アルピーヌ、クラッシュゲート事件起こしたブリアトーレ復帰に批判の声も「過去は気にしていない」 | 北海熊の独り言

アルピーヌ、クラッシュゲート事件起こしたブリアトーレ復帰に批判の声も「過去は気にしていない」

アルピーヌF1は6月21日に、チームのエグゼクティブ・アドバイザーとしてかつてルノーF1を率いたフラビオ・ブリアトーレが加入すると発表した。彼の加入には過去の経緯から批判や不安視する声も挙がっているが、チーム代表のブルーノ・ファミンは全く気にしていないと主張した。

 ブリアトーレはF1界のキャリアも長く、ベネトン/ルノーのチーム代表として、ミハエル・シューマッハーとフェルナンド・アロンソと共にタイトルを獲得。実績十分と言えるだろう。

 しかし彼のアルピーヌ加入は、同時に不安を引き起こすものでもあった。

 なぜなら、ブリアトーレはルノー時代の2008年シンガポールGPで、アロンソを勝たせるためにチームメイトのネルソン・ピケJr.に故意にクラッシュさせた、悪名高い“クラッシュゲート事件”を主導した過去があるからだ。

 このクラッシュゲートが原因で、ブリアトーレは一時F1からの永久追放処分も受けていた。ただその後処分は取り下げられ、ブリアトーレは再びF1パドックを訪れるようになった。そして今もシリーズ内の商業取引や、ドライバーマネジメントにも関わっている。

 そのためアルピーヌでのアドバイザー就任は、再編が続くアルピーヌの人事でも、最も驚くべきモノだと受け取られている。

 

 

 しかし世間のそうした見方も、アルピーヌのファミン代表は意に介していないようだ。スペインGPでブリアトーレの過去に関連した質問を受けた際、彼は苦戦するチームの改善に集中しているだけだと答えた。

「過去については大して気にしていない。私は常にこの先を、チームをより良くすることができるかを考えている」

 ファミン代表はそう語る。

「フラビオはF1において40年以上の経験を持っており、彼は勝てるチームの運営方法を把握している。非常に優れた実績を持っているし、何度も世界タイトルを勝ち取っている彼が経験とファイティングスピリットを持ち込んでくれるだろう。彼はグループCEOのアドバイザーとなるが、チームにもアドバイスをくれるだろう」

「彼は多くの人とつながりがある。チームをより速く、良いものへ発展させていくために、我々をサポートしてくれるだろうと確信している」

「私は過去ではなく、未来を見ているんだ」

 なおそう語るファミン代表だが、ブリアトーレのアドバイザー就任と、2008年のクラッシュゲート事件によってルノーブランドとシリーズに与えたダメージをどう精算するのかと尋ねられた時には、直接言及することを避けた。

「チームの競争力をできる限り早く改善することがとても明確な目標であり、我々は強力なサポートを必要としている」

「テクニカルディレクターとしてデビッド・サンチェスを迎えられたことを非常に嬉しく思っているし、とても良い機会だ」

「フラビオの知識や人脈、影響も財産だ。我々はチームの強化のために使えるモノを全て使っている」

 ただブリアトーレはルノーを去って以降も、多くのパドック関係者と友好的な関係を保ってきた。今回のアドバイザー就任のニュースも、寛大な反応で受け止められている。

「我々はこの状況から立ち直るためのチャンスを(ブリアトーレに)与える必要があると思う」

 そう語るのは、メルセデスF1チームのトト・ウルフ代表だ。

「私はフラビオが非常に賢いビジネスマンであることを知っている。彼はF1について非常に多くのノウハウを持っているんだ。私は誰であれ、復帰のチャンスを得るに値すると思っている」

 そしてフェラーリのフレデリック・バスール代表も、ブリアトーレの帰還からアルピーヌが強くなるのなら、良い事だと語った。

「他のチームで起きていることに対してはコメントしたくないのだが、全体としてはブルーノの言ったとおりだと思う。それが彼らのチームにとっての前進になるなら、アルピーヌが戦いに戻って来るのはF1にとっても良いことなんだ」

「我々は経緯は把握しているし、私は彼がその件で代償を支払ったと思っている。今、彼は復帰を許可されたから復帰できているんだ」