ビジネス英語を指導している人がインターネット上で以下の短文を投稿していました。
「本当ですか? (相手が言ったことに対して)Are you sure? 」
これを取引相手との交渉中に言ったとします。どういった反応が相手から返って来るか、現場体験豊富な私は容易に想像が出来ます。もし私がこれを聞いた相手方としたら、以下のような文言で反応する可能性があります。
Oh, you doubt me. または
You don't trust me. または
Are you saying that I lied to you?
その他感情を伴った反論など
Are you sure?を言われた相手は、これ以降、「敵対的」な感情が呼び起こされて、双方の対話がギクシャクすること、間違いなし。
じゃ、私ならどう言うか。まずは、相手が言ったことが私が思うこととずれている場合は、以下のように言います。
You said, XXX. Do I understand that correctly?
これは英語でrephrasingと言います。相手が言ったことで重要だと思ったら、それを自分の言葉で言い換えるという対話手法の一つです。相手が言ったことが自分の思いと異なる場合、いきなり、Are you sure?などと言わずに、一拍置き、まず相手の言ったことを自分が正しく理解しているかどうかを相手に確かめるのです。
そうすることにより、相手は私が相手の言うことをよく聞いていると感じます。「私はあなたが言うことをよく聞いていますよ」、という意思表示になり、これにより相手の心が穏やかになる効果があるのです。
そして相手がYes, と言ったら、以下のように続けます。
Thank you. I have another idea, which is XXX. I will be glad if you let me know what you think about that.
相手が言ったことを否定せずに、「あなたの意見に対して私はこう思うが如何でしょうか」、と聞くのです。
その時相手が、私の意見に反対だとしたら、Would you please say the point again for me to understand it clearly? と言い、相手から別の表現で相手の主張を聞きます。
そうやって友好的な対話を続けます。これを共感的対話と言います。決して相手を疑ったり、相手が言うことを否定せずに、まず相手の主張を正しく理解し、それに対して私はこう思うが如何でしょうか、と聞いて相手から再度意見を言ってもらうのです。
人を感情的に刺激する言葉を投げかけるのは、商交渉で最もやってはいけない、と理解したいものです。英語力を身に着けるのは最低限必要です。それに加えて、共感的対話方法を訓練を経て身に着けること、これでどんな相手とも、たとえ、物別れになったとしても、感情的なしこりが残らない爽やかな状態でI agree that we disagree.と言えるようになります。別の機会にその人と商談する可能性があり、その場合、最初からにこやかな対話ができます。