニック、未来工業、国土交通省官庁営繕、財務局建築保全部技術管理課(敬称略)ありがとうございました。