メルセデスF1代表、ハミルトンの”疑念”に反論「ドライバーなら誰でも懐疑的になる時がある」 | 北海熊の独り言

メルセデスF1代表、ハミルトンの”疑念”に反論「ドライバーなら誰でも懐疑的になる時がある」

メルセデスのトト・ウルフ代表は、今季限りでチームを離れることが決まっているルイス・ハミルトンを、チームメイトのジョージ・ラッセルと同等に扱っていると主張する。

 ハミルトンはモナコGPの際、今シーズンはラッセルを予選で上回ることはできないと示唆。この時ハミルトンはわざわざ、ラッセルが新仕様のフロントウイングを独占的に使用していることも指摘し、一部の人々を驚かせた。

 その後ハミルトンが新型のフロントウイングを使わなかったのは、予選でダメージを負った際に、ピットレーンスタートとなってしまうリスクを避けるためだったと明らかになった。しかしラッセルが優位に立っているというハミルトンのコメントは、チーム内でふたりのドライバーの扱いに差がつけられているのではないかという疑念が膨らむ材料になった。

 しかしウルフ代表はこの疑念を否定。曰く、近年のメルセデスがチームメイト同士の争いに介入したのは、2016年のアブダビGPだけだったと主張する。

 このレースは、ハミルトンがチームメイトのニコ・ロズベルグとタイトルを争う、最終決戦だった。そしてハミルトンは逆転での載冠を確実なモノとするために、ロズベルグをトラフィックの中に追いやろうとペースを落とした。そしてピットウォールからは、ペースを上げるように何度も警告を受けた。

 結局ハミルトンは優勝したものの、ロズベルグが2位。この結果、ロズベルグは同年のタイトルを獲得した。

 なおハミルトンは今季限りでメルセデスを離れ、来季からはフェラーリ入りすることが決まっている。そのため現在のチーム内で平等な扱いを受けていない……ハミルトンはそんな疑念を抱いているようにも見える。それについて尋ねられたウルフ代表は、次のように語った。

「ドライバーたちは誰でも、時には少し懐疑的になるのではないかな?」

「私が思うに我々はチームとして、チームメイト同士の緊張した戦いが繰り広げられている中でも、チームとして常にバランスを取り、透明性と公平性を保つよう努めてきたと思う」

「2016年のアブダビGPを除いて、レースをコントロールしようとした瞬間はなかったと思う。それ以来、実際にそういうことをしたことはない」

「ドライバーとしては、自分とチームにとって最高の結果を求めるものだ。それが自分にとって不利になるような時には、疑問に思ってしまうことも理解できると思う」

「しかし我々はふたりのドライバーに2台の素晴らしいクルマ、可能な限り素晴らしいクルマ、そして可能な限り最高の戦略とサポートをするという使命に、100%取り組んでいる」

 

 

 なお今回のモナコGPでは、ハミルトンがチームの対応に疑問を持っていることを匂わせる場面が、前述のコメント以外にもいくつかあった。

 メルセデス勢はハードタイヤを履いてレーススタートに臨んだが、1周目に赤旗中断。その結果、各車がここでタイヤ交換義務を消化する必要性に迫られ、メルセデスの2台はミディアムタイヤに履き替えることになった。ミディアムタイヤでレース距離を走り切るのは当初は不可能だと思われた(実際にはラッセルがミディアムのままレースを走り切ったが)ため、ハミルトンは『僕はそう言ったはずだよ』と、スタート時にハードタイヤを選択したことについて疑問を呈した。また、レース中ピットストップを行なったハミルトンは、チームとのコミュニケーションにミスが生じ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンをアンダーカットするのを逃してしまった。

 ウルフ代表は、チーム内部の緊張感は、厳しい状況でチームの全員が全力を尽くそうとしていることの一部に過ぎないと語った。

「我々は関係性を最大限に活かし、(ハミルトンがメルセデスで)最後のシーズンに最大限の結果を残そうとしている。そしてドライバー同士の場合はいつでもそうだが、誰でもベストを尽くしたいもので、そのために緊張感が生まれる場合もある」

 なお今季ここまでの8戦中7戦で、ラッセルが予選でハミルトンを撃破している。しかしウルフ代表は、これがシーズン中ずっと続くわけではないと考えている。

「この統計に、特別な理由があるとは思わない。ただの統計なんだ」

「残りはまだ多くのレースが残っている。この傾向が今後も続くとは思っていない」