3 県政の諸課題について

(2) 未病改善に向けた取組について

 

(市川和広 副団長)

 人生100歳社会を豊かに生きるため、そして限られた医療資源を有効活用するためにも、未病改善に向けた取組はその重要性を一層増している。

 未病改善の取組を効果的に推進するためには、生活の質向上の視点から、例えば、重点的に取り組む領域を見極めるとともに、大学や企業が有する科学技術力を活用するなど、広域自治体の強みも生かした戦略的な施策を展開し、市町村ともしっかり連携することで、県民がその成果を実感できるよう取り組んでいく必要がある。

 そこで、未病改善に向けた取組を推進するに当たり、大学や企業の科学技術も活用しながら、どのように施策展開を行うのか、見解を伺う。

 

(腸内細菌や睡眠分野などにおいても、県が、最先端の科学技術を活用していく産学公連携活動を展開していくべきと発言)

 

(黒岩祐治知事)

 次に、未病改善に向けた取組についてです。

 県は、「生活習慣、生活機能、認知機能、メンタルヘルス・ストレス」に着目し、身体全体や心の状態などを意識しながら、未病指標を構築し、未病ブランドの認定などに取り組んできました。

 こうした未病の取組をより効果的に推進するためには、様々な疾病につながる要因を捉えて、年齢層に応じた取組を強化すること、そして、県が育ててきた最先端の科学技術を活用していくこと、が重要です。

 そこで今後は、働く世代では生活習慣を見直し、糖尿病未病改善につながる取組を、また、     高齢世代ではフレイル対策などで認知症未病改善につながる取組を、重点的に推進します。

 具体的には、市町村が行う特定保健指導などにおいて、AIを活用して生活習慣に関連する疾患リスクをわかりやすく見える化し、行動変容をサポートするスマホアプリ「ミラメド」を、まずは、葉山町から導入し、その成果を県内に展開していきます。

 また、高齢化に伴うフレイルや認知機能の低下などへの対応として、未病改善効果が期待できるロボットスーツHALを、高齢者施設や地域医療機関などでも手軽に利活用できるよう、産学公が連携して取り組んでいきます。

 このように、県は、県民の皆様が抱える健康課題の解決に向けて、大学や企業、市町村と連携しながら、最先端の科学技術を活用し、未病改善の成果を県内に広く届けてまいります。

 

(市川和広 副団長)

 生活習慣病やフレイル、認知症は、未病改善の取組の効果が特に期待される分野であり、その中では、身体全体や心の状態など全体のバランスを整えていくことが大切だと認識しています。

そこで、未病の領域で近年注目されている、腸内細菌や睡眠分野などにおいても、広域自治体として県が、最先端の科学技術を活用していく産学公連携活動を展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

 

(黒岩祐治知事)

 腸内細菌や睡眠などの分野に関する、最先端の科学技術を活用した産学公連携活動について、お尋ねがありました。

 まず、腸内細菌は、県立産業技術総合研究所と慶応義塾大学が体内に与える影響などの研究開発を進めてきました。また、この3月には、腸内環境の研究から開発までのトータルサポートを行う株式会社メタジェンのサービスを、未病ブランドに認定したところであり、今後、これらの研究成果を地域に展開する産学公連携活動を強化します。

 また、睡眠については、未病産業研究会の睡眠分科会の活動などを中心に、良質な睡眠をとることの価値を可視化し、その効果を検証する実証を進めていきます。

 今後も県が産学公連携のコーディネート機能を発揮することで、効果的な取組を展開してまいります。