こんにちはニコニコ

8月3日午後、イッタラ松屋銀座7階にある店舗リニューアルを記念して、フィンランドから一時帰国されているガラス吹き職人、さとうみつる氏のスペシャルトークショーが開催されました。北欧区も潜入!特別に許可をいただき、トークショーの模様をお届けします。(※撮影は会場の許可のもと行っています)

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さとうみつる氏

「i」のマークでおなじみ、北欧スタイルの食卓を彩るのに欠かせない定番ともいえる、フィンランドのテーブルウェアブランド「イッタラ」。さとうさんは、イッタラ村にある工場でガラス吹き職人の一人として活躍。前回、イッタラGINZAで行われたトークに続き、今回も大勢の来場者がありました。

夏休みということで、中にはお子さま連れの親子の姿も。さとうさんのイッタラ工場の様子や、ガラス製品の作り方といったお話に、じっくりと聞き入っていました。

さとうさんがフィンランドに渡ったのは2000年のこと。フィンランドに興味がわいたきっかけは、なんとフィンランド音楽だったそうです。2000年から2003年まで、ハメ専修学校ヴェッテルホッフ・ガラス科に在籍し、2003年より、フィンランドの老舗ガラス工場であるヌータヤルヴィガラス工場に勤務。2014年、ヌータヤルヴィガラス工場閉鎖にともない、2014年3月よりイッタラガラス工場で製品づくりに携わっています。


さとうさんが実際に使っている道具も披露してくださいました!

主に、バードシリーズを手がけているというさとうさん。バードシリーズは、巨匠オイヴァ・トイッカ(※)がデザインし、世界中に多くのコレクターが存在する鳥がモチーフの人気ガラス製品。工場に来ると、オイヴァさんは、ほぼ口頭でどんなデザインにするかを職人に伝えるそう。
 
「たまに寝てます」という、巨匠の工場でのほっこりとしたエピソードもこっそり披露。コーヒーを飲みにカフェに行ったと思ったら、そこで友人たちと雑談が始まり、帰ってこないことも(笑)

(※)オイヴァ・トイッカは、“朝露”という意味の日本でも人気の「カステヘルミ」や「バード」を手がけたフィンランドを代表するデザイナーです。
 
バードやキャンドルホルダーなど、イッタラの名品づくりの光景が次々と写真で紹介される中で、一番印象的だったのは、昨年発表された味のある表情の「ポーラーナイトオウル」。

フクロウシリーズは、型を使って吹いているそうですが、体部分の点々模様や顔をどうやって作っているのか、そのナゾを教えてくれました。専門の道具をたくさん使いこなしながら完成へと向かう・・・それはそれは、手が込んでいる作業ばかり!



ポーラーナイトオウル(メス)の製作過程を話すさとうさん。
 

できあがると、じっくりゆっくり温度を下げていく徐冷炉に入れて冷まします。高温度のガラスはオレンジ色に見えますが、職人さんには、たいてい何の色かがわかるそうです。それでも、「徐冷が終わらないと、わからない色もある」のだとか。さらに厄介なのは、徐冷が終わって運んでいる最中に、突如割れることも。
 

「赤系はとても微妙で、色が出しにくい。色が飛んだり抜けてしまったり。温めすぎると茶色になったりします」と、ご本人が実際に手がけた作品で見せてくださいました。

温度や原料の配分など、ちょっとしたことで大きく変わってしまったり、時間をかけて作っていても、思った色にならなかったり、割れてしまったり。ガラスって・・・生きてますね!

もし今後、イッタラショップでバードシリーズを見かけたとき、イッタラの工場で働く日本人の吹きガラス職人、さとうさんがいることを思い出してみてください。きっと、バードたちがより身近に感じるのではないでしょうか。

なんとトークショー最後には、さとうさん本人が手がけたオリジナルのガラス器のプレゼント抽選会が行われました。筆者は残念ながら当選ならず(苦笑)
 
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トークショー終了後も、たくさんの人に囲まれていたさとうさん。イッタラの工場の中での作業の様子やエピソードなど、貴重なお話をありがとうございました!

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<なぜ「鳥」なのか?イッタラ「バード」について>
2009年の来日時に、オイヴァ・トイッカは鳥への想いをこう語っています。
「私にとって自然は、とても重要なものであり、尊敬の念を抱いています。そのことを表現するものの一つが鳥でした。私が鳥を好きである最も大きな理由は『飛べる』ということ。私も空を飛べたらいいなと憧れます」



バードコーナー。昨年のイッタラ丸の内オープン時の店内より
 
昨年発売になった数量限定のTOKYOバード