こんにちはセキセイインコ黄

3月23日より、SOMPO美術館にて展覧会「北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」が開催されています。

 

この展覧会は、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド3カ国の国立美術館所蔵の絵画が、はるばる日本に一堂に会するという大変貴重な機会で、内覧会には、3カ国の駐日大使をはじめ、3美術館のディレクターや主任学芸員ら関係者も来日しました。

 

本日は内覧会の模様とともに、展覧会の取材レポートをお届けします。

開幕から1カ月ほど経ちましたが、すでに行ってきたよ!という方、いらっしゃいますか?

これから行くよという方でも、事前に雰囲気を知りたいといった方はぜひチェックしてみてください。また、行きたいけれど、遠方で行けないという皆様は、ぜひ美術館に行った気分で雰囲気を楽しんでくださいね。

※取材では撮影の許可を取っています。

ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン「イルマタル」(1860年)フィンランド国立アテネウム美術館
 

 

雄大な山岳やフィヨルドといった、北欧らしい風景や自然を感じる風景画の他に、民話や神話のシーンを描いた作品も特徴の一つ。そこによく登場する「森」には、何か魔力が宿るとされ、北欧絵画では非常に重要で神秘的な役割を持っているといいます。さらには、産業開発によるネガティブな面や産業化の闇を、実際の「街」を描くことで表現しました。

 

展示構成は、「序章:神秘の源泉─北欧美術の形成」、「第1章:自然の力」、「第2章:魔力の宿る森─北欧美術における英雄と妖精」、「第3章:都市─現実世界を描く」となっており、北欧絵画の魅力をたっぷりと味わえる内容になっています。

 

まさにタイトルのような「北欧の神秘」を感じる作品が次から次へと展示されていて、とても見ごたえがあります。



スウェーデン国立美術館 展覧会部門ディレクター、パール・へードストゥルムさん

 

来日したスウェーデン国立美術館の展覧会部門ディレクター、パール・へードストゥルムさんは、内覧会でSOMPO美術館の展示を見て「非常に素晴らしい展示で感銘を受けている」と感激の様子。


北欧絵画の共通点をあげるとすれば、「自国の文化を意識し、ナショナルアイデンティティを高め、自分たちの国や街に目を向け始めた」という点が共通項としてあげられるよう。フランスの印象派、リアリズム、フォークアート、日本の木版画にも影響を受けているといいます。

へードストゥルムさんは、来場者には、「ぜひお気に入りの作品を見つけてもらいたい」と笑顔で訴えました。


「第3章:都市─現実世界を描く」のフロア。かすかに聞こえる音の演出で、まるでその世界に入り込んだよう。


通常の美術展は無音ですが、風景画のある作品の場所では、風や鳥といった音、 雪を踏みしめる音、子どもたちの声などが、かすかに聞こえるという演出があります。どんな音が聞こえるのか、ぜひ作品を目や耳でも楽しんでみてはいかがでしょうか。

また、4階の映像コーナーでは、ノルウェーのテオドール・キッテルセンの、日本に持ってこられなかった作品をアニメーションと音声で楽しめるようになっています。(約8分)

キッテルセンは、人々が恐れた黒死病(ペスト)や不思議なトロル、妖精を描いたものが数多くあります。豊かな想像力でトロルたちに生き生きとした姿を与え、彼がノルウェーのトロルのイメージを作り出したとも言われているのだそう。

映像では、いろんなトロルが登場します。(私の個人的な感想ですが)「あれ?ムーミンに登場するあのキャラクター??」「ジブリアニメにもいた??」でした。皆さんはどうでしたか?

 

このデジタルアニメーション映像、とても良かったので、ぜひ座ってゆっくり見てみてください。おすすめです!


東京の後は、長野、滋賀、静岡の3カ所へ巡回予定!

SOMPO美術館会場は6月9日までと会期も長いので、GWにお出かけしてみてはいかがでしょう。

 
▼展覧会紹介記事 ※招待プレゼントは終了しています
【3/23-6/9】北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画


 

北欧の神秘 ―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
The Magic North: Art from Norway, Sweden and Finland

会期:2024年3月23日(土)~6月9日(日)
会場:SOMPO美術館(新宿駅西口より徒歩5分)
東京都新宿区西新宿1-26-1
休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館 振替休館なし)
開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで)
※最終入場は閉館30分前まで
※チケット購入方法等詳細は美術館ホームページまで
https://www.sompo-museum.org/
※一部の作品については撮影可。その際は、館内の注意事項をご覧になってください。

▼巡回先(予定)
2024年7月13日(土)~9月23日(月祝) 松本市美術館(長野)
2024年10月5日(土)~12月8日(日) 佐川美術館(滋賀)
2025年2月1日(土)~3月26日(水) 静岡美術館(静岡)

 

 

 


▼会場の一部を少しだけご紹介!

カール・ステファン・ベンネット「ストックホルム宮殿の眺め、冬」(制作年不詳)スウェーデン国立美術館

ガブリエル・エングベリ「湖上の雪解け」(1902)フィンランド国立アテネウム美術館

ブルーノ・リリエフォッシュ「密猟者」(1894)スウェーデン国立美術館

エドヴァルド・ムンク「フィヨルドの冬」(1915)ノルウェー国立美術館

トルステン・ヴァサスティエルナ「ベニテングダケの陰に隠れる姫と蝶(《おとぎ話の姫》のためのスケッチ)」(1895‐1896)フィンランド国立アテネウム美術館

『名誉を得し者オースムン』という物語を描いたガーラル・ムンテの5作。「山の門の前に立つオースムン」「一の間」「五の間」「帰還するオースムンと姫」「山の中の神隠し」ノルウェー国立美術館

今回の展覧会の注目作家の一人、ノルウェーのテオドール・キッテルセンの作品コーナー。童話『ソリア・モリア城』を描いた「アスケラッドと黄金の鳥」(奥)「トロルのシラミ取りをする姫」(手前)ノルウェー国立美術館

『カレワラ』など民族叙事詩の歌謡で才能を発揮した吟唱詩人のラリン・パスケが、カンテレを弾きながら哀歌を口ずさんでいるところを描いた作品。アルベルト・エーデルフェルト「ラリン・パラスケの哀歌」(1893)フィンランド国立アテネウム美術館

館内エレベーターや階段も楽しめます!
ミュージアムショップには図録のほかに、展覧会オリジナルグッズも。

スウェーデン国立美術館の展覧会部門ディレクター、ノルウェー国立美術館主任学芸員、フィンランド文化財団理事長が来日。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド各国駐日大使他、各関係者が開会式に出席しました。

SOMPO美術館の有名な収蔵品といえば、こちらの貴重なフィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」(1888)。まだ見たことがない方はぜひ。会場の最後に見ることができます。