トキの病は時間とともに身体を蝕んでいた。
弱き人々のために力を尽くしてきたトキであったが、自らの死期が近いことを悟り、ひとりの拳法家として命を懸けてラオウと戦うことを決意した。
ケンシロウはトキの病が重いことを察し、トキの前に立ちはだかり、戦いを思いとどまらせようとする。
しかし、トキの決意は固く、ケンシロウと拳を交えることにより、自らの拳が蝕まれていないことを示した。
この戦いの前に行われたのが、「北斗天帰掌」の儀礼である。
北斗天帰掌とは、「誤って相手の拳により倒れたとしても、相手を恨まず悔いを残さず天に帰る」という誓いの儀礼であり、トキの覚悟が伝わってくるエピソードである。
「私の病んだ体では復活したラオウを倒せぬというのかケンシロウ」
「よかろう!その目で確かめてみるがいい」
トキは北斗天帰掌により、戦いの覚悟を示す。
ケンシロウも北斗天帰掌で応える。
(「北斗の拳」原作より抜粋)