音が聴けるパラメトリックイコライザでのスピーカ調整体験ツールを作ってみた | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

Smaart Data Modelerの紹介で筆者は「音が聴けない」のが最大の不満と書きましたので、今回実際に音が聴けるパラメトリックイコライザでのスピーカ調整体験ツールをCycling'74 Max8で作ってみました。この手のパッチはもう手慣れたものです。

 

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起動時の状態

 

 

説明書

 

 

・FFT表示
サンプルは1024と低いですがMaxのサンプルプログラムを採用しています。本来、ピンクノイズであればFFTで表示すると高域に行くに従い減衰しますがここではSmaartの様に基準信号との対比表示をイメージしています。

(ピンクノイズはRTAの1/3octでは平坦に、FFTでは高域下がりに、ホワイトノイズはRTAの1/3octでは高域上がりに、FFTでは平坦に見える。この差を理解するにはRTAとFFTの仕組みを理解する必要がある)

 

・オーディオパワー
本パッチのオーディオの動作スイッチです。オーディオI/Fを切り替えて音が出なくなった場合はオフ・オンしてください。

 

・オーディオセットアップ
出力オーディオドライバやインターフェイスを選択します。サンプリングレートは48kHzを選択してください。

 

・IR選択
周波数特性が均一でないIR(インパルスレスポンス)を選択します。デフォルトは000.wavでこれは素通りで変化がありません。選択したIRの波形が見れるようになっています。

 

・音量
出力信号とFFTへの表示音量の調整を行います。PEQとTARGET表示は1kHz付近が揃う様に調整すると良いです。

 

・PEQ
5ポイントPEQとHi PASS、Lo PASSの2ポイント調整が可能です。微調整を行う都合、クリックして上下に動かす「直線」ではなく、クリックして周辺の回転動作を行う「回転」設定になっています。

 

 

 

パラメトリックイコライザでのスピーカ調整体験ツール。 

PARAMETRIC EQUALIZER TEST TOOL
ダウンロード先:

 

 

 

BOOTH公開:

 

 

 

動作環境:Windows10または11。

実行した際にmsvcr140.dll、msvcp140.dllがありませんとエラーが出る場合は「exe化した際に必要なdll」→「VC_redist.x64.exe」を実行し、Microsoft Visual C++ 再頒布可能パッケージをインストールしてください。

おまけでMaxのパッチも含めてあります。(HISS Toolを入れれば、Max環境があればMacでも開けるはずです)

 

 

●学習の概要●

 

1.PEQはどのような音の変化があるのか理解を深める

2.FFTによる計測無しではPEQによるスピーカ調整が満足には出来ない事を学ぶ

 

PEQを使用するパターンは大まかに2通りあるかと思います。ひとつはミキサ上の各入力の音質調整、またはハウリングポイントの除去(いわゆるノッチフィルタ)で、もう一つはスピーカアウトに対しての調整です。前者は聴感だけでも調整は可能ですが後者に関しては、音響機材の歴史を紐解くと、聴感調整でのグラッフィックイコライザ(GEQ)から始まり、FFTによる測定を伴ったパラメトリックイコライザ(PEQ)へと移り変わった歴史があり「スピーカ調整のためにPEQを操作するにはFFTによる測定が不可欠」です。この事の初歩を本ツールで学べたらと思っています。

そんなはずはない、計測なんて不要で聴感でも可能だ!と思われる方は是非このツールを使って、(ウィンドウを隠すなどして)FFTなしでの結果と、FFTありでの結果を聴きながら比べてみてください。

 

 

ドロップダウンメニューから000.wav以外のIRを選択する

 

 

動画:IRを選択すると周波数特性が変化する。ハイパス、ローパスも機能する
 

 

rePhaseで作成されたIRでピンクノイズが畳み込まれ、適当なカーブを描くのでそれを5ch PEQで補正する

 

 

動画:実際にPEQで補正をしている様子(1分未満動画)。これが体験できます

 

 

単なるPEQの音の変化の学習にも使用できる

 

 

音を聴ける方がずっと学習に向くと考えています。

ぜひ、ご活用ください。

※そして、このステップの次に位相やタイムアライメント、伝達関数とさらなる学習が待っています。