昨日22日、函館市地域公共交通協議会の総会が開かれ、そこで函館バスの2024年4月1日改正について協議が行われました。
その中で出てきたのは、函館バスが「基幹系統」に位置づけている59系統の大幅減便でした。
この記事では、まず59系統とはどのような路線なのかを説明した上で、この系統の持つ機能がどう変わるのかを見ていきたいと思います。
昨日の分の資料については、まだ函館市地域公共交通協議会側のページには掲載されていませんが、市議会関係者向けのページには掲載されています。
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2020102800023/file_contents/koutuukyougikai.pdf
<59系統とは>
函館バスの59系統は、旭岡地区の旭岡中学校を起終点とし、湯の川地区の湯倉神社前(→函館市電・湯の川電停)、美原地区の亀田支所前、本町地区の五稜郭(→函館市電・五稜郭公園前電停)、駅前地区の函館駅前(→函館市電・函館駅前電停)を経由し、函館バスセンター(函館バス本社)まで運行される便です。
旭岡地区・湯の川地区・美原地区・本町地区・駅前地区を結ぶ函館バスの中でも需要の高い系統です。
2019年4月のダイヤ改正時に、函館バスでは系統番号の大再編を実施しましたが、そのときに系統番号が変わらなかった系統でもあります。
前回のダイヤ改正時(2023年10月1日)時点では、平日31便・休日27便が設定されていますが、今回のダイヤ改正時に平日1便・休日運休に変更となる見込みです。
ここからは、59系統が担ってきた各地区間の輸送形態がどうなるか見ていきます。
<旭岡地区-湯の川地区>
旭岡地区については、こう記されています。
旭岡地区は需要に対して運行本数が多いことから減便を行い、一方で他系統の時刻調整および経路変更、増便によって代替輸送の確保を図る。
平日、旭岡中学校前から湯倉神社前へ向かうバスは29本から23本に減ります。
59系統の15本減便に対して、
- 76A系統の延伸で1本増
- 76B系統の2本増便
- 99・99A系統の経路変更で6本増
で対応します。
<湯の川地区-美原地区>
この区間では59系統の他にも数多くの路線の運行があり、前回のダイヤ改正時点で、湯倉神社前→亀田支所前間は平日40本、土曜日33本、日曜日・祝日29本の運行があります。
今回のダイヤ改正後は平日27本に大減便となります。
また、
湯倉神社前(3)12:41発41系統→花園町(6)12:48着
↓
花園町(6)12:57発85A系統→亀田支所前(5)13:09着
という乗り継ぎパターンも生まれます。
ただし、この場合運賃は250円+250円で500円、nimoca乗り継ぎ割引適用で340円となり、直通の280円より高くなります。
湯倉神社前(3)→亀田支所前の比較です。
時 | 時刻 | 本数 | |||
---|---|---|---|---|---|
24年4月 | 23年10月 | 24年4月 | 23年10月 | 増減 | |
6 | 56 | 0 | 1 | -1 | |
7 | 04,13,18,36,37,59 | 02,13,18,37,37,59 | 6 | 6 | 0 |
8 | 06,13,26,31 | 08,13,17,28,33 | 4 | 5 | -1 |
9 | 20,36 | 00,30,36,55 | 2 | 4 | -2 |
10 | 25 | 25,55 | 1 | 2 | -1 |
11 | 25 | 25,55 | 1 | 2 | -1 |
12 | 25 | 25,55 | 1 | 2 | -1 |
13 | 25 | 25,55 | 1 | 2 | -1 |
14 | 25 | 25,55 | 1 | 2 | -1 |
15 | 28,50 | 15,33,52 | 2 | 3 | -1 |
16 | 16,18,32 | 18,18,34,50 | 3 | 4 | -1 |
17 | 18,51 | 25,50 | 2 | 2 | 0 |
18 | 18 | 25,53 | 1 | 2 | -1 |
19 | 18,51 | 25,50 | 2 | 2 | 0 |
20 | 50 | 0 | 1 | -1 |
まず朝の始発ですが、6:56(73系統)が7:04発(同じく73系統)へ8分繰り下げとなります。
7時台・17時台・19時台の本数は増減ありません。
日中9時台~14時台は半減(9時台は4本から2本に、10時台~14時台は2本から1本に)となります。
また、最もインパクトが大きいと思われるのが最終便の約1時間繰り上げです。
20:50発(59系統)が減便となりますが、これに対する代替便は設定されず、19:51発が最終となります(改正前の19:50は59系統で、それの代替扱いで76B系統を増便する形)。
湯の川地区には学校が結構ありまして、市内8高等教育機関で構成する「キャンパス・コンソーシアム函館」のうち3機関(函館高専・函館大学・函館短期大学)がこの湯の川地区にあります。
これらの学校ではその影響を大きく受けそうです。
この区間では合計40本→27本(13本減)となります。
<美原地区-本町地区>
この区間は本数がさらに増えます。
亀田支所前→五稜郭(富岡・田家入口経由)は改正前時点で、平日23系統106本設定されています。
しかも改正前時点での時刻となりますが、59系統の前後の便も一部を除き確保されています。
函館駅前まで直通する便だけでもこんな感じです(平日ダイヤ)。
- 7:25→3分後→7:28(59)→2分後→7:30
- 7:50→13分後→8:03(59)→4分後→8:07
- 8:30→12分後→8:42(59)→7分後→8:49
- 9:10→15分後→9:25(59)→4分後→9:29
- 10:15→5分後→10:20(59)→22分後→10:42
- 11:12→8分後→11:20(59)→12:20(59)→4分後→12:24
- 12:44→36分後→13:20(59)→2分後→13:22
- 14:02→18分後→14:20(59)→31分後→14:51
- 15:18→2分後→15:20(59)→1分後→15:21
- 15:22→36分後→15:58(59)→7分後→16:05
- 17:07→9分後→17:16(59)→31分後→17:47
- 18:01→15分後→18:16(59)→14分後→18:30
- 19:06→10分後→19:16(59)→3分後→19:19
- 19:57→15分後→20:12(59)→2分後→20:14
- 20:57→15分後→21:12(59)→14分後→21:26
<本町地区-駅前地区>
ここはさらに本数が増える上に、平行する函館市電が五稜郭公園前→函館駅前で実に106本運行されています。
しかもこの区間内完結であれば、函館市電の方が必ず安くなります。
函館市電の五稜郭公園前~函館駅前間は230円ですが、函館バスのこの地域の初乗り運賃は250円です。
この本数に比べれば59系統の減便15本はわずかです。
なのでこの区間についても、代替便の設定は行わない可能性が高いと考えます。
<まとめ>
旭岡地区-湯の川地区では代替便の設定を数多くした結果、旭岡中学校前→湯倉神社前間は6本減に抑えられていますが、湯倉神社前(3)→亀田支所前間はなんと13本減となりました。
函館バスでは昨年12月に運賃の大幅値上げ(市内中心部+40円)を行って利便性を低下させているにもかかわらず、さらにこれで利便性の低下が進みます。
路線網の維持も大事ですが、本数や運行時間帯も重視してほしいものです。