2018年 秋田鍛冶屋旅 1日目 | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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さて、予告していた通り、秋田への遠征の様子をちょこちょこっと書いていきたいと思います。

 

 

まず、今回の旅をコーディネイトして下さったのが、布川刃物製作所の布川さんだということは改めて申し上げておきます。本当に何から何までお世話になりました。

 

 

初日……なのですが、お昼くらいに秋田空港に着くスケジュールでした。

飛行機に乗って行ったのですが、本当にあっという間に着いてしまいます。

 

 

機内でウトウトっとしていたら、もう秋田というわけで、1時間ポッキリくらいで到着です。

ただそこからリムジンバスを使い秋田駅へ。さらにそこから在来線を使い、八郎潟という駅で降ります。

 

 

ですので、五城目についた時には14:30くらいでしたか。

布川さんが迎えにきて下さり、そのまま工房にお邪魔することに。

 

駆け出しのカメラマンの妹も同行していたので、写真は彼女に任せることにしたのですが……。

とにかく、私の顔も、布川さんの顔もガッツリ映っている写真ばかりなので、それは自粛いたします。。

 

 

これは私がスマホで撮ったものです。

包丁が写ってるかと思いますが、これがまた凄くて。妹と私で即座に「魔法の包丁」という名前で呼ぶようになってしまい、その場で注文をしてしまったくらいです。これは2日目のことなので、また後日お話ししましょう。

 

 

工房では、作品を見せて下さったり、作業の様子(4寸の山刀を作るところでした)も見学出来ました。

地金に鋼を載せて鍛接するところ、鍛造によって大まかな形を整えるところまで見せて頂きました。

 

 

どのくらいの時間だったのか……見ていた私たちには本当にあっという間に感じられました。

ただの鉄の棒と鋼の片がみるみるうちに、刃物の、山刀の形になっていきました。

 

 

その後、鍛造体験……をさせて頂いたのですが、んもう本当に難しい。

ただ、普段から木刀を振ったり、山刀を振り回したりしていますから握力には自信はありますし、前腕はそれなりに筋肉もついています。

 

 

「もしかしたら、上手くいくかも?」なんてこちらが思ってしまうくらい、布川さんも、そして2日目に尋ねた米田さんも、軽々と鉄を叩き目的の形へ加工してしまうんです。

 

 

でも、結果はご存知の通り。

あっちを叩けばこっちが歪み、歪みを治せば別の歪みが生じ、赤めた筈の鉄は気づけば冷たい色へ変わっていく……。という調子で鍛造の難しさ、厳しさを体験しましました。

 

 

そういえば、作品も色々見せて頂いたのですが、実は私が7寸のナガサを打ってもらう前に、「こういうのが欲しい」と相談していたものがあるのです。

 

 

それを布川さんがプロの腕と技で、バランスなどを取り形にしてくださったものもありました。

それは完成したはいいけれども、布川さんとしてはバランス感が気になるとのことでお蔵入りになっていたものでもあります。

 

 

実物を触らせて頂くと、まさに自分が求めていた形状、大きさ、長さでバランスもとってもいい。

山に行く時に、どうしてもザックの中に刃物を入れる必要がありますから、最初は「あまり長すぎるのはちょっとな」という思いがあったんです。

 

 

そういう思考で詰めていくと、「けど、短くしてしまえば当然厚みも薄くなり、山で使うにはちょいと頼りないものになるかも……」という考えに至ります。

で、「だったら、短いけど厚みを持たせて頑丈さも確保しよう!」と考えてしまうのが素人の浅はかなところ。

 

 

それを本当に見事なバランスで両立させてくれた刃物があった、というわけです。

正直、私は全然バランス的な意味では気にならなかった……というか、むしろバランスはめちゃくちゃいいと思いました。

 

 

端正でありながら、野趣のようなものを秘めていて、じわりじわりと惹かれていく。

そういう刃物でした。これもいづれご紹介いたしましょう。

 

 

工房の見学と体験のあとは、温泉で汗を流し、夕食を頂きました。

ちなみに夕食は、「いしかわ郷土料理」さんで頂きました。

メインは「だまこ鍋」。秋田の郷土料理といえばきりたんぽがすぐに思い浮かぶと思うのですが、だまこ鍋はその原型ともいえる料理なんだそうです。

 

 

きりたんぽは、ごはんを半潰しにして棒に巻き付けて、焦げ目をつけてからお鍋にいれますよね?

つまり、手間暇が掛かっているというわけ。もともと、マタギを始めとする山林労働をする人達の保存食から発展したのではないか? なんて説もあるようで、保存食というのは干したり乾かしたりと手間が掛かると相場は決まっています。

 

 

一方で、だまこ鍋は、やはり半潰しにしたご飯をミートボールよりちょっと大きくギュッと丸め、そのまま具としてお鍋に入れるものです。きりたんぽより、ちょっと手間が省かれていますでしょう?

 

 

けど、その美味しさは素晴らしい。

醤油ベースのお鍋なんですが、あっさりとしつつコクや味はしっかりとあって、今まで食べたお鍋料理の中で一番美味しかったです!

 

 

入っている鶏肉も、しっかりと噛み応えがあって、まるで鴨のお肉みたいなんです(最初、本当に鴨肉かと思いました)。

このお肉からいい出汁が出るそうですよ。

 

 

また突き出しで出てきた、ゴリのフリッターもめちゃくちゃ美味しかったです。

ちょっと味が濃い目になっているのが、また旨くて。ゴリなんて名前こそ聞いたことはありますが、こっちじゃ食べない魚ですからねぇ。けど、こんなに美味しいなんて初めてしりました……!

 

 

その後は布川さんの奥様に送って頂きホテルへ(お酒も飲みましたからね)。

始めての県に行き、貴重な体験をし、ぽっかぽかになる温泉に入って、めちゃくちゃ美味しいものを食べて、と夢のような時間を過ごし、一日が終わりました。

 

 

2日目は、また工房にお邪魔したり、研ぎを教えて頂くことになっています。

というわけで、記録初日はこれにて終了。