こんにちはオカメインコ

10月18日から「DESIGNART TOKYO 2024」(10/27で終了)と「ELLE DECOR DESIGN WALK 2024」(11/4まで開催)がスタートし、ショップやギャラリー、ショールームなど、インテリアや家具などの新作や限定プロダクトの展示やお披露目、さらには、ジャンルレスな芸術に触れられる機会となりました。

本日は、フィンランドの家具ブランド「アルテック」の旗艦店であるArtek Tokyoで行われた、フィンランドのインテリアアーキテクト、Joanna Laajisto(ヨアナ・ラーイスト)さんのトークイベントに行ってきましたので、その模様をお届けします。

 


業界関係者や専門家、ジャーナリストが集まったトークイベント

ヨアナ・ラーイストさん(以下、ヨアナさん)は、現在フィンランドで最も旬なインテリアアーキテクト。10/17より発売中の「Crafted Thorough Time」コレクションのお披露目として、アイノとアルヴァ・アアルトが1939年に手掛けた住宅建築の名作「マイレア邸」に着想を得て、再解釈したインテリアをArtek Tokyoの1階に作り上げました。


また、地下1階では、日本のインテリアデザイナーである工藤健太郎さんが、エリッサとアルヴァ・アアルトが1959年に手掛けた「ルイ・カレ邸」のインテリアにフォーカス。日本の視点から「Crafted Through Time」を表現した展示を披露しました。

ヨアナさん、実はスノーボード選手時代に日本を訪れていたとのこと!石川で開催された国際大会に出場していたそうです。

 

トークイベントでは、彼女の代表的なプロジェクトやインテリアデザインを紹介した後、アアルト夫妻の名作住宅「マイレア邸」をインスピレーションとして作り上げた展示について話してくれました。

🛋️多くの国を訪れた、ダイバーシティな環境が自身のデザインに影響

スノーボード選手だった頃に、多くの国を訪れる機会があったヨアナさんは、米ロサンゼルスでインテリアを学び、米最大の建築設計事務所、ゲンスラー(Gensler)に勤務。その後、子育てなどのことを考慮して故郷フィンランドへ戻り、自身の事務所、Studio Joanna Laajistoを設立します。

建物から個人宅まで手掛けるヨアナさんの最近のプロジェクトは、ヘルシンキ・ヴァンター空港内にあるフィンエアーの「Finnair Schengen Lounge」。

https://joannalaajisto.com/project/finnair-schengen-lounge/


Finnair Schengun lounge

大切にしていることは、そこにいる人がどんな気持ちになるのか。空港は何かとせわしいため、リラックスできる、落ち着ける場所を目指しました。

 

自然素材である木材や石、テキスタイルを使い、丸くソフトな雰囲気に仕上げました。木の特徴をすべて見せ、空港のさっぱりとした感じとのコントラストが楽しめる空間です。

また、快適で家にいるようなオフィスのリフォームを依頼された時は、古いものと新しいものを合わせること、アートを取り入れるなどして、室内に“レイヤー”を作っていくことを意識。

 

例えば、ホテルのプロジェクトなどでも、地元アーティストの作品を使ったりするそうです。室内と地域に一気に繋がりが生まれるのがいいですね。


Café Savoy

さらには、ヘルシンキの有名店、レストラン「Savoy」の姉妹店にあたる「Café Savoy」からは、“南仏のような店内に”というリクエストがあったとか。

この際、南仏が“どのように見えるか”ではなく、南仏に行ったら“どのような感覚になるのか、感じるのか”を意識したといいます。全体的に日に焼けたような、褪せたカラーを選び、ソファ柄をレストランSavoyにオマージュして、色違いのストライプ柄に。

 

https://joannalaajisto.com/project/cafe-savoy/

 

 

 


🛋️時代を考えず、何年経ってもどの時代かわからないくらいがいい

Artek Tokyo1階には、アイノ&アルヴァ・アアルト夫妻が手掛けた建築「マイレア邸」からインスピレーションを受けたというスタイリングを披露。

天板がセラミックタイル張りのバスケット付きモデルティートロリーを駐日フィンランド大使館から借りることができたとヨアナさん。ティートロリーは現行品があるのですが、このトロリーのおかげで、アイノ&アルヴァの時代の雰囲気が出せたといいます。自然素材を使い、触れたくなるような心地よい雰囲気に仕上げました。

 



また、ティモ・サルパネヴァやカイ・フランクといったフィンランドのデザイナーや、荒川蓮太郎など、日本の作家の器もミックスしてディスプレイ。ファブリックは異なるテクスチャーのものを選び、全体の色はミュートな色。特に公共の場には“色のないもの”、タイムレスで主張のないものが良いといいます。セカンドハンドのものもあれば、最近のものも。北欧の中年層の友人の家をイメージしてみたそうです。

 



室内のデザインをする時にヨアナさんが大切にしていることは、「時代を考えない。タイムレスであること。何年経っても、どの時代かわからないくらいがいい」とのこと。また、「(使い込んだ)椅子やソファのシミや気にしません。傷は個性になります」と笑顔。このヨアナさんの言葉がとても印象的でした。

今の世の中、まったくのゼロから内装を手掛けることは「ほぼない」というヨアナさん。全部を変えることはできないため、既存のもの使う必要があり、“不完全さを受け入れなければならない”といいます。

例えば、家具などが気に入らなくても、新しくしたいと思っても、修理したりして使うことをクライアントに提案し、次に新しいものを購入するときには“本当に気に入ったもの”にするよう勧めるそうです。

🛋️「センスを鍛えるには?」という質問にヨアナさんの答えは?

-どんなことを感じる部屋にしたいかを考える
-質の良いものを選ぶ
-美しく、機能性のあるものを選ぶ
-色んな種類の木材を室内に置くこと、混ぜて使うことを恐れない
-照明は明暗をつけるために、暗めにする
-コンテンポラリーにしたいなら、明るい色の家具やアートを選ぶ
-色は多用しない
-ナチュラルな色
-野草のブーケを飾る
-観葉植物、グリーンを置く

とてもシンプルかつわかりやすく、的確にお話をされるヨアナさん。自身の経験と実績を通じて、そこを使う人はどんなことを感じ、どんな気持ちになるかに重点を置いてお仕事をされています。

お仕事を引き受けたら、かなり時間をかけてヒアリングを重ね、情報をたくさん集めて、念入りに進めるそうです。オフィスも5名と少数精鋭でこなすのがヨアナさん流。

“色んな種類の木材を使った家具を混ぜて使うことを恐れない”というのは、とても心強いアドバイスじゃないですか!?

 

同じ素材や木材で揃えなきゃ!と思っている人も多いはず。

今後もヨアナさんの活躍に注目です。
 

 

ヨアナさんが設えた展示。さまざまな国や文化に触れ、培ってきたセンスが自身のデザインに影響しているのがわかります。家具やファブリック、アート、器などの小物たちなど、ものがたくさん置いてあっても、色味を統一していてすっきり。それでいて、人のぬくもり、懐かしさを感じる心地よい空間に。


工藤健太郎さんは、近年、Artek Tokyo のダイニングキャンペーンや、店内のインテリアシーンのスタイリングを担当している日本のインテリアデザイナー。今回は、エリッサとアルヴァ・アアルトが1959年に手掛けた「ルイ・カレ邸」のインテリアにフォーカスし、日本の視点から「Crafted Through Time」を表現しています。ジュートのラグや家具とグリーンのコントラストも素敵。
 

Artek with Interior architects Joanna Laajisto & Kentaro Kudo Crafted through time
📅2024年10月17日(木)~27日 ※一部展示は11月中頃まで継続
📍Artek Tokyo11:00~19:00 (火休)
インテリアデザイン:1階 Joanna Laajisto / 地下1階 工藤健太郎
展示協力:Sempre、ELEPHANT、荒川蓮太郎、BASE GALLERY、MA2 Gallery、フィンランド大使館
https://webstorejapan.artek.fi/blogs/feature-stories/designart-2024

🪑10/17より、Artek Tokyo店頭とオンラインArtek Japan公式サイトにて発売中!

「Crafted Through Time」 コレクション
https://webstorejapan.artek.fi/blogs/feature-stories/crafted-through-time

アルヴァ・アアルトの名作「アームチェア 45」復刻
アアルトテーブル特別仕様 ウォルナットステイン
ペンダントランプ 特別モデル リネン / ホワイト デュオトーン



【Joanna Laajisto(ヨアナ・ラーイスト)】
フィンランドのインテリアアーキテクト兼デザイナー。2010年に Studio Joanna Laajisto を設立し、2018年にはフィンランドインテリア建築家協会より年間最優秀インテリアアーキテクトに選出されました。代表的なプロジェクトとして、Finnish Design ShopのHQ (Turku)、 Runo Hotel (Porvoo)、Hotel Torni (Helsinki)、Café Savoy (Helsinki)、ヘルシンキ空港内 Finnair Schengun loungeなど。https://joannalaajisto.com/