映画「ぼくの村は戦場だった」 | ほくとの気ままなブログ

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映画「ぼくの村は戦場だった」

 

1962年ソビエト 95分

 

<監督>

アンドレイ・タルコフスキー

 

<キャスト>

ニコライ・ブルリャーエフ、

ワレンチン・ズブコフ、

V・マリャービナ

 

<内容>

イワン(ニコライ・ブルリャーエフ)がいまも夢にみた美しい故郷の村は戦火に踏みにじられ、母親は行方不明、国境警備隊員だった父親も戦死してしまった。

一人とり残された十二歳のイワンが、危険を冒して敵陣に潜入し少年斥候として友軍に協力しているのも、自分の肉親を奪ったナチ・ドイツ軍への憎悪からであった。司令部のグリヤズノフ中佐、ホーリン大尉、古参兵のカタソーノフの三人が、イワンのいわば親代りだ。グリヤズノフ達はイワンをこれ以上危険な仕事に就かせておくことはできない……これが、少年を愛する大人たちの結論だった。しかし、イワンはそれを聞くと頑として幼年学校行きを拒否した

憎い敵を撃滅して戦いに勝たねば……やむなくイワンをガリツェフ(E・ジャリコフ)の隊におくことにした。ドイツ軍に対する総攻撃は準備されていたがそのためには、対岸の情勢を探ることが絶対必要であった。出発の日、カタソーノフはざん壕から身をのり出し敵弾に倒れてしまった。執拗に彼の不在の理由をきくイワンにはその死は固く秘されホーリン、ガリツェフの三人は小舟で闇の中を対岸へ。二人が少年と別れる時がきた。再会を約して少年は死の危険地帯の中に勇躍、進んで行く。

終戦。ソビエトは勝った。が、そのためには何と大きな犠牲を払われねばならなかったか……。

かつてのナチの司令部。見るかげもなく破壊された建物の中に、ソビエト軍捕虜の処刑記録が残っていた・・・・。(Movie Walkerより抜粋)

 

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映像の詩人と言われた、タルコフスキー監督作品を何本か続けて観ましたので、まずこの作品をご紹介。

 

この作品は監督が30歳の時の初長編作品

このような作品を作り上げるとは、やはり監督はただものではなかった。

難解な作品が多いタルコフスキー監督ですが、今作品は眠くならずにw(この表現、わかる方はわかっていただけると思います)。

わかりやすかったと思っております。

 

 

簡単に説明すると、主人公イワンが住む村が、ある日ドイツ軍の侵攻を受け、村は焼かれ親は行方不明になってしまう。

彼は憎むべきドイツへの復讐のために、学校へ行くことを拒み、斥候として情報を軍にもたらす任務に就こうとする。

そのイワンを通して戦争の生む悲劇を描いた作品になります。

 

 

冒頭で映し出される純真無垢で、希望に幸せにキラキラと心ときめかせているイワンの瞳が印象的であり、忘れることができません。

平和な故郷で母親に甘えるイワンの穏やかな顔、そして相反して戦場でドイツ軍に復讐を誓ったイワンの表情は冷酷な戦士の目に変貌していました。

その違いには唖然とさせられます。

 

 

純粋で無垢な少年が、ある出来事をきっかけに、そのように変わってしまった責任は、いつの世も大人たちの責任なのです。

 

戦争さえなかれば、イワンの瞳は輝いていたはずです。

2度とイワンのような少年を出さないようにしなければいけない。

しかし現実問題、聖戦と称したりして子供たちを利用したり、幼い命を兵器のごとく利用している大人たちがいることも現実なのです。

大人の勝手な都合で巻きこむなっていうことでしょうか。

 

この監督、長回しによるゆるやかなカメラワークがやはり特徴のひとつです。

独特な視点から自然を切り取り、入れ込んでくれます。

 

 

川の流れ、雨水、バケツの水など水をうまく使っている、、は監督には欠かせない撮影アイテムです。

 

 

この物語の中でちょっと特質すべきシーンですが、白樺林のシーンは、幻想的な映像美を見せてくれます。

ただこのシリアスな内容の映画の中で、このシークエンスは必要なのかと疑いたくなるような場面でもありました

それは壮大な美しい白樺の林の中でくりひろげられる、若い男女の将校?の恋愛のかけひき。

追いかけっこ?

それが長回しでその姿をずーと追い続けます。

挙句の果てには、なんと宙ぶらりんのキスシーンw

 

 

あれ???

何か意味あるのか?と、最初は無意味なシークエンスかと思いましたが、よくよく考えるとけっこう重要なシーンなのかも?

勝手な解釈ですが、シリアスに反戦をかかげるようなところにこのようなシーン、それはそれで戦争なんかよりももっと大切なものがある。

戦争どころじゃない。

それは男女の恋愛、恋のかけひきのほうが重要なのだよ。

いやぁ~そういうことなのでしょうか?

それもまた、反戦に通じるのかと納得。

これはこれでインパクトのあるシーンでした。

 

光と影をうまく使いながら観るものを希望へ、またはどん底へと振り回してくれます。

 

やはり映像美で見せてくれるタルコフスキー作品。

だてに映像の詩人と言われているのではないですね。

 

イワンが敵陣へと危険な斥候を志願して別れていく、その姿を見守る2人の兵士との別れはなんとも胸騒ぎを覚えるシーンでもありました。

 

 

ラストは、滂沱の涙。

イワンの顔が忘れられません。

 

この作品は、一度は観ておくべき作品のひとつではないでしょうか。

 

 

5点満点中4.2

 

 

 

↓全編を字幕付きでYouTubuで見ることができます。