アストンとフェラーリ、中国GP予選のサインツ”走行再開”を受け、レギュレーション整理を要請 | 北海熊の独り言

アストンとフェラーリ、中国GP予選のサインツ”走行再開”を受け、レギュレーション整理を要請

F1中国GPの予選Q2で、フェラーリのカルロス・サインツJr.がスピンしてクラッシュ。これにより、赤旗中断となった。しかしサインツJr.はその後も走行を続けることになったが、これについてアストンマーティンが抗議。予選結果が変更されることはなかったが、アストンマーティンとフェラーリはこの事象を受け、レギュレーションを調整するよう求めている。

 

サインツJr.は中国GPの予選Q2で、最終コーナーで走行ラインがワイドになったことで、右側のタイヤをグラベルに落としてしまい、バランスを崩してスピン。そのままコース左側のタイヤバリアにクラッシュしてしまった。

 

 この事故により、予選Q2は赤旗中断。ただサインツJr.は、当該の場所に1分17秒ほど停止した後自力で動き出し、ピットに戻ることに成功した。マシンのダメージはそれほど大きくなく、セッションが再開された後にアタックに挑むこともでき、アストンマーティンのランス・ストロールを抑えてQ3進出を果たした。

 

ストロールがQ2敗退となったアストンマーティンは、F1のスポーティングレギュレーション(競技規則)の第39.6条に基づき、この結果に抗議することになった。

 

 当該の条項には、次のように記されている。

 

「予選セッションまたはスプリントシュートアウト中、車両を走路上に停止したドライバーは、そのセッシ ョンのそれ以降に参加することは認められない」

 

 このレギュレーションは、マーシャルや回収車両など、他のサポートを受けてコースに戻ったドライバーを対象としたもの。これまで、自力で走行を続けたマシンがこのレギュレーションの対象となることはなかった。そしてサインツJr.も、自力でコースに復帰。スチュワードはこれらのことを考慮し、アストンマーティンからの抗議を棄却した。

 

 しかし今回の事象が発生したことをきっかけに、レギュレーションを整理する必要があるとの議論が高まっている。実際この39.6条にも、「外部からの補助を受けた場合」に限定する文言を加えることに合意されていたものの、2024年のスポーティングレギュレーションには、その文言が追加されなかったということがある。

 

「最終的には、物事を明確にするだけだ。スチュワードとは多くの議論があり、彼らが下した決定を尊重しなければいけない」

 

 アストンマーティンのパフォーマンスディレクターであるトム・マッカローはそう説明する。

 

「しかし、メッセージシステムには、マシンが停止したことが明確に記されている。そのため今後は文言が整理され、曖昧さがなくなることを願っている」

 

「レギュレーションには、”そのクルマはそれ以上予選に参加してはならない”と記されている。だから、今後このことは整理されるだろう」

 

 

フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールも、F1のスポーティングレギュレーションがかつてないほど複雑になっていると指摘した上で、今後混乱が生じるのを避けるために、明確な説明が加えられるべきだと、マッカローの意見に同意した。

 

「明確かどうかは分からないが、何が起きたのかをある程度理解する必要があるのは確かだ」

 

 そうバスール代表は語った。

 

「レースディレクターに『再スタートできるか』と尋ねたところ、彼はイエスと答え、それで話は終わった。我々は状況を正確に定義する必要がある」

 

「しかし、レギュレーションがますます複雑になっているということも事実だ。私がこの仕事を始めた時、スポーティングレギュレーションは20ページにすぎなかった。でも今では75ページになっている」

 

「我々全員が抜け穴を見つけようとしているため、レギュレーションはますます複雑になった。でも今回のことに関しては、簡単に説明することができるだろう」

 

 

マッカローは、アストンマーティンのスポーティングディレクターを長年務めているアンディ・スティーブンソンが、サインツJr.のマシンがコース上に停まった直後に、レギュレーション違反の可能性を指摘したと明かした。

 

「アンディはピットウォールで私の隣に座っている。彼は、レギュレーションを隅から隅まで理解しているんだ。彼は百科事典のようなモノだ。彼は長いことここにいるからね」

 

 そうマッカローは語った。

 

「マシンが停止したことが公式メッセージシステムに流れた瞬間、彼は『第39.6条により、彼は走行を続けられないはずだ!』と怒鳴ったんだ」

 

「我々は少し驚いたけどね。抗議したのはそのためだ」