レッドブル&HRC密着:期待したほどの速さはなし。1ストップ戦略も回避 | 北海熊の独り言

レッドブル&HRC密着:期待したほどの速さはなし。1ストップ戦略も回避

F1第14戦ベルギーGPの予選後の会見で、予選でトップタイムを記録しながら、パワーユニット交換によるペナルティで10グリッド降格し、11番手からスタートすることが決まっていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に、こんな質問が飛んだ。

「マクラーレン勢のスタート位置(フロントロウではなく、4番手と5番手)を考えると、勝てる可能性があると考えていますか?」

 フェルスタッペンはこう答えた。

「金曜日の彼らのロングランペースを見ると、信じられないほど強い。だから、すぐにトップ争いに加わってくると思う。それと僕たちは彼らと違うタイヤを履くことになるから、どうなるかわからない。彼らはハードタイヤを2本残して、あとはミディアム1セットだけど、僕たちは違う(ハード1セット、ミディアム2セット)。それがいいのか悪いのか。明日にはわかるだろう」

 

 

 しかし、今年のベルギーGPはフェルスタッペンの予測とは異なる展開となった。直近のライバルであるマクラーレン勢のペースはフェルスタッペンが思っていたほど速くはなかった。4番手のランド・ノリスはスタートで出遅れて、序盤は7番手を走行。チームメイトのオスカー・ピアストリも4番手までしかポジションを上げられないまま、1回目のピットストップのタイミングを迎えた。

 想定外だったのは、それだけではない。フェルスタッペンの走りも、自身が期待していたほどではなかったようだ。スタートから2周で3つポジションを上げたときは、昨年同様のオーバーテイクショーが見られるのではないかと思われたが、フェルスタッペンもまたマクラーレン勢同様、そこからポジションを上げられないまま1回目のピットストップのタイミングを迎えることとなった。

 フェルスタッペンはこう言う。

「ハードタイヤでスタートしていれば、もっとポジションを上げられた可能性もあった」

 

 

 ただし、今回のレッドブルの敗因は、それだけではない。ダウンフォースレベルにあったように思う。

 予選後の会見で、リヤウイングをミディアム・ロー・ダウンフォース仕様にした理由を、フェルスタッペンは「タイヤに厳しいスパでロングランを安定させるため」と語っていた。

 しかし、この日、トップでチェッカーフラッグを受けたのは1ストップ作戦を採ったジョージ・ラッセル(メルセデス)だったように、タイヤは予想よりも持った。ラッセルはレース後、最低重量違反で失格となったものの、予想外の戦略でレッドブルやマクラーレンといった優勝候補に挙げられていたドライバーたちを苦しめたのは事実だ。その理由をクリスチャン・ホーナー代表はこう説明した。

「1ストップがうまくいく戦略だとは誰も予想していなかった。彼とメルセデスがそれを成功させたことは称賛に値する。ただ我々としては金曜日のデータでは1ストップをやるにはグレイニングが大きいと判断した。いま思えば、路面が新しくなったことをもう少し考慮していてもよかったかもしれない」

 今年のスパ-フランコルシャン・サーキットは、路面が何箇所かで再舗装され、全開率が上がっていた。

 さらに忘れてはならないのが、チーム間のパフォーマンス差が縮まっていることだ。これにより、上位チームがDRSトレイン状態でレースをすることが珍しくなく、結果的にオーバーテイクがしにくい状況となっている。

 夏休み前までの14戦で7人のウイナーが誕生した2024年のF1。明け以降の後半戦も混沌とした戦いとなりそうだ。

 

 

Masahiro Owari