こんにちは![]()
5月にもまたまた北欧の注目映画が公開されます!
アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされたデンマーク映画『ガール・ウィズ・ニードル』が、2025年5月16日に公開されます。
北欧史上最も物議を醸した実際にあったデンマークの連続殺人事件をモチーフに描かれたゴシックミステリー。漆黒の映像美、予想を超える衝撃な展開や心理的恐怖を煽る音響、ユニークな美術セットなどが話題となり、各国の映画祭を賑わせた話題作です。

舞台は、第一次世界大戦後のコペンハーゲン。お針子として働くカロリーネは、アパートの家賃が支払えずに困窮。やがて工場のオーナーと恋に落ちるも、身分違いの関係は実らず、彼女は捨てられた挙句に失業してしまいます。
しかも妊娠していた彼女は、他に頼れる場所がなく、もぐりの養子縁組斡旋所を経営し、望まれない子どもたちの里親探しを支援する女性ダウマのところに転がり込みます。
そこでカロリーネは乳母の役割を引き受けることに。カロリーネとダウマの間には強い絆が生まれていきますが、やがてカロリーネは知らず知らずのうちに入り込んでしまった悪夢のような真実に直面することになります。

監督・脚本を手掛けたのは『波紋』『スウェット』といった鋭い視点の作品で、世界的注目を集めるスウェーデンの若き鬼才、マグヌス・フォン・ホーン。そして、話題となった心理的恐怖を演出する不気味な音楽と絶大な音響効果は、音楽アーティスト、プース・マリーとして活躍するフレゼレケ・ホフマイアが担当しました。
主演のカロリーネ役を務めたヴィクトーリア・カーメン・ソネは、『ビッチ・ホリデイ』で注目され、『ウィンター・ブラザーズ』『ゴッドランド/GODLAND』のフリーヌル・パルマソン監督のミューズとしても知られる実力派。また、デンマーク、ノルウェー、日本合作の『MISS OSAKA ミス・オオサカ』では主演を務めています。

さらに、助演を務めたのは、トマス・ヴィンターベア監督やスザンヌ・ビア監督作で数々の賞を受賞し、北欧で最も高く評価される名女優トリーネ・デュアホルム。二人の熱演は多くの評論家から絶賛されました。

デンマークで起きた本当の事件が元ネタになっているという『ガール・ウィズ・ニードル』。第一次世界大戦直後のコペンハーゲンが舞台ということで、人々も町も混乱を極めているというのが背景にあります。
ロケ地は、ポーランドだと監督が海外のインタビューで明かしています。
コペンハーゲンを知っている人にとっては、少々違って見えるかもしれませんが、今生きている人がほとんど知らないコペンハーゲンの100年前のイメージ、場所、物語を創り出すことが重要だと考えた監督。戦後の混沌としたコペンハーゲンを表現するのに、土の匂いのする、荒廃した貧困の雰囲気を出すために、ポーランドで撮影したのだそうです。
また、この映画を制作するにあたり、マグヌス・フォン・ホーン監督と共同脚本家のリーネ・ランゲベクは、デンマーク国立公文書館から事件にまつわる裁判の記録や当時の写真を取り寄せ、広範囲にわたる詳細な調査を行ったそうです。
事件は、第一次世界大戦直後の話ですが、現代、身近になってきている貧困や、苦難を強いられている人々をどう描くか、というテーマが盛り込まれているとのこと。

ストーリーはわかりやすく、映像のモノクロが演劇の舞台を見ているようでした。この効果は、演者や物語に集中できますし、戦争が引き起こした数々の隠したくなる暗い闇(見た目も心も)を表しているかのようでした。
理性を失い、正気でなくなる。大切なものを強制的に引き剥がし、混乱と悪魔を生み出しているのは、戦争であり、人間なんですよね。
その戦争が終わったら、はい今日から元通り、ではなくて、その後がまた大変。人々が被る代償が大きすぎる。そんなことをヒリヒリと感じました。
カロリーネ役のヴィクトーリア・カーメン・ソネ、そしてダウマ役のトリーネ・デュアホルムのお二人の演技がもう、とにかく素晴らしかったです。
北欧映画の大きな特徴の一つともいえる人間の光と闇に迫る作品『ガール・ウィズ・ニードル』。2025年5月16日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷 ホワイト シネクイントほか全国順次公開!
最後まで目を離さず、ご覧ください。


ガール・ウィズ・ニードル
監督・脚本:マグヌス・フォン・ホーン
撮影:ミハウ・ディメク
美術:ヤグナ・ドベシュ
編集:アグニェシュカ・グリンスカ
音楽:フレゼレケ・ホフマイア
音響:オスカ・スクリーヴァ
出演:ヴィクトーリア・カーメン・ソネ、トリーネ・デュアホルム、ベシーア・セシーリ
2024年/デンマーク、ポーランド、スウェーデン/デンマーク語/123分/ 1.44:1/モノクロ/5.1ch/PG-12/原題:Pigen med nålen/英題:The Girl with the Needle/日本語字幕:吉川美奈子/字幕監修:村井誠人/配給:トランスフォーマー
https://transformer.co.jp/m/needlemovie/
© NORDISK FILM PRODUCTION / LAVA FILMS / NORDISK FILM PRODUCTION SVERIGE 2024
2025年5月16日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷 ホワイト シネクイントほか全国公開

