こんにちはオカメインコ

今年の2月5日、スウェーデンで開催された「ストックホルムデザインウィーク」にて、イッタラの新しいブランディングが発表されました。

イッタラ公式Instagramでは、2月5日の発表を前に過去のポストが全て削除されており、ファンの間では一体何が始まるのかと期待が高まっていました。

本日は、新生イッタラについて、具体的にどういったことが発表されたのか、その全貌に迫ります。


 

■新しいフォントやカラーで誕生!新イッタラ・ロゴ

イッタラのロゴが新しく生まれ変わりました。1881年の創設以来、140年以上にわたり、その時々の時代背景やブランドの状況、デザインの方向性や文化的な影響などを反映したロゴが使われてきました。

例えば、1956年にはティモ・サルパネヴァが「i-ライン」コレクションの箱のために赤い「i」マークをデザイン。時を経てブランドを象徴するロゴになりました。そして、その後も時代とともに、イッタラのロゴは刷新されていきました。

そんな歴史あるイッタラの新しいロゴを手掛けたのは、グラフィックデザイナー、アレクシ・タンミ(Aleksi Tammi)氏。また、タンミ氏がタイポグラファーのヨーラン・セーデルストロム(Göran Söderström)氏とともに制作した新しい「Aino」というフォントも誕生しました。

タンミ氏とセーデルストロム氏は、イッタラのクリエイティブ・ビジョン、価値観、ブランド・ポジションに沿ったデザインを創り出し、クラフトマンシップと革新的なブランドの本質を表現。ガラスのものづくりとパイオニア精神に敬意を表した2つの歴史的なロゴをもとにデザインされました。

 



1881年にフィンランド南部のイッタラ村に設立されて以来、今も同じ場所でガラスづくりをしているイッタラのガラス工場。一世紀以上にわたり培われた独自の伝統と歴史、そしてガラスの専門知識により、イッタラはフィンランドデザインの象徴として世界的に知られています。

新しいロゴは、過去のイッタラのロゴ、特に、1892年のロゴからインスピレーションを得ているとか。「T」の文字が組み合わされたロゴの文字は、イッタラの過去の歴史的なルーツを表しているのだそう。また、創業年の1881年の数字を組み入れることで、ブランドの歴史と伝統に敬意を表しています。

今まで商品につけられてきた「i」ロゴのシールは、地球環境に配慮し、今後は廃止されていくとのこと。

さらに、143年目を迎えるブランドのカラーとして、イッタラのものづくりの源である、窯で溶融しているガラスの鮮やかな色「ファイアーイエロー」を採用しました。

今回のリニューアルは、イッタラの特徴である卓越したデザイン性、伝統的な職人の技術を守りながら、革新的な芸術性をさらに前進させていくという取り組みを示しています。


上段左から2番目が 1892年当時のロゴ。下段中央と下段右は、馴染み深い方も多いのではないでしょうか。それにしても、こんなに変わっていたのですね!歴史を感じます。

 

 

 

 

 


「実験精神にあふれ、エネルギッシュで好奇心旺盛、大胆。こうしたイッタラの世界を皆様と共有したい」 と、ヤンニ・ヴェプサライネン氏(クリエイティブ ディレクター)


■新しいクリエイティブ ディレクターとして、ヤンニ・ヴェプサライネン氏が就任

新しいイッタラのクリエイティブディレクターには、ヤンニ・ヴェプサライネン(Janni Vepsäläinen)氏が就任しました。

彼女は、2023年にイッタラのクリエイティブ・ディレクターに就任以来、革新的な芸術性、卓越したデザイン性、イッタラの特徴ともいえる職人によるものづくりの精神を大切にしながら、大胆にブランドを刷新してきました。

ヴェプサライネン氏は、フィンランドのラハティ応用科学大学インスティテュート・オブ・デザインで学士号を、英国ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得。

JW アンダーソン、ジバンシィ、アレキサンダー・マックイーン、シモーネ・ロシャ、ザ・ロウなどのファッションブランドで経験を積んだヴェプサライネン氏は、母国フィンランドに戻る前、ロンドンのJWアンダーソンでシニア・ニットウェア・デザイナーを務めていました。

年間最優秀ニットウェアコレクションに送られるロロピアーナ賞や米国ファッションデザイナー協議会での表彰など、数々の賞を受賞。彼女のデザインは、ロンドンのファッション アンド テキスタイル博物館で、2020年に開催された展覧会「ニットウェア シャネルからウエストウッドへ」にも出品されました。

彼女が直近で手掛けた作品は、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に所蔵されたJWアンダーソンでデザインを手掛けたカーディガン。歌手のハリー・スタイルズが着用したこのカーディガンは、コロナのパンデミック中に爆発的にヒット。多くの人たちが自らニットを編むきっかけにもなりました。

ヴェプサライネン氏は、今までのイッタラでは想像もしなかったような体験を提供していくこと、革新的で大胆なデザインブランドというアイデンティティを強固なものにしていければと考えています。

また、1881年の創業以来、情熱あふれる職人たちによって生み出されてきたガラスアイテムは、イッタラの核心と捉えていており、クラフトマンシップや革新性、アーティスティックなコラボレーションといった取り組みによって、イッタラが新たな一歩を踏み出していくことを約束しました。

早速、新しい取組みの一歩として、ロンドンを拠点に活動する実験的なサウンド&ビジュアルアーティストのダムセル・エリシウム(Damsel Elysium)氏とのコラボレーション。マウスブローで手作りしたユニークなガラスの楽器やオブジェを制作しました。

 



■新体制初の新作「Iittala PLAY」コレクション、3月に発売

クリエイティブ・ディレクターに就任したヤンニ・ヴェプサライネン氏のディレクションによる初のコレクション「Iittala PLAY」が、今年3月に登場します。

さまざまな用途に使えるように考えられたガラス、磁器とテキスタイル、キャンドルから構成された「Iittala PLAY」は、暮らしに溶け込みながら、遊び心と喜びをもたらす現代のライフスタイルを象徴するようなコレクション。

棚の中にしまい込むのではなく、遊ぶように楽しみながら使うことが出来る、使う人の個性に合わせてクリエイティビティを発揮することが出来るようにデザインされました。

アアルトの名言、「いつも遊び心を "Don't forget to play"」にインスパイアされたコレクションで、イッタラの遊び心と多彩な姿勢、実験的で先進的なブランドというイッタラの創業当時のアイデンティティを表現しています。



また、ライトライラック、サーモンピンク、ライトグリーンといった優しいカラーの「Iittala PLAY」は、アクセサリー、または鍵を入れるキートレー、プラントポットなど、テーブルウェアとしてだけでなく、インテリア使いとしても活躍しそう。

磁器のテーブルウェアの縁と、マグのハンドル部分のアクセントカラーは、ハンドペイントで描かれており、どこかノスタルジックでありながらも新鮮なバイカラーのデザインを楽しむことが出来ます。

コレクションのカラーパレットに関しては、南フランスへの旅からインスピレーションを得たとか。

ヴェプサライネン氏が、1950年代初頭にアンリ・マティスが手がけた南フランス・ヴァンスにあるロザリオ礼拝堂を訪れた際に、細部まで考え抜かれた礼拝堂のあらゆる要素が、イッタラのデザインの特徴である色彩や有機的なフォルムと強い共通点を持っているように感じられたのだそう。


さらに、1936年にアルヴァ・アアルトがデザインし、今もイッタラ村の工場で作られ、木型を使用した140㎜サイズのアルヴァ・アアルトコレクションのベースにも「Iittala PLAY」のライトライラックのカラーを採用。モダンで新鮮!

 



オイバ・トイッカのデザインによるバード「レッパイネン」(190x165mm)はライトライラックのボディにクリアのヘッド、トキ(205x165mm)は新色ピーチピンクのボディに白のヘッド、ゴールドブラウンの長いくちばしという、美しいカラーで登場します。

新作「Iittala PLAY」コレクションは、3月よりイッタラの直営店と公式オンラインショップにて先行展開予定。

<ラインナップ>
プレイ ボウル 19cm/13㎝/9㎝
プレイ マグ 0.35L
プレイ ディーププレート 22cm
プレイ ベース 180mm
プレイ デコレーティブボウル 90㎜/50㎜
プレイ キャンドル ラウンド/オーバル
プレイ テーブルクロス 135×250㎝
プレイ ティータオル 47×65cm
プレイ ブランケット 130×180㎝
プレイ クッションカバー 48×48㎝
プレイ ペーパーナプキン
アルヴァ・アアルトコレクション ベース 140㎜
バード バイ トイッカ レッパイネン/トキ/フクロウ(子)

 





これまでも、イッタラの代表的なデザインや技法を伝えつつ、世界的なデザイナーやブランドとコラボレーションするなど、その存在感を見せてきたイッタラ。

イッタラにこのような大きな改革を予測していなかったということもあってか、今回の大幅なブランディングリニューアルの発表後、SNSでもかなり多くの戸惑いや驚きの声をはじめ、さまざまな反応が見られています。
 

イッタラの歴史や、核となるものづくりへの情熱、伝統的な職人の技術への敬意を表し、守りながら、革新的な芸術性をさらに前進させ、挑戦していくというイッタラ。

 

現状に甘んじることなく、新しい扉を開けていこうとするフィンランドの精神を感じられる今回のイッタラの改革。今後の展開に注目していきたいところです。

https://www.iittala.jp/