このブログ、「北欧ナイフ」を勧めるという趣旨でやっていますが、当然、それだけだとネタも切れてしまいます。
なので、もうかなり以前から、ナイフ全般に関して取り扱っていますが、今日もその流れ。
で、問題はタントータイプのブレードなんです。
タントーは「短刀」です。2000年代に入ってのタクティカルナイフブームで、一気に知名度を上げたブレードの形状。
人によって「アメリカ式」みたいな分け方をすることもあるみたいですが、大きな括りでは「タントー」なのです。
ともあれ、タントーというだけで、ちょっとタクティカル感が出てきますよね。
私、実は時折、「フォールディングナイフ」熱が上がる時があるんです。
いつもは基本的にはフィクストナイフ派。
けど、何故か無性に「折り畳みが出来る便利さ」とか、そのメカニカルな部分とかが気になって仕方なくなってしまうことがあるという。
で、ちょっとAmazonを探していたら……タントータイプのフォールディングナイフがあったのです。
これこれ。
安心と信頼のコールドスチール社のナイフですし、コールドスチールの動画で、「トライアドロック」なる超強力なロック機構も知っています。で、マニラロープみたいのを袈裟懸けにしてスッパリ切ってしまったり。
つまり、いいものだって分かっているのです。
そうそう。鋼材はS35VNだということを申し添えておきましょう。
鋼材に興味関心があれば、「結構いいじゃん!」って思うはず。スパイダルコのパラミリタリーとかでも、この鋼材が使われていましたよね?(今はS45VNの鋼材になっていたりします。私のもっているそれもそうです)
ま、ともあれいい鋼材を使っている。
しっかりとしたロック機構を備えている。
ハンドルもG10で頑丈。
とくれば、悪いナイフのはずはない。
けれども、実際に使って触って研いでみないと、なかなか真価はつかめない。
でポチッたというわけ。
なので、タントーブレードについて、コールドスチールのRecon1を題材にして、記事を書こうと思ったのです。
結論から言うと、「割とタントーは難しい部分があるな」ということ。
タントータイプに惹かれる人って、3種類いると勝手に思ってます。
一つは「タクティカルな雰囲気が好き」というタイプ。
もう一つは「エッジが直線だから、研ぎが楽そうだな」と思う人。
最後は1、2の複合タイプ。
私も20年くらい前ですかね、一回、CRKTのM16のタントーを購入したことがあります。
これとほぼ同じもの。
けど、こんな高くなかった気はしてるんだけどもなぁ。
ま、その時は、私は「複合タイプ」でした。
今ほど研ぎも満足に出来ませんでしたし、「直線なら研ぐのも楽々だぞ」と考えていたことは正直に告白します。
けれども、ポイントからの短い直線部分って案外研ぐのが難しかった記憶があります。
グッとナイフを立ててやって初めて、エッジが砥石に当たる。
失敗を繰り返して、結構研ぎ傷だらけにしてしまったような。
まぁ、問題はRecon1の方。
何が問題かって、いい鋼材を使っているのに「エッジの削りが悪い」んです。
均一にビーッとエッジが切ってあれば、研ぎも確かに楽になる。
けれども、割とガタガタだったんです。
つまり、砥石を当てた時、ある一定の角度にすると、エッジに当たるところもあるし、当たらないところもある。
よって均一に研げないという問題が発生します。
ちなみにRecon1は台湾製なんですが、台湾製はかなりよくなったと聞いていますが、こういうエッジの仕上げを見ると、なんだかなぁ……という気はします。
それに、このナイフ、結構なお値段がしますでしょ? もうちょっと何とかならなかったのか、と。
当然、エッジ幅も同じ面でありながら、広いところもあり、狭いところもありというわけで、エッジ付近を指でツーッと触ってみると、微妙に厚さに違いが出てるんですよ。
エッジ幅の広いところに合わせて砥ごうとすると、当然そちらのほうが鋭角になっていますから、エッジの狭い方には砥石が掛からないのです。
同時に、エッジの狭いところに合わせて砥ごうとすると、広い面全体には当たらず、なんとなく研ぎムラっぽいのが如実に見えてくる。
これ、いい解決法が2つあって。
一つは「研ぐ」ことを最優先して、「エッジ幅の狭い方(あるいは比較的狭い任意の場所)に合わせて研ぐ。多少の美観は気にしない」というもの。
今一つは、「ダイヤ砥石を使い、一度エッジを綺麗に出してあげる」というもの。
後者が一番美しく仕上げることが出来ます。
が、ちょっと忍耐が必要になります。
S35VN、結構硬いので、ダイヤ砥石でやったほうがぜーったいいいです。
ちなみに自分は、片面は比較的修正が楽そうだったので、均一にエッジを研ぎだし、反対側の面はガタガタ度が高かった故に、そこそこいい場所を見つけて、そこを基準に研ぐようにしています。
つまり、前述の折衷案のような。
ただ、美観を気にしないということであれば、とにかく刃をつけちゃえばいいんですよ。
鋼材がいいものですから、切れ味はとてもいい。
丁寧に磨き込むと、ヌルッとしたような切れ感。
そこそこの番手で、ザっと仕上げれば、食いつきのいい切れ感になります。
ちなみにブレードの汎用性ですが、ふつーのナイフのそれに比べると汎用性はやはり落ちます。
真っすぐに近い(びっみょーに反っている)と、結構切りにくいなってシーンがありますもの。
まな板の上で、食材を切ったとして、普通のナイフの自然なアールがあれば、ナイフを持ち上げるようにしていけば、大体なんでも切れちゃいます。
けど、真っすぐやそれに近いと、それがやりずらい。ナイフのアールって研ぐ時には「難しいなぁ」と思いますけど、やっぱり意味があるんですよね。
とはいえ、ちょっと乱暴な使い方に入りましょうが、スクレーパーとして「何かを削り落としたい」なんて時には、真っすぐに近いタイプのブレードは結構イケてると思いますよ。
ちなみにトライアドロックですが、ぱっと見は普通のロックバック方式に見えます。
けれども、内部的には色々あるようで、とにかく硬い!
かなりの力を込めて、本当に一番したまで押し込まないとブレードが畳めないのです。
けど、これは長所でもあるかな?
一度オープンしちゃえば、フィクストナイフに近い頑丈さで使用出来ると考えればよろしい。
色々書きましたが、タントー好きな人には、「頑丈だから、ガシガシ使いたいなら満足できるんじゃ?」と言えるけれども、万人におすすめ出来るものとはちょっと違いますよね。
「頑丈でいい鋼材のナイフなら、汎用性が欲しいんだ!」って人は、同じRecon1シリーズでもスピアタイプのブレードなどがあるので、そちらを選択されるといいでしょう。
タントーはタクティカル系によく使われるだけあって、「ユーティリティ系」とは違う使いにくさがあるというのはひとまず言えそうです。
けど、タントーの魅力にその雰囲気や佇まいというものもありますから、そういう方は、出来れば現物が手に取って見られるお店で、エッジの付け方を見た上で購入されるとよいかと。
逆に、「刃こぼれもいつも直してるし、エッジの修正なんてお手の物よ」ってなベテランユーザーならネットで買っても全然問題ないですけれどもね。
というわけで、タントーブレードを切り口にして、コールドスチール社のRecon1をちょっと使ってみたレビューを書いてみました。
皆様のご購入の参考に少しでもなれば幸いです。
それでは、また。