3 県政の諸課題について

(1)  ヘルスケア・ニューフロンティア政策の今後の展開について

 

(市川和広 副団長)

 ヘルスケア・ニューフロンティア政策を進めたことで、川崎市殿町地区や湘南地域にヘルスケア分野のベンチャーを始めとする多くの企業が進出し、国内でも有数のイノベーション拠点が形成されたことから、産業の面では一定の評価をしているが、我が会派としては、政策の成果を県民が実感しているかという点では十分ではないと考えており、今後、より一層、効果的な取組を進めることが必要である。

 県民が期待するのは、未来に希望が持てる具体的な成果であり、県は、そうした視点から、その取組を分かりやすく、具体的に示すべきである。

 そこで、ヘルスケア・ニューフロンティア政策の成果を県民が実感できるよう、県内のイノベーション拠点を活用しながら、どのように取り組んでいくのか、見解を伺う。

 

(湘南地域でのヘルスケアニューフロンティアの取り組みが大変注目されています)

 

(黒岩祐治知事)

 県政の諸課題について何点かお尋ねがありました。

 まず、ヘルスケア・ニューフロンティア政策の今後の展開についてです。

 この政策を推進したことで県内には新たなイノベーション拠点が形成され、川崎市殿町地区と湘南地域には、約200の企業が集積しています。

 また、未病産業研究会の会員企業が妊産婦の心のケアを目的としたAI搭載アプリの実証事業を平塚市で行い、市では母子保健事業に本格導入しました。

さらに、昨年実施した川崎での対話の広場では、殿町地区で研究開発に取り組む医師から、慢性期の脊髄再生医療が数年以内に始まることが紹介され、参加者から高い関心と強い期待が寄せられました。

このように、ヘルスケア・ニューフロンティア政策をわかりやすく伝えるためには、最先端の技術を体験していただくことや、イノベーション拠点で活躍される方とのコミュニケーションを増やすことが重要です。

そこで今後は、この拠点を活用して、現場で活躍される方と県民の皆様との接点を増やしていきます。

例えば殿町地区では、世界初となるバイオ3Dプリンタを開発した企業と連携して、血管の作製過程を疑似体験する機会を提供します。

 また、湘南地域では、子どもが科学技術や細胞の仕組みを簡単に学べる人工イクラの実験のほか、指先に装着したセンサーで転倒を未然に防止する技術の実体験などの場を、研究者とともに準備していきます。

こうしたことを通じて、政策の成果を、県民の皆様に実感していただけるよう取り組んでまいります。

 

(市川和広 副団長)

 ヘルスケア・ニューフロンティア政策について、イノベーション拠点の整備など産業政策では目に見える成果が表れていますが、一方で、県民に直接届けるという点はまだ十分ではないと考えます。具体的な成果が表れるまでに時間がかかることは承知していますが、これまで我が会派が求めてきたように、今後も引き続き、その成果や取組内容を分かりやすく伝え、県民が実感できる事業に取り組み、また、殿町地域や湘南地域で得られた成果を、県西地域も含めた県全域に展開できるよう取り組むことを要望します。