謹賀新年 ~マタギ資料館の資料から~ | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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あけましておめでとうございます。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

で……年末・年始、やっぱり考えることはナイフだったり刃物だったり、アウトドアの事だったりします。

 

 

もっといいやり方や、もっと知ってもらいたい本……色々考えたり、資料を収集したりしたのですが、フクロナガサやナガサに関して、かなり有力な資料を発見しました。

 

 

マタギ資料館のPDF資料です。

こちらからどうぞ! 即PDFが開きますのでご注意ください。

 

 

この資料の191~198ページにわたって、マタギの人たちが使う「刃物」の資料が載っています。写真と、詳細を記した図がついています。

 

 

もちろん、ナガサやフクロナガサも載っています。

嬉しいことに、「裏側」もちゃんと図にしてあり、「裏押し部分がどうなっているのか?」がよく分かるものになっています。

 

 

一本目のナガサは、割とモダンな形をしていて、ヒルトがついていることから、比較的近年、西洋のナイフ知られるようになってから作られたものでしょう。

 

 

問題は2本目、3本目のフクロナガサです。

やはり、裏側には裏押しがしてあり、「刃先だけを研いでいるのではない」らしいことが判明しました。ただ、このナガサ/フクロナガサは現行のそれとはちょっと違います。

特に顕著なのは、切っ先部分の造りですね。

 

 

フクロナガサに関しては、興味深い記述も。

 

 

当資料は旧所有者について調査中であるが、[ふくろながさ型たて]は昭和50年代の後半に松橋時幸により考案されたものである。

 

 

 

なんて書いてあります。

どうやら「ふくろながさ型たて」とは、フクロナガサそのものを指すようです。

すると……考案したのが、松橋時幸氏だということになります。

 

 

本当に、フクロナガサの考案・発案っていうのは、「誰!」と特定しにくいのです。

以前書いたように、私は、

 

 

そもそも、マタギたちの長年の狩猟生活の中で、フクロナガサ誕生の機運が熟しており、かなりそれに近い道具も存在した。

それを「フクロナガサ」としてまとめ上げたのは、西根三代目の親方である。

 

 

ということです。

なので、「誰が考案した」みたいな問いかけは、私の中ではほぼ意味をなさなくなっているというか……。

 

 

ただ、松橋時幸氏と三代目の西根稔親方は親交があったこと、書籍などから分かっています。

 

 

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この二人のベテランマタギが、ともに「フクロナガサ」を目指し、アイデアを出し合い、制作していった……。そう考えるとロマンがありますよね。

 

 

多分、これから先もピンポイントで、「フクロナガサは〇〇が考案した」というのは、分かることはないでしょう。

ただ、そうした事情が記載されているもの、に関してはちょっと資料として、そして自分の楽しみとして、収集してロマンあふれる想像の酵母みたいに出来たらな、と。

 

 

ま、こんな感じで今年も記事を書いていきます!

どうぞ、2017年もよろしくお願いいたします!!!