(1) 水素社会実現に向けた取組について

 

(副団長)

 水素の普及拡大に向けて、政府は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を取りまとめた。また、「水素基本戦略」の大幅な改定により、水素社会の実現に向けた今後のビジョンや大きな方向性を示すとともに、課題認識と対応を明示したところである。

 一方、本県の状況を見ると、平成27年3月に「神奈川の水素社会実現ロードマップ」を策定したが、県内でも水素の普及はあまり進んでおらず、また、ロードマップも策定から既に8年が経過しており、この間、脱炭素社会の実現に向けた動きや、水素をめぐる社会的・経済的な状況は大きく変化している。

 そこで、脱炭素社会の実現に向けて水素の普及を拡大するため、国の水素基本戦略の改定を契機として、本県においても、「神奈川の水素社会実現ロードマップ」の見直しを行うべきと考えるが、見解を伺う。

 

(黒岩祐治知事)

 まず、水素社会実現に向けた取組についてです。

 水素は、利用時にCO₂を排出しないクリーンなエネルギーであることに加え、再生可能エネルギーを「貯めて、運んで、利用」できる特性があり、脱炭素社会の実現に不可欠なエネルギー源です。

 県では、この水素にいち早く着目し、今から8年前に、自動車メーカーや水素インフラ事業者等とともに「神奈川の水素社会実現ロードマップ」を策定し、燃料電池自動車の普及などに取り組んできました。

 しかしながら、その後、脱炭素の動きが世界的な潮流となるなど、水素をめぐる動きは大きく変化しています。

 また、国は今月、「水素基本戦略」を改定し、水素の需要創出と安定供給に向けた取組のほか、地域における利活用の促進などの方針を示しました。

 こうした状況の変化を踏まえ、県としては、今年度中にロードマップを改定したいと考えています。

 現行のロードマップでは、燃料電池自動車や家庭用燃料電池の普及促進など、初期の需要喚起に重点を置いた内容となっていました。

 改定に当たっては、更なる需要の拡大や、県域全体への供給体制の構築に加え、再エネにより製造する「グリーン水素」の普及など、脱炭素の観点から、より幅広く、取組の方向性をお示ししたいと考えています。

 水素社会の実現に向けて、国や市町村、民間事業者等と連携して、オールジャパン、オール神奈川でしっかりと取り組んでまいります。

 

(副団長)

 水素は幅広い分野で活用が期待されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーであります。水素社会の実現には県域全体に水素の活用が広がっていくことが重要だと、私は考えています。ロードマップの改定も今年度中ということで知事からも答弁いただきました。県だけでなく、国や市町村、また、民間事業者と共に、しっかりと連携して、水素の今まで以上の普及拡大に取り組んでいただくよう、要望させていただきます。