1 県政課題に対する知事の基本姿勢について

(4)脱炭素社会の実現に向けた取組について

 

(藤代筆頭政調副会長)

 本県では、国に先駆けて2 0 1 9年に「2 0 5 0年脱炭素社会の実現」を表明し、2 0 2 3年には、2 0 3 0年度の温室効果ガス排出量の削減目標について、2 0 1 3年度比で4 6% から5 0% 削減に引き上げることを表明した。

 しかしながら、令和6年4月に県が公表した2 0 2 1 年度の県内の温室効果ガス排出量は、基準年である2 0 1 3 年度から1 8 . 6% の減少にとどまっており、県が掲げる2 0 3 0 年度の目標である5 0% 削減に向けて、さらに取組を加速させていく必要があると考える。

 そこで、脱炭素社会の実現に向けて、2 0 3 0 年度に温室効果ガス排出量を5 0% 削減させる目標を達成するため、どのように取り組んでいくのか、見解を伺う。

 

 

(黒岩祐治知事)

 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてです。

 「2030年度50%削減」の目標達成に向けて、3月に改定した「地球温暖化対策計画」では、産業、業務、家庭、運輸などの部門ごとに削減目標を設定した上で、県は、各主体の取組を後押しするとともに県庁の率先実行に取り組むこととしています。

 そこで、産業・業務部門では、排出量の約4割を占める大企業等による取組を「評価・見える化」する新たな制度を検討し、来年度から導入したいと考えています。

 また、中小企業向けに、総合的な「脱炭素支援パッケージ」の下、新たに創設した「かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度」や省エネ、再エネに対する各種補助など、手厚い支援を行います。

 家庭部門では、脱炭素に資する商品の購入時等にポイントを付与する「COCOポイント」事業やワークショップ、フォーラムなどの普及啓発を通じて、脱炭素型ライフスタイルへの転換を後押しします。

 更に、県庁の率先実行として、照明のLED化、太陽光発電の導入、再エネ電力への切替え、公用車の電動車化の4つの取組を強力に推進します。

 このように、今後は、地球温暖化対策計画を軸に、オールジャパン、オール神奈川で脱炭素に取り組み、「2030年度50%削減」を目指してまいります。

 

(藤代筆頭政調副会長)

 今後、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、どのように実証に取り組んでいくのか、見解を伺う。

 

(黒岩祐治知事)

 続いて、ペロブスカイト太陽電池の実証について、お尋ねがありました。

 神奈川発の技術である、このペロブスカイト太陽電池は、薄くて、軽く、柔軟という特長から、これまで設置が困難だった建物の壁や、耐荷重が小さい工場の屋根等に設置が可能であり、さらに発電効率が高く、低コスト化も見込まれることから、早期実現を後押ししていきたいと考えています。

 そこで、協定を締結した民間企業や、地元の藤沢市と連携し、来月下旬から、江の島の「サムエル・コッキング苑」において、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向けた実証を開始します。 

 この実証では、発電データの計測に加え、江の島を訪れた観光客等に、ペロブスカイト太陽電池を見ていただき、また、実際に発電した電力でファンを動かし、体感していただくなど、普及に向けたPRを積極的に行ってまいります。