フェルスタッペン完勝に、エンジニアとの”老夫婦”のようなやりとり「僕が間違ってると分かったよ!」
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1日本GPで圧倒的な走りを見せ、チームメイトのセルジオ・ペレスに12.5秒の差をつけて今季3勝目をマークした。
危なげなく独走で日本GPを勝ったフェルスタッペンだが、レース中にエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼと交わした無線でのやりとりが注目を集めた。
フェルスタッペンは「そうだね、1クリックか2クリック(フロントウイングのフラップ角度を)減らしてもOKだと思う」と無線で話すと、ランビアーゼは「僕がそういったっけ? でも分かった。ありがとう」と答えた。
これ自体は少し不思議なやりとりにも見えるが、レース後2人はフロントウイングのセットアップをめぐって意見が対立していたことが明らかになり、それがこの無線のやりとりのきっかけとなったという。そしてそれに沿って最初のピットストップ時にフロントウイングの調整が行なわれた。
これによりアンダーステア気味だったマシンがオーバーステアになり、フェルスタッペンはマシンのバランスにより満足できるようになったようだ。
トップ3記者会見でフェルスタッペンは、このメッセージがモチベーションを高めることにもつながったと説明した。
「言い争いになったわけじゃないけど、『本当にこれで良いのか?』って言われたんだ。僕は確信していたけど、僕が間違っていることが分かったんだ!」
フェルスタッペンはそう語った。
「彼が正しかったんだ」
「ある意味、それが僕を奮い立たせることになった。『今はバランスに完全に満足しているわけではないけれど、それでも彼に怒鳴り返さなくても、できる限り一貫性を保とうとしているんだ』という感じだ。僕たちはとても良い関係だし、そうやって上手くいっているんだ」
金曜フリー走行の段階では後手に回っていたフェルスタッペンだが、フリー走行と予選の間にセットアップを変更したことでRB20のハンドリングが改善。結果としてポールポジション、優勝、ファステストラップ獲得のハットトリックを決めた。
「予選までは満足していなかったけれど、いくつか変更を加えたよ」
「詳しくは言えないけど、今日はそれが役に立ったし、運転しやすくなった」
フェルスタッペンとランビアーゼの無線でのやり取りは、たとえ意見の相違があってもふたりが良好な関係を保っていることを示していると言える。
フェルスタッペンはかねてより、最高のパフォーマンスを発揮するために、”相棒”との良好な関係と率直なやりとりが必要だと主張している。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、2人のことを”老夫婦”と呼び、そのダイナミックさが素晴らしいパートナーシップを生み出したと語っている。
「老夫婦がまた出てきたんだ!」とマルコは話した。
「フロントウイングを何クリック変えるかについて、以前はとても長い議論があった。マックスが主張し、最終的に彼が正しかったことが判明したとき、ジャンピエロは喜んだ」
「マックスと彼のレースエンジニアはとても経験豊富で、データエンジニアもそうだ。彼らは何をすべきかを知っているし、マックスの好みもわかっている」
「それはおおよそ正しい判断だった。最初のスティントの後、最初のピットストップで少し調整する必要があったんだ」