水原一平の問題に関しての私見 | 異文化交差点

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水原一平が大谷翔平の金を盗って、一平が抱えた博打の損の穴埋めをした問題は、日米間で大騒ぎになっている。今や網際(Internet)は、投稿者の主観が入り混じる意見で満ちている

 

いきなり冒頭で私の主観を述べたが、これは私なりの考え方に基づいている。希代の野球少年の翔平と平凡なおっちゃんの一平の間には、越えられない溝が存在し、一平おっちゃんは、恐らく、翔平の全貌を掴む事は出来なかったはず

 

そういった桁外れの翔平と公私に亘って共に活動した一平は、恐らく勘違いを犯したのだろう。何かと言うと、一平は、翔平と同じ境遇の人間なんだという勘違いだ。しかし、現実的に言えば、翔平がドジャーズに入るに当たり、生涯収入が千億円を超えるという事実に接し、「俺が稼げる金額は少ない。俺が公私に亘り翔平に尽くしているのに、これは不公平ではないか」などと思ったとしても、あながち、間違ってはいないだろう

 

しかも、翔平は、多くの収入を契約期間の10年を過ぎてから貰う事になっている。翔平は一平に収入の5%を上げる約束をしていたが、こうなると、一平の収入はこれからの10年間、翔平が貰う年収200万ドルの5%である10万ドルとなる。もちろん、ドジャーズから一平は給料を貰うが、ほぼそれは同じ額だろうから、一平は、年間20万ドルの収入となる

 

10年契約で翔平はドジャーズを去るが、ドジャーズからその後、莫大な収入が貰える翔平は、一平に対する支払い義務はなくなる。一平は、恐らく、この翔平のやり方に対して大いに不満を持ったのではないか、と察するが、図星ではないか、と思う

 

その頃、カリフォルニア当局が賭博疑惑で一平に接触し、彼は、先がない事を悟り、この先も大きな収入が見込めない事を思い、記者会見で立つ鳥後を濁す発言をした。翔平が彼の賭博行為を知っていて、その借金を肩代わりしたという嘘を吐いたのだろう。つまり破れかぶれの暴挙だ

 

翔平から任されていた一つの銀行口座から資金を盗り、それで借金の穴埋めをしたに違いない、とあるアメリカ人記者は述べている。しかも翔平にはその事を報告せずに、翔平が肩代わりして支払ってくれた、という嘘を大胆に、しかも実しやかに新聞記者に話した

 

私はこれを知り、最近、この場に投稿した「サイコパス」をすぐに思った。サイコパスの特徴はいろいろあるが、普通の人に比べて将来に関する不安が極端に少ない、中野信子は、彼女の著『サイコパス』文春新書の121~122頁にかけてこう書いている

 

「グレイ(イギリスの心理学者ジェフリー・グレイ)は、サイコパスが罰への恐れなく報酬を求めること、彼らの持続的な反社会的行動は、罰に対する感受性の欠如を反映していることを示唆しました。またサイコパスは行動を抑制する脳内のシステムが弱いので、他の人より不安を感じにくいのだ、というのがグレイの考えです」

 

一平の言動と行動を見ると、見事にこの部分に適合する
 

記者に対して嘘を平気で吐くのも、その結果生じる不安がないからだろう。本人と翔平ばかりでなく、翔平の新妻と一平自身の奥さんに対する心遣いが一切ない。ここにもサイコパスの他人に対する共感性の欠如という特徴が現れている

 

一平の事件が起きる直前に、私がこの場で中野信子著の『サイコパス』に関して若干言及したのは不思議でもある