こんにちはオカメインコ

本日は、3月30日(土)より公開のアイスランド映画『ゴッドランド/GODLAND』をご紹介!

『ゴッドランド/GODLAND』は、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品されたのち、数々の映画祭でノミネート&受賞を達成。また、第96回米アカデミー賞()の国際長編映画賞のアイスランド代表に選出された作品です。

 

デンマーク統治下時代のアイスランドへ布教の旅に出た、若きデンマーク人牧師による異国での過酷な旅路や異文化の衝突を、圧倒的映像美でスリリングに描いた人間ドラマです。

(※)日本時間3月11日に授賞式が開催されました。日本の作品では『ゴジラ-1.0』が日本映画として初めて視覚効果賞を受賞。また、宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』が長編アニメ賞を受賞。宮崎監督の『千と千尋の神隠し』以来21年ぶりの受賞となりました。



本作の舞台は、デンマークの統治下に置かれていた19世紀後半のアイスランド辺境の地。若きデンマーク人の牧師ルーカスが、司教からの命を受けてアイスランドへの布教の旅に出ます。

 

最も重要な任務は、辺境の村に教会を建てること。希望を胸に、浜辺から馬に乗り、アイスランドを横断することになりますが、はるか遠い目的地を陸路でめざす旅は、想像を絶する厳しさでした。

ルーカスは、年老いたアイスランド人のガイド、ラグナルとは事あるごとに対立。雨ばかりの悪天候、スピードを出して思うように進めない湿地帯や河川、不眠症にも悩まされるルーカスは、心身ともに衰弱し、生死を彷徨い、瀕死の状態で目的地の村にたどり着きます。

そこでは、デンマークからの入植者である美しい娘アンナに心癒やされるも、長い過酷な旅路の中で、牧師としての理想や信念を見失ってしまったルーカス。彼の行く手には、思いがけない悲劇が待ち受けていました。想像を絶する旅の果てに待つ衝撃のラスト。若き牧師は何を見るのか――。



印象的なのは、前半と後半の対照的な2部構成のストーリー展開。

ルーカスら一行が目的地となる村をめざす旅がメインの前半は、広大な荒野、滝、氷河、噴火する火山とあふれ出るマグマの川など、その自然の驚異が遺憾なくスクリーンに映し出されます。自然を前に、ひれ伏すしかないといった迫力。

辺境の村が舞台となった後半は、過酷な旅の中で信仰を試されたルーカスが、心のよりどころを求めて彷徨う人間ドラマという、前半とは対照的な展開。

前半後半ともに、自然や人間にまとわりつく、曖昧な不気味さが行ったり来たり。奥行きのある美しい映像や色彩が、その神秘的な雰囲気を色濃くしています。

 

 

 


手掛けたのは、アイスランドの気鋭、フリーヌル・パルマソン監督。長編第3作目になります。アイスランド人として生まれ、デンマークで暮らす監督自身が持つ2つのアイデンティティも影響していると思われる本作は、異文化の衝突や、自然と文明の対立、支配や信仰といったテーマを探求した作品。撮影に2年を費やし、美しくも怖さを感じる神話の世界のような風景をカメラに収めました。

日本では、トーキョーノーザンライツフェスティバルで紹介された『ウィンター・ブラザーズ』(2017)、そして、『ホワイト、ホワイト・デイ』(2019)で国際的な評価を得たフリーヌル・パルマソン監督。今、北欧で最も注目されている監督の一人です。


ほとんどのロケ地は監督が何度も訪れている場所。なかには、車で行くことができない場所もあり、すべての機材を自分たちで運び、馬だけで移動しなければならず、まさに映画に出てくるシーンだったよう。でも、この過程があったからこそ、風景をとても真実味のある形で描くことができたといいます。

肉体的にも大変だった作品のようで、主人公ルーカスを演じたエリオット・クロセット・ホーヴは、12キロも減量して撮影に臨んだそうです。

物語のキーマンともいえるアイスランド人のガイド役でルーカスと対立するラグナルを演じたのは、イングヴァール・E・シーグルズソン。日本でも東京国際映画祭で上映された『馬々と人間たち』(2013)などで主演を務め、2019年のカンヌ国際映画祭批評家週間では、『ホワイト、ホワイト・デイ』で主演男優賞を受賞。他の代表作では、『LAMB/ラム』(2021)や『ノースマン 導かれし復讐者』(2022)など、アイスランド映画には欠かせない俳優の一人です。

ルーカスが村で出会う娘、アンナ役は、ヴィクトリア・カルメン・ゾンネが好演。2022年のダニエル・デンシック監督によるデンマーク・ノルウェー・日本合作映画『MISS OSAKA ミス・オオサカ』(2021)で主演を務めています。

個人的に、アンナの妹イーダ(監督の実娘で女優のイーダ・メッキン・フリンスドッティル)の馬の扱いに心奪われました。羊もそうですが、アイスランドは馬も主役級の役割があります。(イーダさんは、大人になったら馬の調教師になりたいと話しているそうですよ)


イーダ(左)とアンナ(右)

前半と後半で異なるルーカスとラグナルのコントラスト、絵画のような構図や色彩。その時代背景や文化的背景を引き出してくれる、登場人物が歌う数々の歌など、ポイントや見どころが詰まっています。ぜひ注目してご覧になってみてはいかがでしょう!

『ゴッドランド/GODLAND』は、3月30日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!


ゴッドランド/GODLAND
監督・脚本:フリーヌル・パルマソン
撮影監督:マリア・フォン・ハウスヴォルフ
出演:エリオット・クロセット・ホーヴ、イングヴァール・E・シーグルズソン、ヴィクトリア・カルメン・ゾンネ、ヤコブ・ローマンほか
原題:Vanskabte Land / Volaða Land / 英題:GODLAND / 2022年 / デンマーク、アイスランド、フランス、スウェーデン / デンマーク語、アイスランド語 / 1.33:1 / 5.1ch / 143分 /日本語字幕:古田由紀子
配給:セテラ・インターナショナル
宣伝協力:竹田美智留
後援:駐日アイスランド大使館

https://godland-jp.com/

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3月30日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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