防犯カメラレコーダから取り出した映像の音声が再生できない | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

防犯カメラレコーダから取り出した映像の音声がパソコンで再生できないと相談を受けました。本記事はその動画ファイルを変換した話の備忘録です。

 

該当のファイルを確認してみると、拡張子が.mp4で映像コーデックがH.264、音声コーデックが不明でした。ただ、自分は機材の素性を知っているので音声コーデックはG.722であることは分かっています。

※G.722・・・ITU-T勧告のVoIP用音声圧縮形式。ネットワークカメラでまだ使用される。

※VLCプレーヤでは映像は再生可能で、音声は再生不可能

 

大抵、このような防犯カメラレコーダは該当映像ファイルを抜き出した時に専用再生プレーヤもダウンロード(任意の場合もある)されるのですが、そのプレーヤで再生してもやはり音声だけが出力されません。

 

 

専用再生プレーヤのVSPlayer

 

 

バージョン6.3.1

 

 

ネットワークカメラのレコーダは、その仕組みから、映像のエンコードはカメラ側で行っています。レコーダはカメラから吐き出された映像音声ストリームをただ蓄積、再生するだけの役割です。専用再生プレーヤで再生ができない現象はプレーヤに依存している問題かもしれないと思い、このレコーダの素性を調べました。

※ちなみにレコーダで書き出した動画をレコーダ本体で再生すると音声は出力される為、書き出したデータには音声が記録されている事がわかっています。

 

多種多様な方法で調べると、該当製品の製造元はHikvisionと言う中国の大手監視カメラメーカであることが判明しました。こちらの製品を日本の輸入代理店が販売(一部専用カスタマイズ)しているようです。検索してみると、最新のVSPlayerがあり、こちらで音声を再生することが可能でした。

 

Hikvisionのグローバルサイトリンク:

https://www.hikvision.com/en/support/tools/desktop-tools/

 

 

GUIが一新されたVSPlayer

 

 

mpeg2-ps、映像圧縮形式がH.264、音声圧縮形式がG.722な事が確認できる

※この画像はBlogの為に作成したものです

 

 

なんと切り出しソフトも付いてきました

 

 

最新版のVSPlayerでは映像圧縮形式がH.264、音声圧縮形式がG.722のファイルは問題なく音声も再生が可能で、プラスしてClipという別アプリケーションで動画の切り出しが可能でした。

 

ただ、ここから映像の変換はできません。

映像のコンテナが独自で、Windows標準ソフト、動画編集ソフトでは映像も再生できないファイルであることから、きっとこれはメーカがファイルコンバートソフトウェアを作って公開しているはずだ・・・と思い調べてみると・・・・ありました。

 

Hikvisionの中国サイトリンク:

formatconverter_v4.1.0_1
https://ca.hikvision.com/sites/default/files/formatconverter_v4.1.0_1.zip

 

中国でのサイトのみでの公開、ということは映像音声のコーデックライセンスに何らかの不備があるのでしょうか・・・(想像ですよ)

 

 

formatconverter_v4.1.0_1

 

 

VSPlayer同様、mpeg2-ps、映像圧縮形式がH.264、音声圧縮形式がG.722な事が確認できる

 

 

変換設定。上記はデフォルト状態

 

 

ここから変換したい形式を選択。ここではmp4を設定

(ケータイ動画や独自フォーマットのHIK形式もあるようですね)

 

 

とりあえず上記の設定へ。この様な場合はとにかく最大品質で書き出します

 

 

変換している状態

 

 

エンコードはCPUを使用し、必ずしも満足いく変換品質になりませんでした。ただ、これでWindows標準ソフト、動画編集ソフトへ音声付きで展開することが可能でした。

上記の変換の流れは日本代理店も把握していないようで、問い合わせをした際に案内はされず、もちろんマニュアルにも書いてありません。

こうして調べる事は筆者自身が得意とする事の一つですが、毎回このような結果が出るとは限りません。今回はたまたま運が良かったです。

 

以上、防犯カメラレコーダから取り出した映像の音声が再生できない、と困っている人の助けになれば幸いです。