あの作家スティーブン・キングが
原作を読んで吐いたといわれる作品。
映画「蠅の王:1963年版&1990年版」
↑のポスターは1990年版の物です。
1963年イギリス映画 87分
(ちなみに今回は1990年版:90分も比較の意味で両方観ました)
*画像は両方(1963、1900)を使わせていただきました。
ノーベル賞作家ウィリアム・ゴールディングの
小説の映画化
<監督>
ピーター・ブルック
<キャスト>
ジェームズ・オーブリー、
ヒュー・エドワード
<内容>
近未来の話。イギリスが原子爆弾の攻撃を受けたため、陸軍幼年学校の生徒たちは飛行機で疎開先へと向かうことに。その途中で飛行機にトラブルが発生、24人の少年たちが無人島に漂着する。救出を待とうとする理知的な少年ラーフと、豚を狩り生き延びようとするジャックとのグループに分かれて対立する少年たち。やがて、苛酷な環境と過ぎ去る時間と共に秩序が乱れてゆく…。少年たちの内に秘めた本能が目覚め、狂気に駆られた凄惨なゲームが始まります。
無人島に漂流した、子供たちのサバイバル物語
15少年漂流記をモチーフにしているような作品ですが、展開は真逆です。
少年たちの根源悪が噴出するようすを描いています。
理性のたがが外れ対立を起こし、殺し合いに発展していきます。
漂流体験を通して、成長していく15少年と違ってこちらは原始人へと退行していくさまが、おそろしくリアルに描かれています。
そして集団が閉塞状態になったときに何が起きるのか、イノセントの崩壊それが良く描かれていると思いました。
核になる人物のキャラクターがはっきりしていて、自分としては見ごたえのある作品だったと思います。
ラストシーンは狂気の中、鬼気迫る場面からあっと驚くシーンヘ!
ネタバレになりますので書きませんが・・。
ぜひ観てくださいね。
1963年版のほうはモノクロですので、迫りくる恐怖はこちらのほうがあるように思えます。
ただ内容的にどちらを観てもそう違いはないと思います。
まず何故にこの作品を観たかといいますと、知り合いで2度と観たくない精神的に辛くなる映画として挙げていた人がいましたので、どんな映画だろうということで興味がわき今回鑑賞した次第です。
自分としては2度と観たくないほどの、ショッキングな映画ではなかったですけれどw
この映画ポイントとして、作品を観る時に知っておいたほうが良いと思われることでは、蠅の王とは聖書にでてくる悪魔「ベルゼブブ」のことを指しています。
また作品中では、蠅が群がる豚の生首を蠅の王と形容しています。私はキリスト教徒ではないのですが、キリスト教で言われる7つの大罪のなかで、ベルゼブブが司る「暴食」を象徴する動物が豚のようです。劇中では、狩猟した成果として得体のしれない闇の獣のようなものに、殺した豚の生首を捧げます。
あと、少年の一人サイモンがその生首に群がる蠅(ベルゼブブ)の言葉を聴くのですが、小説ではしっかりその内容が書かれていますが映画では豚の生首に群がる蠅の状況を見つめているシーンのみです。
ですから、そこのところは深くはわからないでしょうし、キリスト教に通じている人などでない限り、豚や蠅の意味が解らないとは思います。
自分は蠅の王から悪魔ベルゼブブという名前を知っていたくらいですし、また原作を読んでいないので先ほど記述した、ベルゼブブが少年い語り掛けるという内容は、原作のことを記事にしている方のブログをみて知ったくらいです。
観た後、なるほどと思うこととして印象的だったのは、ピギーというメガネをかけた小太りの少年が登場します。
彼は最後まで常識人だった気がします。
ただし、彼のあだ名がピギー(子豚)ベルゼブブが司る動物が豚・・・。文明人そしてそこで飼われている象徴として子豚と考えると、文明社会の中では家畜でありその末路は・・彼の運命とダブッてしまいました。
余談ですが、楳津かずおの漫画「漂流教室」、コンセプトが似ています。
何しろノーベル賞作家の作品の映画化ですから、私が考えるよりもっと奥が深いのかもしれませんが、かなりインパクトのある作品だったことは確かです。
5点満点中 3・8
1963年版動画