革砥の作り方・使い方(その①) | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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北欧のナイフの話題や、それらを使った気軽なアウトドア、ブッシュクラフトについて書いていきます。

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今日は、要望があった「革砥」について触れてみようと思います。

革砥は、ブッシュクラフトの流行、そして北欧ナイフのブームによって一般に知られるようになった技術なのですが、実は、それ以前から、ナイフの本などには解説されるものでした。

『正しいナイフの使い方』(BE-PAL アウトドアズマン養成BOOK、小学館、2014)にも、「やや高度な研ぎ技」として、革砥を使ったテクニックが載っているのです(もともと、この本は2011年の雑誌付録を電子書籍化したもの)。

ですので、ブッシュクラフト、北欧ナイフブーム以前から、このテクニックは知る人ぞ知るテクニックだった、といえるでしょう。


この革砥の詳細な作り方や、他のメンテナンスは、拙著『北欧ナイフ入門』をご参照ください。

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今日は、そんな革砥のお話です。


    第二段もやってみました! 「実践!ちょっと本気で革砥を作ってみる 前編」
    「実践ちょっと 本気で革砥を作ってみる 後編」



■革砥とはなんぞや?

革砥ときいて、すぐにピンとくる人であれば解説は不要なのですが、「どうやったら革砥を入手できるのか?」と悩んでいるかたもいらっしゃるようなので、まずは、基本から説明していくこととしましょう。


革砥とは、革に研磨剤をすり込んだもので、その上でナイフを動かし、ナイフを研磨(研ぐ)するためのものです。

一昔まえ、床屋さんでヒゲをそってもらうとき、床屋さんは、カミソリを革のバンドにシャーッとこすりつけてから、ヒゲをそったものです。

これがまさに「革砥」なのです。


ブッシュクラフトや北欧のナイフをめぐる話題のなかで出てくる革砥は、床屋さんの革砥と本質的にまったく同じなのですが、ちょっと違う部分もあります。

たとえば、ナイフ用の革砥では、「台となる木」に革を接着して使うことが多いです。
床屋さんのそれは、「研磨剤をすり込んだ革のベルトだけ」を使います。


さて、その革砥ですが、入手方法はいたって簡単。
Amazonで、実は革砥は売っているのです。

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これなどは、本体は1500円未満です。
その他にも、複数の研磨剤がついたものなども売っていますから、必要に応じて選択するとよいと思います。


一方で、「なるべく安く入手したい」とか、「少しは自分の手をいれたい」という向きもありましょう。
もちろん、革砥は自作できます! しかも、かなり簡単に作ることが出来るのです。



■自作革砥の材料

市販の革砥を買うと、さきほど商品のリンクを貼り付けましたが、本体は1500円程度。
しかし、そこに送料がかかるケースもありますから、実質2000円前後の出費となります。

作る革砥の規模にもよるのですが、自作にすると1000円程度で、とりあえず革砥を作ることが出来るのです。

日頃、ホームセンターや東急ハンズなどによく行かれるかたでしたら、「自作する」という選択肢を考えてもよいのではないでしょうか?
ひと手間かけて、自分で作る、というのはブッシュクラフト的な発想だと思いますし、ナイフのメンテナンスが楽しくなることうけあいですよ。


さて、革砥の材料ですが、東急ハンズにいけば全ての材料はそろうと思います。
近所のホームセンターでも問題はないのですが……肝心の「革」が入手できない可能性が高いので、革の端切れなどを持っていないかたは、東急ハンズにて材料をそろえることをオススメします。


  ・革(端切れが売っており、200円~程度)

  ・台となる木(木っ端が売っており、100円~程度)

  ・接着剤(もしくは両面テープ。300円程度)

  ・研磨剤(青棒と呼ばれるものを使用。小さなものは200円~程度)


材料は以上です。
また、機械油(ミシン油)などがあるとよいと思いますので、それもあわせて買うとよいでしょう。


少しそれぞれの材料について、解説をしてみましょう。

革は、「革砥」なのですから当然必要です。
東急ハンズのレザークラフトコーナーには、端切れの革がたくさん置いてあり、そのほとんどが200円~程度の値段で買えてしまいます。

革砥用としては、「それなりの厚みがあるかどうか」(あまりペラペラなものは不向き)、を確認して購入するとよいでしょう。


次に、台となる木ですが、これも、木工のコーナーにいけば、100円~程度でちょっとした板を買うことが出来ます。ただ、ある程度の「長さ」があるほうが、ストロークがやりやすいのも事実だと思うので、好みに合わせて、木のサイズを選びましょう。


接着剤は、「革と木をくっつけたい」と店員さんに言えば、すぐに目的のものを案内してくれます。
また、接着剤ではなく両面テープを使うと、革を交換するときにやりやすいといったメリットがあります。


研磨材は、俗に「青棒」と呼ばれるものを使うのが一般的です(パッケージにはグリーンルージュと書いてあったりします)。
丸々一本のものは、それなりにお高いのですが(1500円くらい)、これも小さなかけらが売っており、200円~程度で買えます。
まずは、そのサイズのものでもよいのではないでしょうか?


最後に、機械油ですが、これは青棒を革にすり込むときに使います。
私は、めんどくさいので、手もとにあったツバキ油を使っていますが、別に不自由はしていません。



■革砥の製作

さて、こられの材料を入手すれば、すぐに革砥は作れます。


・革を、木にあわせてカット


・革のザラザラした面(スウェード面)をおもてにして、木と接着

・革に油をたらし、青棒をすり込んでいく


文章でかけば、これだけです。
あとは、出来上がった革砥にナイフをこすりつけ、刃先を調整すればよいだけです。



■応用編

これで、とりあえず革砥は完成し、実際に使うことが出来ます。

私が自作したものをお見せいたしましょう。



左が青棒をすり込んだ革砥で、右は研磨材として有名な「ピカール」(スーパーなどでも買えます)をすり込んだものです。ちなみに、右の革砥は「かまぼこの板」を利用しているので、非常に安価に作ることが出来ました。


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ピカールを使う場合、「油をたらす」必要はありません。
ピカールそのものが、ドロッとした液状ですから、よく振って、そのまま革の上にひろげるようにしてやれば大丈夫です。

このように、複数種類の革砥を使い分ける、というのもよく行われています。


ですので、台となる木を選ぶとき、私のように平べったい木を選ぶのではなく、もっと「角材」のようなものを選べば、複数の面に革を張り、それぞれに違う研磨剤をすり込むことが出来ます。

そうすれば、一本の革砥で、複数の研磨が出来るというわけです。



■まとめ

革砥は買ってもいいが、自作するのも簡単!

材料も少なく、製作に難しい点は一切なし!
また、自分で作ればメンテナンスも楽しくなる!


こんなところでしょうか?
実際の使用に関しては、「革砥の作り方・使い方(その②)」の記事に書こうと思います。

どうぞよろしくお願いします!



6000番で研いだあと、青棒→ピカールの革砥で研ぐと、ここまでピカピカになります!


※研磨剤の細かさを調べると、青棒のほうがピカールより細かい、とあるのですが、私が実際使ってみた感触では、ピカールのほうが綺麗に仕上がるので、ピカールを仕上げ用としています。
このあたりは、個人の好みの問題もありますので、いろいろためしてみて下さい。


→ 革砥の作り方・使い方その②



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『北欧ナイフ入門 ~モーラナイフからストローメングナイフまで~』に、革砥の作り方、使い方をより詳しく書いております。

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