2 県民の安全安心を守る取組について

(1)能登半島地震を踏まえた大規模災害への対策強化について

 

(藤代筆頭政調副会長)

 ア 本県の応急体制の強化について

 本県は現在、ヘリコプターを有しておらず、県内外からの応援により対応する体制となっているが、万一の大規模地震の発生時に、情報収集や応援要請など、初動対応の遅れが生じることのないよう、ヘリコプターやドローンの活用や、関係機関との連携など、本県における応急体制を検証し、対策強化につなげる必要がある。

 そこで、本県でも大規模災害に備え、航空機の運用も含めた応急体制の強化が必要だと思うが、どのように取り組むのか、見解を伺う。

 

(黒岩祐治知事)

 県民の安全安心を守る取組について何点かお尋ねがありました。

 まず、能登半島地震を踏まえた大規模災害への対策強化に関する、本県の応急体制の強化についてです。

能登半島地震では、多くの孤立地域が発生する中、ドローンやヘリコプターの活動が成果を上げました。

 そこで県は、6月補正予算案に、アクセスが困難な被災現場においても、効果的に情報収集や捜索活動が行える体制整備に必要な予算を計上しました。

 具体的には、衛星からの解析画像で被災箇所を特定できるようにするほか、ドローンが撮影した映像を災害対策本部に伝送し、関係者で現場の状況を共有するシステムや、夜間でも捜索活動を行える赤外線ドローンを導入したいと考えています。

予算案をご議決いただいた後は、新たに導入する仕組みを、災害時の人命救助や復旧活動に生かせるよう、関係機関と連携し、訓練を重ねてまいります。

 また、発災後、全国からの応援活動が本格化するまでの間、いち早く被災情報を把握し、迅速な救出等につなげるためには、ヘリコプターが有効です。

 現在、県は、政令市や県警察に、ヘリコプターの運用を委ねていますが、県全域が被災する大規模災害時でも、県が初動の応急対応を統括するためには、ヘリコプターを直接、機動的に運用できる体制が必要です。

 そこで、県として、ヘリコプターの導入に向けた検討を行うこととし、運航方法や駐機場所の確保など、導入に係る様々な課題について、関係機関と直ちに調整を進めるよう、私から指示しました。

県は、今年度とりまとめる新たな地震防災戦略に、航空機の運用体制の充実を図る方向性を位置づけ、本県の応急体制の強化につなげてまいります。

 

(藤代筆頭政調副会長)

 まず、本県の応急体制の強化についてであります。知事からは、防災ヘリの導入に向けた検討を行うとの答弁をいただきました。県民の生命を守るため、大規模災害に備え、前向きに進めていく必要がありますが、導入にあたってはコスト面のほか、格納庫の確保や365日、24時間いつでも出動可能とする日常的な整備、操縦士をはじめ、ヘリの運行指揮系統など、様々な課題があります。

 これらの課題を解決し、導入方法などをしっかりと見極めたうえで、防災ヘリを1日でも早く導入するよう要望させていただきます。

 

 

(藤代筆頭政調副会長)

イ 災害関連死を防ぐための避難対策の強化について

 災害関連死を防ぐためには、何よりも避難生活における生活環境の改善が必須である。

 県は現在、地震被害想定の見直しと新たな地震防災戦略の策定に取り組んでいると承知しているが、避難所の生活環境の向上や、避難所に入れない避難所外避難者を把握し、医療や生活支援などにつなげることができるよう、対応策を検討し、新たな戦略の下で、着実に取り組むことが必要だと考える。

 そこで、本県でも大規模地震の発生に備え、避難所内外の避難者を災害関連死から守るための対策の強化が必要だと考えるが、どのように取り組むのか、見解を伺う。

 

(黒岩祐治知事)

 次に、災害関連死を防ぐための避難対策の強化についてです。

 能登半島地震で、一部の避難所での生活環境の悪化が指摘されたことを受け、県は、本年度、水循環式シャワーや簡易ベッドを導入することとしました。

 加えて、4月の台湾地震では、数時間で避難所にテントが並ぶ様子が報じられました。そこで県は、6月補正予算案で、迅速に設置することができる避難所用テント5千張を、県内の避難所に配備する予算を計上しました。

 これにより、生活環境とプライバシーが確保され、安心して生活できる避難所を、発災後速やかに開設できる体制整備につなげていきたいと考えています。

 こうした取組に加え、能登半島地震では、本県から派遣した江口CIO兼CDOが、デジタル技術を生かして避難者を把握する仕組みの構築を支援しました。

 現在、本県は、これをさらに発展させ、マイナンバーカードや専用のアプリ等で避難者を把握する、国の実証実験に参加しており、早期に実用化され、導入できるよう、引き続き、国と連携していきます。

 さらに、LINEによる、かながわ防災パーソナルサポートの運用を今月中に始め、被災者が避難場所や健康状態等を自ら登録できる環境を整えます。

 また県は、東日本大震災で構築した、かながわ避難者見守り隊の仕組みを生かし、避難者一人ひとりのニーズを伺い、医療や福祉につなげる、本県独自の避難者支援体制の確立に取り組むなど、災害関連死を防ぐための対策の一層の強化に努めてまいります。

 

(藤代筆頭政調副会長)

 避難所内外の避難者を災害関連死から守る取組は、非常に重要であり、しっかりと取り組んでもらいたいが、結果として、災害関連死が起こってしまった場合にも円滑な対応ができるよう準備をしておくことも重要だと考える。

 例えば、市町村は、自然災害で亡くなった方のご遺族に対し、「災害弔慰金」を支給するが、市町村自体も被災している中で、災害関連死という認定を行い、弔慰金を支払う事務を行っていくのは、特に規模の小さい市町村などは負担が大きいと思われる。

 先般の能登半島地震では、災害関連死の認定を行う複数の市町の審査会を、県が支援して合同で開催したと聞いている。本県でもこうした支援をあらかじめ検討すべきと考えるが、知事の見解を伺いたい。

 

(黒岩祐治知事) 

 市町村が行う災害関連死の認定への支援について、お尋ねがありました。

 災害関連死の認定を行う審査会を県が主導して開催することは、市町村の負担軽減につながる重要な取組だと認識しています。

 県内の複数の市町村からは「県が主導して近隣の市町村と合同で開催してほしい」という希望も寄せられていますので、しっかりとコーディネートできるよう、検討してまいります。