年間14主日『弱い時、強い』-逆説の信仰- | Holy Rosariya ロザリ屋

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年間14主日『弱い時、強い』-逆説の信仰- 現代人は、失敗を恐れる、苦しみを恐れる、弱さを恐れる、死を恐れる、いろんなこ とを恐れています。それらが人生の価値を台無しにすると感じているからです。ある人 は、恵みによって、失敗しない、苦しまない、弱くない、死なない人生になることを希望 して、神を信じます。一見、信心深そうですが、どこか不安がつきまといます。イエスは 「恐れるな」と教えます。これは、失敗しても恐れるな、苦しくても、弱くても恐れるな、と いう意味です。なぜなら、これらは人生の価値を奪わないどころか、人生を豊かにする ために必要であり、不可欠だからです。 パウロにも欠点や弱点がありました。それを「心に刺さった棘(とげ)」と表現していま す。具体的なことは不明ですが、おそらく情欲という強い誘惑か、身体的な病気だと考 えられます。誘惑がない方がいい、病気より健康がいいと人々は考えます。パウロも同 じでした。「この苦しみや困難を取り去ってください」と祈りましたが、神の答えは真逆で した。「あなたには、私の恵みで足りる」でした。今以上を求めることは必要ないばかり か、神の力が働かないとまで言います。信仰は楽な生活ではありません。戦いこそが 功徳を生むからです。誘惑がないなら何と戦いますか?困難がないなら、何と戦いま すか?欠点や弱点は神に願う機会です。神に信頼する時です。神と親しくなるチャン スです。 現代人は、自分が思う通りの人生に価値があると考えがちですが、信仰は逆のこと を教えます。「自分に死ななければ、その人生に価値はない」のです。神の計画に従う ことが、その人の人生の値打ちを決めます。そして、神の計画の中には、失敗や、苦し みや、弱さが含まれているのです。それらを経験する中で人生を反省して、目指して いたことの儚さに気付き、回心する機会になります。罪以外、人生に無駄はありませ ん。人生を振り返ると、必ず神の働きの痕跡を見出します。だから、思い通りにならな い時、「恐れるな」の言葉を思い出しましょう。 信仰は、自分に都合の悪いものからの「逃避」ではありません。それに向き合うことで す。あるいは「戦う」ことです。信仰は、神に信頼することだからです。そして、現実の中 にこそ神は働かれます。自分の理想世界に神は住んでいません。この現実こそが神の 働く場所です。イエスの故郷の人々は、神を「現実離れした世界」に探しました。しか し、イエスは現実の生活の中に隠れて働いていたので、見出せなかったのです。 ■2024/07/05 (文責:小寺神父