【SF】スーパーフォーミュラ第3戦決勝会見 | 北海熊の独り言

【SF】スーパーフォーミュラ第3戦決勝会見

6月23日、宮城県村田町のスポーツランドSUGOで、全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の決勝レースが行われ、野尻智紀(TEAM MUGEN)が2024年シーズン2勝目を飾った。雨と霧の悪天候に見舞われ、相次いだクラッシュによって赤旗終了となったレースのあと、東北大会を制した野尻と2位となった僚友の岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、3位表彰台を獲得した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、さらに優勝チームより田中洋克監督が会見に出席し、今季第3戦を振り返った。

田中洋克(TEAM MUGEN監督)

「まず予選からお話しますと、昨日の予選で野尻選手がポールを獲って岩佐選手が2番手と、チームとして予選ワン・ツーということで、2018年(開幕戦鈴鹿)以来のワン・ツー。チームとしては本当に最高の予選結果でした」

「その予選結果をもてば今日の決勝は思い切って、良いレースができればと思ってはいたのですが、実際にレースをやってここに来られたかどうかは分かりません」

「結果的には、ファンの皆さんに良いレースをお見せすることができず、中途半端に終わってしまったわけですけど、チームとしてはチャンピオンシップを考えればワン・ツーという結果で終われましたので、ちょっと『万歳!』という感じではないですけれど『まあ、よかったな』と。次は本当に良いレースをお見せできればいいなと思っています」

 

 

野尻智紀(TEAM MUGEN)
決勝1位


「正直、この内容での優勝なので望んでいたかたちではないというところで、昨日話していたような10年ぶりなのかな? SUGOでの優勝というのは、そんなにいいものではなくなってしまったという印象です。ただ、今年のシリーズを考えると大事な1位でもあるので、すごくメンタルの中は複雑な状況ですね」

「レースを振り返ると、やはり非常に難しいコンディションでした。なんとか先頭を走っていたからぎりぎり走れたというくらいスリッピーなコンディションでしたし、本当に数周しかまともに走っていませんが、いつコースオフするか不安になると言うか、そういった状況でつね走っていました」

「ファンの皆さんをすごくお待たせしてしまって申し訳ないレースウイークになってしまったな、というふうに思うのですが、果たして今週このような状況を避けることはできなかったんだろうか、と強く思っています。というのも、ガードレールがむき出しの状態になって当たるであろう場所にタイヤバリアがなかったりしていて、実際にガードレールの補修にかなり時間が掛かったと思います。そういったことって事前に予測はある程度できていて、本当にどうにもならなかったのかというのは、私はすごく強く思います」

「せっかくチケットを買って来てくれているのに『お客さん側が高くついていませんか?』というのはすごく思いますね。なので、本当にお客さんが来てくれるだけのレースのための準備ができていたのだろうか? と思いますし、個人的には改善を求めています」

「次の富士はまたテストを挟みますけれど、次こそはしっかりお客さんに満足して帰ってもらえるようなレースが行われることを強く願っています」

――雨のなか走りながら、そういった想いがより強くなった?

「そうですね、起こるべくして起きている中断だったりしていたな、という感触はありますね。金曜日にトラックウォークをしている時点で『ここ、絶対にタイヤバリアとか必要だよね』『ガードレールに当たったら絶対補修に時間が掛かるよね』という話はしていましたし、そこから打ち上げてもそのタイミングではタイムオーバーで何もできなかったと思うのですけれども、(レース前の)準備が足らなかったのではないかと個人的には思います。そういった意味でも残念なレースウイークになったなと」

「こういった強い意見をしたことで、僕へのどういった言葉も受け止めるしかないかなという覚悟を持って、いま僕はこういう話をさせてもらっています。はい、大変残念なレースウイークだったように思います」

 

 

岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
決勝2位


「まずはレースが最後までできなかったというのは、自分にとってもすごく悔しい思いではあります。やっぱり自分自身として最後まで戦って結果がどうなるかというところで勝負したかったです」

「また、本当にファンの皆さん、現地にお越しくださった方々が長く待ってくださってましたし、レースがまったく再開されなかったというのは、自分としてもいろいろと思うものはありました。ただ正直、天候に関してはどうしようもないので、そこはなにも言えないですけど……」

「自分の結果でいうと2戦連続で2位で、やはり悔しい思いをする一番の立場というか、そういう順位なのかなというふうにすごく感じています。やはり今回の2位も悔しい思いで終わっているので、本当に次戦でしっかりと優勝できるように、その先でも優勝できるようにまた強く、速くなっていけるように準備していきたいと思います」

――ウエットコンディションはどんな印象?

「朝(のFP2)に関しては、このサーキットはコーナーにバンクがついているため、走るラインにあまり水がたまっているという状況はなくコーナーリングは大丈夫でした」

「ただストレートには川だったり、水が多くあったというのが影響して僕の朝のスピンがありました。あの状況は車高の問題ではなく、車高には正直余裕があった状況で単純にタイヤが水に掬われてあのスピンを起こしているので雨量的に厳しい状況だったんじゃないかと思います。そのあと赤旗のあとセッションが再開されませんでしたけど、それだけ難しい状況だったのかと」

「レースに関しても正直、ほぼ似たようなコンディションのなかセーフティカー(SC)でスタートしましたが、正直その段階から自分の経験上けっこう危険な状況でした。もちろん単独で走るのであれば自分のペースで走ることができますが、レーススタートとなれば皆攻めますし、その中でバトルなども起きます。接近戦になるのでやはりそのあたりのリスクはかなり大きくなるコンディションだったのではないかと思います」

 

 

坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
決勝3位


「ウエットの調子はすごく良かったのかなと感じていたので、できればレースをやりたかったというのが本音でした。ただ、2月の鈴鹿のウエットテストはまったく速くなかったので正直、ウエットに対して不安を抱えていた部分はありました」

「練習走行が赤旗などがあって走れなかったなかでうまくアジャストして、決勝の数周でしたけど速さや良いところ、悪いところを確認できたのでウエットに対しては良かったかなと思っています」

「後ろの方だと水しぶきで何も見えないので危ないと思いますけど、正直これくらいの雨でダメなら雨のレースできないんじゃないかなって。雨になった時点でレースができないんじゃなかなって思ってしまうような状況というか、野尻選手が言ってましたけど、僕もその意見にすごく同意というか、思うところがあります」

「クラッシュ(が発生)した場所の安全性だったり、ちょっと雨降ったら走れなくなっちゃうのか、とか。もうちょっとスーパーフォーミュラがウエットでもしっかりと(レースが)できるような環境づくりをしないと『ドライじゃないとレースはできないですね』という話になりかけているような状況に僕には見えています。せっかく雨予報でも来てくれているお客さんに対して、僕らが返せるだけの環境づくりができていないのでは、という部分は本当に今日改めて感じたので、ちょっと危機意識をもってウエットコンディションに対してのやり方というのを考えていかなといけないのかなと思います」

「正直、昨日の時点で『今日はレースができないんじゃないか』と思っていて、案の定赤旗で終わってしまいました。誰にとっても赤旗でレースが終わっちゃうという、これほど残念なことはないと思うので、やっぱり最後まで戦って優勝ドライバーを称えるべきだし表彰台に上がったドライバーを称えるべきだし、本来のレースにあるべき姿というのをもう一度考えたほうがいいと思います。せっかくトップカテゴリーで注目されつつあるので、そのあたりは改めてやっていきたいと思います」

「自分自信のレースとしては3位ですが、連続表彰台ですし右肩上がりで予選、決勝ともにどういうコンディションでも速さは出てきているというポジティブな面もあれば、まだトップをとれていないというところもあります。そのあたりは富士テストもありますし、後半戦に向けてそろそろ勝たないとチャンピオンシップから脱落してしまうのでそういったレースができるように、またチームと一緒に頑張っていきたいと思います」