【WEC】ル・マンで復帰するアルピーヌのハプスブルク、「キャリア最悪のクラッシュ」を振り返る
フェルディナント・ハプスブルクは、テスト中のクラッシュで背中を負傷し、約2カ月間レースに出場できなかった後、ル・マン24時間レースでアルピーヌからレースに復帰するために「かなり努力した」という。
このオーストリア人ドライバーはポール・ループ・シャタンとシャルル・ミレシとチームを組み、6月15~16日に行われるWEC世界耐久選手権第3戦で、35号車アルピーヌA424のコックピットに戻る。
これは、3月末のモーターランド・アラゴンでのテスト中にクラッシュして背中を負傷し、レースに出場できなくなって以来、ハプスブルクにとって初のレースとなる。
WEC第2戦イモラ、第3戦スパでは、アルピーヌのリザーブドライバー、ジュール・グノンが代役を務めた。
ハプスブルクは、この事故を振り返り、アラゴンの第7コーナーでコースアウトした瞬間を「これまでのキャリアで最悪のクラッシュ」と詳細に語った。
「何が起こっているのか、まったく分からない」と彼は語った。
「壁にぶつかって、なぜそうなったか分からなかった。自分ではクルマから出られないと分かっていたので、チームの助けが必要だった」
「彼らはすぐに反応し、救急車を呼び、本当によく世話をしてくれた」
病院に搬送された後、26歳の彼は事故で腰椎2カ所を骨折したと診断され、しばらくは戦線離脱となった。
「シーズンの初めに聞きたい話ではない」とハプスブルクは語った。
「しかし、ほとんどの面で、コースの別の場所で起こらなかったことに心から感謝していた」
「僕は時速200キロくらいで走っていたが、アラゴンでは場所によっては時速300キロを超える」
「だから、もしこれが500メートルあとに起こったら……という感じだった。その方が怖かったし、コースの安全性と車両の安全性のおかげでどうにかなっていると思った」
「クラッシュした瞬間に『足の感覚があるなら、チェックしなきゃ』と思った。足は完璧に動いていたし、気分も悪くなかった。ただ背中が痛かっただけだ」
「その点では、怪我が軽微で本当に良かった。回復には2カ月かかったが、最高のサポートを受けた。良いチームに恵まれたよ」
回復過程を経る間も、ハプスブルクは、フランスのブランドがル・マンでトップクラスの競技に復帰する頃には、アルピーヌのハイパーカー・ラインナップに復帰できると確信していた。
「正直に言うと、(第3戦)スパで復帰したいと強く思っていた」とハプスブルク。
「脊椎の観点からは回復していたものの、出場しないという決断を下した。長い間ベッドに横たわっていたせいで、筋肉が弱っていただけだ」
「だからチームとしては、僕が出場しないことに決めた。出場したら、おそらく苦労するだろうことは明らかだったからね」
「たくさんトレーニングして、たくさんプッシュして、今は本当に強くなったと感じている」
ポール・リカールで最近行われたル・マン前のテストでA424のコックピットに戻ったハプスブルクは、「まだ完璧ではない」としながらも、レースに復帰する準備はできていると感じている。
「リカールでテストを1日行い、シミュレーターで2日間練習し、ロールアウトを行い、たくさんのトレーニングをした」とハプスブルクは語った。
「現実には、まだ完璧ではない。柔軟性を身につけるにはまだまだ時間がかかる。バックフリップはしないけど、レースでクルマを運転することはできるし、速く走ることができる」
彼はまた、精神面では、ル・マンでチームに加わる前にA424を運転する機会を得られたことは幸運だったと付け加えた。
「トラウマを身体から取り除くのはひとつのことだが、心から取り除くには、少しの浄化が必要だった」とハプスブルクは語った。
「最初の3~4周は『2カ月前に、僕を壊したのはこのクルマだ』って思ったけど、いまは慣れてきている」
「文字どおり3周走ったところで、デルタラップタイムを見ると、チームメイトに遅れを取っていた。そのとき、どうしたら改善できるか、ということしか考えられなかったんだ」