サイクリングを兼ねて、自転車で2時間ほどかかる中学からの友だちの家に遊びにいった。
このロードバイクも買って10年以上になる。
買った当時、会社の仕事が嫌で、そのストレスを発散する意味もあったのだろう。
週末ごとに、自転車で山に登ったり、100キロほど漕いで、田舎のほうまで出かけたものだった。
車がなければ到底行けないと思っていたところまで、自分の力だけで行けることが嬉しくて、夢中でペダルを漕いだ。
1日に200キロ乗ったときは、暗くなった帰り道、いくら漕いでも心臓の鼓動が加速しなくなった。
ぼくの身体能力の限界を超えて、もう死んでしまうんだと思ったりした。
最近は、ほとんど日常使いだけで、こいつと遠出することはなくなっていた。
実家に帰ったり、ヨガに通ったり、せいぜい2、30分乗るくらいだ。
だから、今回は久しぶりの遠出だった。
道路のわきを、ママチャリに毛が生えたくらいの速度で走行する。
乗っていると、腰や腕が痛んできた。久しぶりで姿勢が悪いのか、それとも年のせいか?
そのとき、ガチャンと音がした。何か踏んだかなと思って、歩道に停止して確認した。
何とまあ、後輪のリムブレーキの本体が外れて、ぶら下がっていた。
ブレーキを引きずりながら走るわけにもいかないし、これはもうだめかしらと思った。
10分くらいそこにいただろうか。
ブレーキの本体をブレーキの線に引っ掛ければ、漕ぐたびに多少ペダルに当たるけれど、走れないこともないことが分かった。
多少危なっかしいが、前輪のブレーキがあるので、停止もできる。
ぼくは、続行することにした。
ギターの弦が一本切れたら、残りの弦を使って演奏を続ければいい、それが人生だ、というような名言?を聞いたことがあった。
ぼくは、漕ぐたびにペダルがブレーキに当たって、カチカチ音がするのを聞きながら、その言葉を思い出していた。
つづく