3 県民の安全安心を守る取組について

(3)医師確保に向けた取組について

 

(筆頭副団長)

 本県では、現在、100人を超える地域枠の医師に、県内各地で勤務していると承知しているが、今後は医師の地域偏在の解消に向けて、地域枠の医師を、より効果的に配置できるよう、派遣プログラムの内容などを検討すべきと考える。

 また、地域枠を設けている大学からは「定員が増えることは地域医療への貢献という観点から望ましいことだが、医師を育成するには多額の費用がかかり、大学の負担が大きい」との声もあり、地域枠制度を継続するためには、県が財政面なども含めて、大学の現状や課題を把握し、連携しながら進めることが必要と考える。

 そこで、県内の医師の偏在の是正に向けて、地域枠医師制度をより一層活用していくため、医師の養成を行う大学とのさらなる連携強化を図るべきと考えるが、見解を伺う。

 

(黒岩祐治知事)

 次に、医師確保に向けた取組についてです。

 地域枠医師の制度は、不足する診療科の医師を目指す学生に修学資金を貸し付け、卒業後9年間、県内で勤務することを条件に返還を免除するものです。

 この制度によって、現在、105名の地域枠医師が県内に勤務しており、医師の確保において大きな役割を果たしています。

 この地域枠医師の具体的な配置については、県が国の指針に基づき、県内の様々な医療機関で経験を積めるよう「キャリア形成プログラム」を策定しています。

 一方で、地域別の医師数は、国の「医師偏在指標」で、例えば県西地域は「医師少数区域」、横浜や川崎地域などは「医師多数区域」となっていますが、現在の県のプログラムでは、県内における勤務地域の指定は行っていませんでした。

 そこで、医師の地域偏在のさらなる解消に向けて、今後は地域枠医師に対し、一定期間は医師少数区域など医師が不足する地域での勤務を義務付ける方向で、見直しを行っていきます。

 また、地域枠医師の制度をより実効性のあるものとするには、医師を養成する大学との連携が不可欠です。

 そこで県では、既存の連絡会議等に加え、新たに県内の4つの大学の教員に「キャリアコーディネーター」としてご協力いただき、医師からの様々な相談への対応や、派遣先との調整を行っていきます。

 こうしたことにより、地域枠医師の一層の活用を図るとともに、養成を行う大学との連携をさらに強化してまいります。

 

(筆頭副団長9

 医師の地域偏在を是正することは重要ですが、例えば、県内唯一の公立の医学部を持つ横浜市立大学の場合、地域枠の医師が、一定期間とはいえ横浜市以外での勤務に限定されると、横浜市が財政負担をして養成した医師が、その期間は市内の医療に還元されないことになります。

 そこで、地域枠医師の受入に伴う経費について、県が大学の運営費も含めた支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 

(黒岩祐治知事)

 大学への運営費も含めた支援についてお尋ねがありました。

 県内での医師の確保について、横浜市立大学をはじめとする医師を養成する大学が果たしている役割は非常に大きいと考えています。

 一方、大学の運営費については、国の地方交付税など、様々な財政措置がなされておりまして、考え方の整理が必要です。

 今後、県として何ができるか、大学とも十分に相談しながら検討してまいります。

 

(筆頭副団長)

 横浜市立大学の例で言うと、地域枠の定員が増えるのは県内の医師確保にとって歓迎されることだとしても、大学の費用負担が大きくなり、地域枠医師の勤務地域が横浜市以外の医師不足地域に限定されるのだとすれば、市民の目から見て、公金を投入して医師を育成したメリットが感じられないと考えます。

 そのため、医学部を有する大学が、県の地域医療の確保に多大な貢献をしていることを踏まえ、増員した地域枠を育成する運営費については、県が財政支援することを要望します。