ランド・ノリス、レース後の厳しい態度から一転「フェルスタッペンは謝罪する必要はない」 | 北海熊の独り言

ランド・ノリス、レース後の厳しい態度から一転「フェルスタッペンは謝罪する必要はない」

F1第12戦イギリスGPドライバー会見には、母国グランプリを戦うルイス・ハミルトン(メルセデス)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ランド・ノリス(マクラーレン)が勢揃いした。20人しかいない現役ドライバーのなかで、国籍別で最多というだけでなく、毎戦のように上位争いに絡むトップドライバーたちだ。まずは前戦オーストリアGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と激しいバトルを繰り広げたノリスに、質問が集中した。

Q:ランド、オーストリアGPで起きたことを振り返って、学んだことは?


ノリス:たくさんのことを学んだよ。レースで優勝を争うのが、具体的にどういうことか。予想通りだったり、すでに知っていたこともたくさんあったけど、でもやっぱり違うね。相手も違うし、戦い方も違う。何よりマックスは、他の多くの選手とはまったく違うレースの仕方をしている。それが彼がチャンピオンである理由の一部だと思う。今週末は母国グランプリだし、もっといい仕事をしたいとワクワクしているよ。

Q:フェルスタッペンはレースの仕方が違うというのは、具体的には?


ノリス:細かいところは話せないし、僕から話す必要もないと思う。ひとつ言えるとしたら、マックスのレースは明らかにタフで、いつも限界ギリギリだということだね。そしてそれはレーシングドライバーなら誰でも好きなやり方だし、もちろん僕も好きなことだ。だからマックスとのバトルは、心から楽しんだ。もちろんこんな形で終わってしまったのは残念だったけど、あの事故以外は最高だった。なので今週末のワクワクには、またマックスと戦えるという楽しみも含まれているんだ。

 オーストリアGPのレース直後には、フェルスタッペンに対しかなり厳しいコメントをしていただけに、ノリスがここまでフェルスタッペンを好意的に評価しているのは非常に意外といえた。

Q:オーストリア以来、マックスと話をしましたか?


ノリス:話したよ。

Q:具体的には、いつですか?


ノリス:月曜日も、昨日(水曜日)も話した。何について話したかは、僕たちの間だけのことだ。いつも通りだよ。

Q:彼は謝りましたか?


ノリス:謝る必要はなかったと思う。確かに僕はレース後いろいろ言ったけど、単純にリタイアしてイライラしていたからだ。アドレナリンがたくさん出て、感情が溢れていたからね。でも冷静に振り返れば、大事故というわけではなかった。起こり得る接触のなかで、最も小さなもののひとつと言っていいくらいだ。でもそれが、僕たちにはひどい結果になった。だからマックスからの謝罪なんて、期待していない。謝るべきではないと思う。十分にふたりで話し合ったしね。

 ノリスとフェルスタッペンはプライベートでも仲がいい。そんな関係のよさを十分に窺わせるコメントだった。

 

 

 では他のドライバーたちは、フェルスタッペンのドライビングをどう思っているのだろう。

Q:ルイスもフェルスタッペンと何度も接戦を繰り広げてきました。先週末の事故は、どう思いましたか?


ハミルトン:別に何も。特に気にしていなかった。自分のレースと、チームの勝利を喜ぶことの方が大事だったからね。

Q:他のみなさんはいかがでしょう? フェルスタッペンとバトルをする時、他のドライバーとは違うやり方をする必要がありますか?


ラッセル:いや、正直そうは思わない。マックスは最高のドライバーのひとりだし、走りもハードだ。ルールの限界ギリギリのところで戦うことを余儀なくされる。でもそれって、トップドライバー全員がそうだからね。そしてブレーキング中にラインを変えることに関するルールがどんなものか、僕たちは全員知っている。そしてランドが言ったように、あの事故は非常に小さなことが大きな結果を生んだ。そしてあくまで、レースの一部だった。そういうことだよ。

Q:エステバンは?


エステバン・オコン:今の僕はマックスと直接レースをしていない。違うカテゴリーと言っていいかも。だからコメントすることはないよ。

Q:では、チェコは?


セルジオ・ペレス:ジョージの言ったことに賛成だ。多くのトップドライバーがそうであるように、マックスはあらゆる点で限界まで押し上げていると思う。なのでマックスとレースをするときは、厳しくてフェアな戦いになる。

 公式な会見だからということを差し引いても、ノリスをはじめとするドライバーたちがフェルスタッペンのレースの仕方を尊重し、敬意を払っていることがよくわかった。ただひとり、ハミルトンだけは、過去の数々のバトルの記憶を、いまだに引きずっているようなそっけない返答だったが。