刃の厚みと切れ味 | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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というわけで、どうしても気になるのは切れ味なので、ちょっとテスト用で購入してみたナイフがあります。

 

 

これ!

TOPSのUTEってナイフですね。

 

 

 

上は別のナイフですが、同じくTOPSのナイフです。

で、最初にお見せしたナイフが刃厚が5mmと結構厚い。

 

 

小さいナイフなんですが、厚みのため(とフラットグラインドのため)重量感があります。

少し手の中で「ゴロリ」とする感触。

 

 

頼もしさこそありますが、ひどく取り回しが悪いとかそういうことはないのです。

で、刃なんですが箱出しでは妙にツルンとしていて、対象に引っかかるような切れ味は出ていませんでした。

 

 

ですが、ダイヤ砥石の#1000で軽くエッジを撫でてみたら、すぐにゾリッとした切れ味感が出てきました。

対象に引っかかっていくような、そういう切れ味ですね。

ほんとに小さいダイヤ砥石はあると便利……。さっと切れ味の回復とか出来ますからね。

 

 

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個人的は、これがやっぱり一番好き。

かなーり長いこと保ちますしね。

 

 

閑話休題。

で、肝心のTOPSのUTEなんですが、そんなわけで、エッジの切れ味は私好みのそれに近い。

だけれども、厚みがあるので、「抜け」感はあまりよくない。そう、たとえば、コピー用紙でいえば、普通に切れるけれども、途中でブレードの厚みで引っかかってしまい「シャーッと切り下ろせない」という感じ。

 

 

ただ、重ねていいますが、エッジ自体はキチンと切れる刃になっている。

うーん……。よく、「このくらいの厚みなら、切れ味はこんなもん」みたいな言説を聞くんだけれども、このナイフに関していえば、自分の予想通りというか、「キチンと切れる鋼材で、適切な熱処理がなされており、刃先が丸まっていなければ、エッジには切れる刃が付く」というのをそのまま体現してくれているように思えます。

 

 

一点補足しておくと、刃の厚みがあるせいか、エッジベベルはやや広め。写真でもわかりますよね。

けど、エッジ角度はやはりそれなりに大きいんですよ。

 

 

識者の方に聞いてみると、結局「どういう原理で、その鋼材が対象物を切るのか」っていうのが大事なポイントみたい。

自分の場合、どうも炭素鋼の持つ切れ味が好きみたいなので、そういった特徴や、類似する特徴を持った鋼材からナイフを選べば、まぁ間違いないんだろうな、ということになります。

 

 

この「好みの切れ味」を出す鋼材というのは、困ったことに「定評があるもの」と自分の好みが一致するとは限らないんですよね。

ファクトリーで良く使われる鋼材が、自分ではフィットするということは十分あり得ますし、逆にすごい高級な鋼材を使ってもちょっとピンとこないことがある、なんてのもありうる。

 

 

ま、とにかく「刃の厚みと切れ味」という課題に関しては、「エッジが対象に切りこむ」という切れ味と、「切りこんだ後、断ち切っていく」切れ味の2つのフェーズに分けないと話がごっちゃになってしまいます。

 

 

なので、「このくらいの厚みなら、こんな切れ味」という言説は、とても粗雑な言い方なんですよね。

今回のTOPSのナイフで、それをやはり再確認出来たので、その点、収穫があったと言えましょう。

 

 

問題は……割とごつくて、TOPSみたいなナイフもっと欲しいなって物欲が湧いてきてしまったことで……。