(19)森林環境譲与税の活用について

 

(政調会長)

 森林環境譲与税は、約9割が市町村に譲与されているものの、県は広域自治体として、森林整備を担う人材育成支援や技術支援、県全体の森林情報の整備など、市町村の活動を支える重要な役割を担っていると認識している。

 こうした状況の中、令和6年度からは森林環境税として、1人年額1,000円を個人住民税均等割に上乗せして市町村が賦課徴収することになっており、これまで以上に県民に対して有効に活用していることを示す必要がある。

 そこで、森林環境譲与税の活用について、その課題をどのように認識し、今後、県としてどのように対応していこうと考えているのか、見解を伺う。

 

(黒岩祐治知事)

 最後に、森林環境譲与税の活用についてです。

 県は、森林環境譲与税の市町村における活用を促すため、技術的助言を行うサポートセンターを設置するなどして、きめ細やかに支援してきました。

 こうした中、市町村への譲与総額のうち、支出されずに基金に積み立てられている額は、全国では4割のところ、県内市町村では、約3割となっており、基金の活用が進んでいます。

 また、横浜市が公表した小学校の木造校舎整備に伴う今後の計画額を考慮すると、県全体の積立額は、今の3割からさらに1割程度まで下がる見込みです。

 一方、県はこれまで、森林環境譲与税が税の目的に沿って適切に使われていることがわかるよう、各市町村における活用実績を公表してきました。

 さらに、来年度、森林環境税の徴収が始まることから、今まで以上に県民の皆様に税の負担についてご理解いただく必要があります。

 そこで、今後は実績に加えて、各市町村の将来の活用計画についてもとりまとめて公表し、取組の更なる「見える化」につなげていきたいと考えています。

 また、森林整備などの取組がさらに進むよう、税の有効活用に向けた市町村支援の強化も必要です。

 そこで、新たな測量技術の研修を実施するとともに、森林の整備計画作成に向けた指導を強化することにより、市町村の取組を後押しします。

 県は、これまで以上に県民の理解醸成を図り、市町村ニーズに応じた支援を進めながら、森林環境譲与税の有効活用に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 

(政調会長)

 森林環境譲与税の活用について、新聞報道等によれば、譲与基準のうち、人口による配分の比率を下げる案が検討されている、とのことでした。仮に、報道のとおり基準の見直しがなされた場合、県全体として譲与額にどのくらい影響があると考えているのか。また、基準の見直しに対し、今後どのように対応していくのか伺います。

 

(黒岩祐治知事)

 森林環境譲与税の9割は、市町村に対して譲与されるため、譲与基準見直しの影響は市町村に大きく出ることとなります。

 仮に譲与基準のうち、人口による配分が1割減らされ、森林面積による配分が1割増えた場合で試算すると、県内4つの自治体で合計約340万円の増額となる一方、県分を含め全体では約4億2千万円の減額になります。

 こうしたことから、県としては、将来に向けて計画的な活用を予定している市町村に支障が生じないよう、対応していく必要があると考えており、今後、具体的な対応方法を市町村と検討した上で、国に対して要望してまいります。

 

(政調会長)

 森林環境譲与税の活用についてです。仮に、本県への森林環境譲与額が減るようなことになれば、計画的な活用を見込んでいた市町村にとっては、大きな問題となり、税の活用に水を差すことになりかねないと考えます。まずは、譲与基準の見直しについて、その動向をいち早く把握し、県内市町村にも意見を十分に聞きながら、計画的な活用に支障が生じないよう、これまで以上に県として尽力していただくよう要望いたします。