私はいまだに剣鉈が好きで、必要があればガシガシ使っていて、時折記事にも書くんですが、このブログにも「剣鉈 研ぎ」とか、「剣鉈 研ぎ方」なんてキーワードで来られる方が多いのです。
実際、軽登山をするくらいであれば剣鉈なんて必要ありません。
狩猟なんかだとまた話は変わってきますけれどもね。
とはいえ、人のいない山だったり、事前の情報でヤブや笹が生い茂っていて、歩きにくい、なんてことが分かっていれば剣鉈を持っていく必要が出てきたりするわけです。
個人的な感触ではあるんですが、フィールドを上へ上へと登っていくタイプのアウトドアでは、剣鉈の出番はあまりなく、逆に、横へ横へと移動していくようなアウトドアでは、結構な活躍の場があります。
「登山」という括りではなく、大上段に振りかぶっていえば「冒険」や「探検」に近い時に、頼もしい相棒となる。
それが私の剣鉈へのイメージです。
例えば、ソロでの探検中、足を痛めてしまった場合、ビバークを余儀なくされる場合、大いに役に立ってくれる存在なのです。
また、フキを採る時なんかは一気にまとめて刈り取れるので、そういう時にもちょっと便利かな。
私の愛用の剣鉈の一本です。
「六寸 特」と名付けられた一本で、布川刃物製作所さんに打って頂いたものです。
剣鉈って、どうやら7寸が基本サイズで、体格などに合わせてサイズをアップさせたり、ダウンさせたりするようです。
私は身長が185センチありますから、結構大きいほうでございまして、8寸でも問題ないんですが、取り回しがよく、ザックの中でかさばらず、さりとてナタとしてのパワーは保持して欲しい、という思いから、6寸ですが、厚めの剣鉈を注文させて頂いて、それで完成したのが「六寸 特」というモデル。
ま、ここまでが前口上。
使ってりゃ、剣鉈だって研いでやる必要が出てきます。けれども、剣鉈の研ぎは少し難しい。
というのも、それが「ハマグリ刃」であるから研ぎが難しいというわけです。
で、私は「サンドペーパーを使って研げば、綺麗に、しかもちゃんと研げるのでは?」と思い、実験してみたのです。
結果、私の目論見は成功いたしまして、最低限の美観とキチンと使用に耐える刃を作れるようになりました。
以前、記事にも書いたんですが、久しぶりに剣鉈を研いだので、備忘録を兼ねて手順を記しておこうと思います。
まず、「裏」は平面の出た砥石でまずはしっかりと研いでおきます。
基本はベタで大丈夫なはずです(秋田特有の裏スキ~書いてある刃物はベタだと研げない可能性があります。購入時によく確認してみてください)。
そうそう。ここでは「片刃」の剣鉈の研ぎ方を解説いたしますよ。両刃の剣鉈はまた別の機会に。
研ぎに、サンドペーパーを適当な大きさにちぎり、水をたっぷりつけて、ナイフで言うところの「ベベル」部分をやさしく磨いていきます。
サンドペーパーの番手は、#800~#2000くらいでしょうか。
今回は、砥石で研いだ跡も残っていたのですが、いきなり#2000のペーパーで研いでしまいました。
光の当て方にもよるんですが、このくらいにはすぐに出来ます。
指の腹にサンドペーパーを巻き付けるようにして、ベベルの曲面に指がフィットするようにしながら、優しく磨くのです。
この際、注意したいのは「エッジにサンドペーパーを当てないようにする」ということ。
一つは、刃先までサンドペーパーが当たるように磨いてしまうと、刃がサンドペーパーを引き裂いて指を切ってしまう恐れが大だから。
もう一つは、刃先は最後に仕上げたほうが、エッジのダレが少ない気がするから、です。
丁寧に水気がなくならないようにして研いでいけば、すぐにピカピカと綺麗なベベル面になっていきます。
ま、実用品ですからそこまでピッカピカにする必要はないので、どの程度まで仕上げるかはお好みです。
当然、粗い番手から細かい番手に代えて研いでいけば、より綺麗に仕上がることと思います。
ベベル面が綺麗に磨けたら、最後の最後でエッジ付近を磨きます。
指を切らないように注意して、エッジ部分をサッと軽く磨いてやればOK。よほど欠けや潰れがない限り、これで「裏」側にバリが出ます。指を切らないように、ペーパーを外側に逃がすようにしてサッサと研いでやるのもいいと思います(私はそうしてます)。
最後に裏のバリを軽く落として完了というわけ。
これで、かなり見た目も綺麗に、しかも最初のハマグリ刃を変えずに研げてしまうというわけです。
そうはいっても、何度も何度もペーパーだけで研いでいると、丸っ刃になったりといったことも出てくるかと思います。
そういう時は砥石で一度しっかりと研ぎ直しをしてやれば、またしばらくはペーパーだけで研げるようになります。
砥石で研いだ、研ぎ目が出ても結局ペーパーで綺麗にしてしまうので、思い切って砥石で研ぐことも出来るんじゃないかしら。
これだけが、ハマグリ刃の研ぎ方ってわけでもないですし、砥石を使って研いでも全然OK(その際、まずエッジをしっかりと作り、そこで生じた段差を均していくように研ぐのが本式です)。
やり方は色々あると思いますし、研ぎの道は奥が深いしで、色々追求してみると楽しいと思いますよ。
最後に、剣鉈について解説が一定以上載っている参考書籍を挙げておきましょう。
前者は内容が濃く、剣鉈ユーザーにもおススメの一冊(秋田のナガサが欲しくなるかも?)。
後者は解説などに誤りがあるのですが、参考書として持っていてもいいかな。
それでは、今日はこのへんで。