こんにちは
先日ご紹介したノルウェー映画『ヒューマン・ポジション』（9/14公開）に続き、もう一作品、ノルウェーから！9月20日より、ドキュメンタリー『SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース』が劇場公開されます。
『SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース』は、大自然に生きる老夫婦の姿を娘のカメラが映し出すドキュメンタリー。本年度の米アカデミー賞国際長編映画賞のノルウェー代表作品に選出されました。
老夫婦が暮らしているのは、美しい大自然に囲まれたノルウェー西部の山岳地帯「オルデダーレン」。長さ20キロメートルにおよぶ渓谷は南北に走り、オルデン村のノールフィヨルドで終わります。
野生の自然と多様な動物たちが同居し、約5000年の歳月をかけ溶けた氷河によって形成された青緑色のオルデバトネット湖や神秘的な山々に囲まれたフィヨルド、また四季独自の魅力があり、その風景は太古の地球のまま保護されている地域です。
本作は、娘でありドキュメンタリー作家のマルグレート・オリン監督（『もしも建物が話せたら』など）が一年かけて両親を密着。84歳になる父は、この国で最も美しい渓谷と呼ばれる場所を案内しながら、彼の人生と最愛の妻、そしてこの地で何世代も自然とともに生きてきた人々の暮らしについて静かに語ります。
厳しくも美しいノルウェーの四季とともに、大地に根を下ろし、シンプルで豊かに生きる両親の姿から娘はどう感じたのか。人生の意味や生と死、人生を探求する感動のドキュメンタリーです。
また、本作は、『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダース監督と、イングマール・ベルイマン監督のミューズとしても知られるノルウェーを代表する大女優リヴ・ウルマン（『仮面／ペルソナ』『鏡の中の女』）が本プロジェクトに共感。製作総指揮を担当しています。
オルデダーレンは、オリン監督のふるさと。監督は、いつか故郷の風景を映し出した映画を撮りたいと何年も前から考えていたそうです。
今回、両親を撮影した理由について、「育った環境、風景はその人の一部となり、性格や人間性に反映していく。故郷の風景を映画にすることは、両親の内なる心情（風景）を映画にすることだと感じていました」とインタビューで話しています。
本作は、オルデダーレンの大自然の映像が大きな魅力の一つですが、その映像は9人のカメラマンが担当。また、ドローン撮影については、「大自然の中で、小さな人として父を見られるように、ドローンカメラマンも毎日私たちと一緒に同行し、私は2台のカメラで父が行うすべてのステップをカバーしました」と明かしました。
また、壮大な自然に融合する音楽も魅力的。音楽制作の起点となったのは、オリン監督が子供の頃に聞いた、“風が氷河の中で作り上げる音”。湖や川の水面下にハイドロフォン（水中使用のマイクロフォン）を設置し、氷河の奥深くまでマイクで音を拾ったそうです。
さらに注目したいのは、絵本のような映像の中に、おとぎ話のように存在するトウヒの木。1900年頃、オリン監督の曽祖父が植えたというトウヒの木は、悠々とそびえたち、村や渓谷、そして次の世代をそっと見守っているかのよう。
オリン監督の父にとっては日常的な景色と大地かもしれませんが、視聴者にとっては非日常的な光景。一緒に散歩しながら、春夏秋冬のオルデダーレンの景色、風、音、そして人生について考えさせられる作品。この大自然の中で、人間の存在とはとてもちっぽけ。それでも尊いもの。
劇中で印象的だった父の言葉、「私は84歳になるらしいが、それが何だ」。その足取りはとっても軽やか！
本作を通して、現代のせわしく過ぎ去る世の中で、「父や自然からの贈り物をただ受け止めて欲しい。映像と音で自然を体験してもらい、自然とのつながりを感じてもらいたい」とオリン監督。詩やラブレターのような形を意識したそう。
初めはその美しくダイナミックな景観に圧倒され、感嘆の声がもれますが、ただ美しいだけではなく、ゾクッとする自然の怖さや不気味さも感じます。最新の撮影機材で捉えられたオルデダーレンの移り変わるさまざまな表情をぜひ劇場で！
『SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース』は、2024年9月20日（金）より、TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほか全国ロードショー！
SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース
監督：マルグレート・オリン『もしも建物が話せたら』
製作総指揮：リヴ・ウルマン（『仮面／ペルソナ』、ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』『ベルリン・天使の詩』
出演：ヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエン
2023年/ノルウェー/ノルウェー語/94分/シネスコ/カラー/5.1ch/G/英題：Songs of Earth/原題：Fedrelandet
日本語字幕：岩辺いずみ / 後援：駐日ノルウェー大使館 / 配給：トランスフォーマー
公式サイト：https://transformer.co.jp/m/songofearth/
公式X（旧Twitter）：＠songofearth_jp
© 2023 Speranza Film AS
2024年9月20日（金） TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほか全国ロードショー
