【WEC】中団から抜け出せないキャデラック「現状、優勝争いはほど遠い」とバンバー | 北海熊の独り言

【WEC】中団から抜け出せないキャデラック「現状、優勝争いはほど遠い」とバンバー

アール・バンバーは、キャデラックがWEC世界耐久選手権でライバルのハイパーカーに迫るには多くの努力が必要であることを認め、盛況のシリーズで拡大されたトップクラスで勝利に挑戦するには「ほど遠いようだ」と指摘した。

 バンバーと彼のチームメイトであるアレックス・リンは、降雨の影響を受けた先月の第2戦イモラ6時間レースで10位入賞を果たし、ハイパーカークラスのドライバーズランキングで現在14位につけている。

 昨季2023年から2号車キャデラックVシリーズ.Rをドライブするニュージーランド人ドライバーは、競争が激化しているハイパーカーの分野で順位を上げようとするアメリカのブランドにとって、イモラ後に疑問符が残ったことを認めた。

「イモラではタイヤをうまく使うことができなかったし、レースウイークをとおして全体的にスピードが出なかった」とバンバーはSportscar365に語った。

「イモラでテストを行ったときは悪くなかったが、同じフィーリングやパフォーマンスを再現することはできなかったんだ」

 このように述べた彼はテストの結果とレース中のパフォーマンスとの食い違いに、アメリカン・チームが困惑しているとほのめかした。

「あたり前のことだが、僕たちはレースで勝つために毎週ここにいる。しかし現時点では、僕たちはそこから遠ざかっているようだ。それは僕たちが解決しようとしていることだ」

「イモラでテストを行った際には、明らかに良いペースがあった。それは大方の予想のどこかに入っていたはずなのに、レースではうまくいかなかった」

 彼らにとってイモラでの苦戦は『カタール1812km』でのボディワーク不適合による失格に続くもので、2号車のキャデラックVシリーズ.Rは開幕戦で4位チェッカーを受けるもレースから除外され、獲得するはずだった貴重なポイントを剥奪された。

 バンバーはこのことについて1年の最後に大きな影響を受けると予想する。「カタールでのポイントを失ったことは、間違いなく僕たちのシーズンに大きな影響を与えるだろう。10時間のレースだったし、追加ポイントを獲得できるレースでもあったからね」

「残念だ。1台では本当に厳しいシーズンになることは分かっていた。そんななかカタールで4位に入れば、本当にいい準備ができていたはずだ」

「(失格になっていなければ)ドライバー選手権で4位か5位だったはずだ。厳しい戦いだ。ここでさらにポイントを獲得できることを願っている」

 

【車両後端下部の左右に取り付けられたリヤディフューザー・ストレーキが、許容公差を含むCADモデルの公称値よりも高い位置にずれて取り付けられていることから、車両規定違反となり開幕戦での4位を失った2号車キャデラックVシリーズ.R】

 

タイヤのダブルスティントがポイントに

 バンバーは、1年前に総合5位となったスパでのキャデラックのチャンスについては、まだどっちつかずの姿勢を保っているようだ。

「去年の予選はまあまあだったけど、正直なところレースペースが良かったかどうかは正直わからない」と彼は述べた。

「フェラーリのようなペースはなく、何もできなかった。だから見てみないとわからない。今のところ僕たちは中団に見えるよ」

 バンバーは、キャデラックがライバルチームに比べて後れを取っていると懸念している部分として、タイヤのデグラデーション(劣化)を挙げた。

 これを複雑にしているのが天候だ。週末の天気予報では、決勝レースが行われる5月11日(土)の気温は23℃に達すると予想されており、雨に見舞われた2023年大会よりもはるかに高い。

 スパはタイヤに厳しいサーキットであるため、タイヤの耐久性がさらに大きな役割を果たす可能性が高い。

「(タイヤマネジメントに関しては)僕たちはこれまでかなり良かった。けれど、ここ数戦は間違いなく苦戦している。我々はステップアップする必要がある」とバンバー。

「ライバルチームが適切な一歩を踏み出している。とくにフェラーリだ」

「ダブルスティントでは誰が本当に強いクルマを持っているのかが分かると思う。なぜなら、明らかに摩耗の激しいダブルスティントが、より分かりやすく差が出るからだ」

「ミディアムコンパウンドだけでこれだけ暑ければ、誰にとってもかなりのチャレンジになると思う」

 

【WEC第3戦スパのハイパーカークラスではソフト(白)とミディアム(黄色)のミシュランタイヤが使用される】