2 社会経済情勢の変化に対応する取組みについて

(5) 県営水道事業の経営について

ア 水道料金の改定について

 

(筆頭副団長)

 去る11月8日、神奈川県営水道事業審議会が答申をまとめ、水道料金については、料金体系の抜本的見直しとともに、「25%」の改定が必要とされたところである。

 これまで企業庁は、経営努力により、値上げを回避してきたとしているが、その結果が、今回の改定幅につながり、県民に大きな負担感を与えていることは否めない。企業庁の水道料金収入の推移をみれば、前回の値上げ後5年程度で、改定前の水準にまで落ち込んでおり、この十数年の間に必要な料金改定を行っていれば、今回、ここまでの改定率にならなかったことは明らかである。

 答申を踏まえ、今後、企業庁が料金改定案をまとめるにあたっては、県民に対する責任として、より詳細な事業費の精査や経費の節減等による改定率の抑制と、料金改定の影響を大きく受ける方々の負担軽減にしっかりと取り組むことを強く求めるものである。

 そこで、企業庁長に伺う。審議会の答申を踏まえ、企業庁として平成18年度以来となる水道料金の改定案をどのように取りまとめていく考えなのか、見解を伺う。

 

(企業庁長)

 企業庁関係のご質問にお答えします。県営水道事業の経営についてお尋ねがありました。

 はじめに、水道料金の改定についてです。

 水需要の減少を背景に水道料金収入が減少する中、大規模地震等に備えた水道施設整備を着実に進めるため、平成18年度以来となる料金改定を行う必要があると考えています。

 先般、神奈川県営水道事業審議会からも、概ね25%の改定が必要との答申を受けました。経営努力を重ね、20年近く料金を据え置いてきたものの、そのことが、物価高騰の中、高い改定幅につながったことについては心苦しく感じており、企業庁の責任として、改定率の圧縮と激変緩和等の措置を講じてまいります。

 具体的には、水道管等の整備による防災・減災等の効果は堅持しつつ、管の太さや工法等を精査し、点検・補修により長寿命化も図るなど、支出・収入面を徹底的に見直し、約170億円の節減効果を生み出すことで、改定率を22%に、3ポイント圧縮します。

 また、高齢者を含めた単身世帯等への影響を緩和する措置も講じます。現在、ご家庭で使われる水道は、8㎥までが基本料金となっています。答申を踏まえた改定を行うと、基本料金が約1.4倍に上がることとなります。

 しかし、単身世帯等の約半数は毎月の水道使用量が4㎥以内ですので、基本水量を4㎥に抑えた新たな基本料金を設定し、改定幅を抑えていきたいと考えています。 

 引き続き、料金改定の影響を大きく受けられる方々への対応をきめ細かく整理し、県民の皆様のご理解を得られるよう説明を尽くしながら、料金改定を進めてまいります。

 

(筆頭副団長)

 現在、基本料金の減免を受け、8㎥まで無料で使用できていた児童扶養手当等の受給世帯にとって、新たな負担が生じる可能性も懸念されます。その点について、どのように対応していくのか、見解を伺います。

 

(企業庁長)

 水道をあまり使わない世帯への配慮から、基本水量を4㎥に引き下げた場合、ひと月当たりの使用量が4㎥を超える部分については、これまで基本料金を免除されていた世帯においても、料金が発生することになります。

 そのため、こうした減免対象世帯については、新たな基本料金・基本水量の範囲ではなく、これまで同様、8㎥まで料金を免除することとしたいと考えております。

 

(筆頭副団長)

 今まさに県民は物価高騰に苦しんでいる状況であり、改定率抑制の取組が十分なものなのか、常任委員会における議論の中で、しっかりと確認していきたいと思います。

 また、今回改定率を高く設定せざるを得なくなった大きな要因は、企業庁が平成18年の料金の改定以来、20年近くもの間、料金を改定して来なかったことにあります。

 今後は、こうしたことのないよう、十分な経営改善を図りつつ定期的に水道料金水準の検証を行い、必要に応じて適切な料金改定を行われるよう要望します。