「雨月物語」
(作者:上田秋成)
江戸時代後期の作品で、日本・中国の古典を題材とした9篇の怪異譚からなる近世日本文学の金字塔!




その9つの話を
ざっくりご紹介
ざっくりですd( •̀∀•́ )b


 魂白峯(しらみね)

旧主である崇徳院のお墓参りに訪れた西行という僧侶のもとに怨霊となった崇徳院が現れる。


崇徳院「ちょ、円位、円位!よく来たな!俺よ俺」
※円位とは西行のこと。

え!まだ成仏してなかったのぉ?!と驚く西行。
( ºдº )エッ…!!!

崇徳院「最近巷で起こってる世の乱れは俺!俺様の仕業よ!平治の乱を起こしてやったぜよ!ドヤ!(๑• ̀д•́ )✧+°ドヤッ

そして、生前の恨みを語り始める崇徳院。
院の魔力を鎮めようと必死で問答説得を試みる西行。
次第に鬼火が崇徳院の膝の下から燃え上がり、みるみる魔界の姿に成り変わる!迫力満点のシーン!
相模と呼ばれる部下の天狗のような化け鳥までも現れます魂

西行は院のその浅ましい姿を嘆き、一首詠む。
よしや君 昔の玉の床とても かからんのちは 何にかはせん

院の表情が若干和らぎそのまま静かに消えていったが、院の語った恐ろしい予言通りに世の中は進んで行くのであった・・。
院の無念の心境や、怨霊と化したかつての主人の気持ちを鎮め成仏させたい西行の心の嘆きも含まれた2人の問答、そして魔界の姿になる描写の迫力を原文でもぜひ!


 魂菊花の約(きっかのちぎり)

母と2人暮らしの左門という学者が、旅の途中で病に伏した宗右衛門という武士を看病し義兄弟の契を結ぶ。

故郷出雲の様子を見に行くことになった宗右衛門は、9月9日重陽の佳節(菊の節句)をもって帰ってくると約束。

一時帰国した宗右衛門はトラブルに巻き込まれて投獄されてしまう!
その日を心待ちにしている左門の前に意外な姿で宗右衛門は現れ、信義を守る。



 魂浅茅が宿(あさじがやど)

美人の奥様宮木を持つ夫の勝四郎
家財を全て絹に変えて一攫千金を夢見て、商人雀部(ささべ)と京に上る。

商売は成功するが、帰途山賊に遭ったり、病に侵されたり、戦乱が勃発したりと妻の生存すらも諦めて7年もの歳月が経つ。
終盤故郷に戻った勝四郎に語る翁の話がとても心打つ話。
真の主人公は強い気持ちの宮木その人。
翁が語る夫の帰りを信じて待ち続けた宮木の気持ちを思うととても切なく胸を締め付けられます。



 魂夢応の鯉魚(むおうのりぎょ)

鯉の絵を描くことが何より大好きな三井寺の僧侶興義(ごうぎ)
「夢応の鯉魚」とは興義の描いた鯉の絵の自身で付けた作品のタイトル名のこと。

興義はある時病気になり死んでしまう💦が、3日後に復活!
とりあえず檀家の平の助主人を呼んできてくれろと弟子に命じ、一同集まった所で不思議な話を始める。( 」゚Д゚)」オーイ!

実は実は、鯉の姿となったわたくしに君たちは包丁で斬りかかってきたんだよと告りますうずまき

生死の境を彷徨っている時、どうやら興義は鯉となって琵琶湖の名所を遊泳していたらしいのだ!
鯉に恋して鯉になって命乞いをする💧
(´-ω-`)う~む


 魂仏法僧(ぶっぽうそう)

夢然(むぜん)作之治(さくのじ)親子が旅先の高野山で、豊臣秀次率いる怨霊一行の宴に取り込まれてしまう話魂魂魂

深夜「ブッパン、ブッパン」と珍しい声で鳴く鳥「仏法僧」の声に興をそうした夢然が
「鳥の音も秘密の山の茂みかな」と気持ちよく一句詠む。イイ句でけた✧⁺⸜(●′ω‵●)⸝⁺✧

この一句が後々怨霊一行の宴を盛り上げることになります。
親子は生きた心地のしない時間を過ごすことにハッ

それにしても物語終盤に発せられる秀次公の台詞が!
「よしなき奴に我が姿を見せつるぞ!」
「他二人(かれふたり)も修羅につれ来れ!」
(それにしても、つまらねえ奴らに俺様の姿を見せてしまったぜ!あいつらも修羅の世界に連れて行ってしまえ!」

酷い(*꒪꒫꒪)チーン


 魂吉備津の釜(きびつのかま)

吉備津神社には釜の湯を沸かして吉凶を占う釜占いが存在する。

この神社の神主の娘磯良(いそら)が、正太郎という庄屋の息子さん宅に嫁ぐことになります。
(この婚姻は釜占いではと出てますガーン

磯良は美人でよく働き、夫にはもちろん、舅・姑にも真心をつくしていましたが、正太郎の方は浮気性で(そで)という遊女の愛人を作ってしまいますもやもや

それでも浮気相手の袖にも磯良は同情し2人に心を尽くしますが、正太郎は磯良に資金を作らせ、磯良を騙して袖と逐電してしまいます≡ \( ˙-˙ )/

そして、傷心した磯良は病に臥してしまう。
「雨月物語」エピソード中最強の怨霊と化す磯良を・・・私は応援してました!



 魂蛇性の婬(じゃせいのいん)

「いつの時代なりけん」と昔話風に始まる本エピソードは、豊雄(とよお)という青年が蛇の化身に執着されるストーカーの先駆け的怪異譚🐍ラブラブ

蛇の化身といっても後々判明するわけで、出会った時はとても美しい20歳くらいの女性の姿。
当然豊雄はメロメロですラブ

その美しい女性の名は真女児(まなご)まろやという見かけが十四、五の少女の侍女を連れています。

それにしてもこれだけ豊雄のことを想ってくれる美人ならニートの豊雄にとっては十分すぎる縁談ではないかと思われますが、そう旨い話もなく、一緒にいるといずれ命を取られてしまうそうです💦

《個人的にグッとくる描写のシーン》
床には塵が三センチも積もっている、鼠が糞をちらしている、そんな朽ち果てた家屋の奥に古い几帳を立ててひとり座っている花のように美しい女(真女児)ピンク薔薇
不気味でありながら神秘的!かつ幻妖で美しい描写が個人的に印象的なシーンでお気に入りです音符

この場面描写はやはり原文が素晴らしいキラキラ

塵は一寸ばかり積りたり。鼠の糞ひりちらしたる中に、古き帳を立てて、花の如くなる女ひとりぞ座る。

本作唯一の中編作品「蛇性の婬」の結末をぜひご確認くださいませ音符



 魂青頭巾(あおずきん)

下野国(栃木県)大中寺での出来事
主人公は諸国行脚の修行をしている快庵禅師という僧侶で、室町時代に実在した人物だそうです!

下野国富田という里に辿り着き、一夜の宿を借りた快庵。
宿の主人から奇妙で恐ろしい話を聴かされます。
山の上にある寺の住職が鬼と化し、里の墓をあばき、その屍肉を食し、夜な夜な里に下りてきて人も襲うという。( º言º; )

一晩のお礼にといって快庵はその寺に行き、件の鬼と化した住職と対峙することに。
壮絶なラストが待っています!!

《これは恐怖ハッ
寝室に籠っていた住職が真夜中部屋から出てくるシーンが激怖っ!((((;°Д°;)))))
あちこち走り回って快庵を探します。ヤバっ!
((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタカタ

子ひとつともおもふ比、あるじの僧眠蔵を出でて、あわただしく物を討ぬ!たづね得ずして大いに叫び、禿驢いづくに隠れけん!


《対する快庵禅師にグッとくる》
『心をゆるめれば妖魔となり、心を引き締めて仏に仕えれば仏になることができる』
元々強い一本気な気持ちの持ち主だった山上の寺の住職。
煩悩の火に焼かれなければきっと立派な僧侶になっていたはずですと語る快庵。
同じ仏に仕える道を歩んだ住職に教えを説いて本来の心に返したいと終始鬼住職に敬意を持って接する描写にグッときます。

そしてなぜ山上の寺の住職は鬼と化したのか、タイトル「青頭巾」の真意をぜひお確かめ下さいませ。
ちなみに雨月物語の中でこの「青頭巾」が個人的に1番怖いエピソードであり、1番好きなキャラがこの快庵禅師ですかね!✧(▭-▭)ก クイッ
否!快庵禅師&山寺の鬼住職コンビですね!


 魂貧福論(ひんぷくろん)

タイトルからして怖くなさそう!
ご明察です( •̀∀•́ )b

黄金の精霊である小さなおじいちゃんが深夜枕元に現れて、主人公左内(さない)と銭・問・答!なる問答を繰り広げる雨月物語最終話!

左内は武士にも関わらず無風流で趣味は部屋に金貨を並べてニヤニヤするだけなので、人々に吝嗇で卑しい奴だと蔑まれていました。

左内の下男の1人が小判1枚を蓄えているのを知ると、左内は感心し、その下男にお金の大切さを説き、さらに褒美として十両を与えます。
これを聞いた人々は「左内はただの強欲者じゃなくて、一奇人なだけだったんだね、ふぇぇ」とほめそやしました。
やるなぁ(゜゜*)ホエホエー

そこへある晩、普段から金を手厚く遇してくれる左内の元に「兄ちゃんいつもサンキューです、軽く語ろうじゃないの(  ー̀ωー́ )و」みたいなノリでジジイが精霊が現れます。


ジジイ精霊が自身を語ります!
わたしは人の善悪によっては行動しない非情の黄金の精である!と。

精霊曰く、人としての善悪人などの概念は持っておらず、わたしども(黄金の精)を大切に扱い、まめまめしく仕えてくれる人の所に自然に集まっていくのです、そしてその道はでありますと説きます。
要するに人間の道徳・倫理観などは俺らには関係ないし、集まるべき所に俺ら黄金は集まるしと・・・💧

さらにそれは水が高い所から低い所に流れるように絶えず往来しているため決まった主人は持たないそうです。

最後に左内はこれからの世の動向について精霊に訪ねます。武田信玄や織田信長、豊臣秀吉と言った天下人を富貴の点から論じ、

堯蓂日杲 百姓帰家
ぎょうめいひにあきらかに
ひゃくせいいえによる

という予言の一句を残し
「あっ!もう4時だ!おはよう時代劇始まるわ
と消えるように去っていきます。
お邪魔様(。・ㅂ・。)ノ"


ざっくりご案内させて頂きましたので、
ぜひ皆様自身の読み方、感じ方で楽しんで下さいませm(*_ _)m

9つの怪異譚「雨月物語」

今夏の静かな深夜にぜひ音符





原文・現代語訳両方とも収録されているのでおすすめです音符↓↓↓



ブログタイトル:Massive Attack「Teardrop」より