TOA ARC(Automatic Resonance Control)機能について | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

TOA株式会社が設備音響の明瞭性向上のために取り入れている方式にARCと言うものがあります。
 
TOA ARC(Automatic Resonance Control)機能
・アナウンスの明瞭性に影響を及ぼす建築空間固有の「共鳴」に着目し、独自の方法による自動音響空間測定・音響解析とデジタルフィルターの自動生成により、拡声空間の音場補正を自動的に短時間で行います。測定や設定にはPCや特殊なマイクロホン等は不要で、既設の音響設備とマイクロホンで簡単に行うことができます。
 
元々の技術は、いくつかのポイントで周波数特性の測定・ハウリング周波数の検出、を行い複数の結果からその建築空間で発生する定在波を算出する手法です。近年の製品では計測場所を1か所に限定、機能をさらに簡略化した1発補正ボタンの代名詞としてARCを謳っていますが、根本的には数か所のサンプルを必要とします。
拡声における明瞭度(聞きやすさ)を向上させるのに、自動的に行えるに越したことはありませんので、これから先はもっと採用されると考えています。

 

※「周波数特性」は名称の通り、どこで聴いても周波数特性が(語弊があるのは承知の上で)フラットに近い方が良いんだな、と感覚として分かりやすいですが、「伝達関数」になってくるとやや理解が遠ざかる気がします。建築音響特性やスピーカの設置位置が意匠の重要性より下位にある設備音響では、大衆拡声に比重を置き、IEC 60268-16準拠のSTIPA 音声明瞭度計測を取り入れた方が良いのでは?とここ数年思っています。

 

 

本記事では、このARCが搭載されているTOA DP-K1での多点計測を取り上げます。※この計測の場合はPCを必要としますが、計測用に専用のマイクを用意する必要はありません。一般的なダイナミックマイクでOKです。

 

 

 

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ARC計測中画面。ハウリングマージン計測、インパルス、スウィープ信号の順に流れ、スウィープ信号での計測は数回行われます。

 

 

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計測用信号はカスタマイズすることが出来ます。

 

 

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計測例(取扱説明書より)

 

 

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5ポイント計測例。こちらは筆者による計測。

 

早い話が、ここで算出される値を差し引くと明瞭度が向上しますよ、という事です。(ここまでが自動で、ここから各値の取捨選択の自由があります)

 

長々と書きましたが、これはつまりPAさんが行うワンツーを機械が代行すると言った作業です。
※ここで言うワンツーが何か?は定義をしませんが、結果的に音が良くなること、としましょう。

 

 

筆者が何度も何度もそこかしこで書いていますが、設備音響で「誰がやっても調整の品質が保てる・再現できる」を実現する為には自動計測に頼る以外の道はありません。私の耳が調整しました、では継続性も再現性も大量生産も出来ません。

 

今後は伝達関数やSTIPAを取り入れた音響自動計測が主流になると良いですね。