ネパール映画
カースト制度を背景にした悲恋の物語
映画「道端の花」
2010年 ネパール 137分
<監督>
スラジュ・スッバ
<キャスト>
ラジェス・ハマール(ネパールで超有名な俳優さんだそうです:本編では警察署長役で登場)、
エス・クマール、
レカ・タパ、
バブ・ボガティ、
ナンディタ・ケシ、
スバドラ・アディカリ
<内容>
ネパール社会に、今日も根強く残るカースト制度による身分差別。
最下層出身のスレシュは、最上位の司祭階級の娘である恋人グラシュと、幼少時より静かに愛を育んできた。しかし、ある大事件が発生し、身分の違いという壁が二人の前に立ち現れる……。美しい大自然を背景に、人間にとって本当に大切なものは何かを問うピュアな感動作!(MovieWalker)
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ボリウッド映画なのか?
否!
ネパール映画なんだぁ~~♪
ネパール映画は全く認識がなく、もちろん今まで一度も観たことがなく、日本で上映されたことがあったことも知りませんでした。
初めての鑑賞。
まずネパールは、他民族、多文化、多言語が共存していて、また宗教もヒンドゥ教、仏教、アニミズムなどその習合が混在しているよう。
カースト制度はとっくの昔に廃止されてはいるものの、社会には根強く残っているのも事実のようです。
ただインドのカースト制度と少し違ってはいるようですが、
上級:インド・アーリア系の「バフン」、
次が「チェトリ」、
3番目にモンゴロイド系の「マトワリ」、
そして最下位不浄階層として「ダリット」
この物語は不浄階層ダリットの男性と身分の違う幼馴染の女性との悲恋の物語。
ボリウッドテイストのネパール映画
インドの影響を相当受けているというより、映画はボリウッドそっくりでした。
歌も踊りも、笑いや涙、アクションもありのエンターティメント系の内容。
しかし、集団ダンスはなかったw
そして、悲恋のラヴストーリーに見えるような内容でしたが、実はけっこう社会派ドラマの一面もあって、強いメッセージもだしていましたね。
話の展開はまず、主人公ダリットの男性が恋人殺しの犯人として警察に拘留される。
彼はなぜ殺したかは、完全黙秘をしています。
しかも何も食べず何も飲まず・・・。
一体なぜ殺人を犯してしまったのか?
サスペンスドラマのような幕開け。
そこへ彼を知る男が現れ、警察署長に話し始めます。
「彼ほど彼女を愛していた者はいない。彼が絶対恋人を殺すことはない・・・」
そして、あのボリウッドお得意の歌が流れ、幼いころから知り合いだった二人の物語が回想されていきます・・。
カースト制度に否定的だった彼女の父親が、実はビジネスのために見せているだけの善人の顔、本来の姿は差別主義者だったりします。
また二人の間の関係も、離れ離れになったりくっついたり。
個人的には、この殺人事件は何かの理由があって殺してしまったのか、はたまた彼女の自殺?かとも思って観ていましたが、彼女の死は意外な事だったことが最後にわかります。
そこは毎度のことですが、観てのお楽しみです!!
全編、舞台がネパールだけに山岳地帯の美しい自然が映し出されます。
そしてその自然の中で歌うシーンが異常なくらい多いのです。
TVのスポット広告のように、頻繁に歌のシーンが挿入されますw
個人的にはちょっと歌はもういいよって感じで、お腹いっぱいになりましたが、たぶんネパールの人たちはその歌が流れる映像に、気持を揺さぶられていたのかもしれませんね。
また話の展開も唐突に変わったりして、ツッコミどころも歌と同じくらい満載でした。
ネパールの超有名俳優ラジェス・ハマールさんが、ラストシーンでこの映画の核心になるようなセリフ、そしていい演技をしています。
やはり重鎮がいいとこどりだったのかw
警察署の前にスレシュを死刑にしろと訴えて集まった民衆に対して、スレシュを民衆の前に立たせて言い放ちました。
それはカースト制度への痛烈な批判と、この国の社会へそして国民一人一人に訴えかけるようなセリフでした。
たぶんここが監督が一番伝えたかったところだったのでしょう。
主人公の男女がけっしてインパクトある様な美男美女でなかったぶん、ラジェス・ハマールさんがひときわ男前に見えました!
エンタメ性もありまた社会性のある内容、少々ツッコミも入れたくなるような展開もありましたが、ただこの純朴な映像や内容に最後はウルっとさせられてしまいました。
ボリウッド映画に比べると派手さはありませんが、素朴さが感じられたネパール映画を鑑賞できてよかったと思います。
しかしどの国にもありますが、差別は良くないですね。
5点満点中3.0
映画と関係ありませんが
竹田の子守唄 原曲 ~ 赤い鳥Ver. 【cover】
あの名曲「竹田の子守唄」には悲しい原曲があったのです。
子守歌ではなく、特定地域での守子歌ですね。
ですから竹田の子守歌は一時期放送禁止歌になっていました。
これもまた日本にあった差別ですね。