ダニエル・リカルド 痛恨の0周DNF「時間を巻き戻せるなら、ソフトタイヤでスタートするかも」 | 北海熊の独り言

ダニエル・リカルド 痛恨の0周DNF「時間を巻き戻せるなら、ソフトタイヤでスタートするかも」

RBのダニエル・リカルドは、F1日本GPの決勝のスタート直後にクラッシュ。ミディアムタイヤでのスタートで遅れ、ソフトタイヤでスタートしたマシンの集団に飲み込まれたことがその一因になったと考えている。

 リカルドは、惜しくも予選Q3進出を逃して11番グリッドからのスタートとなった。予選でチームメイトの角田裕毅に肉薄したこともあって、これまでの流れを変え、入賞を目指すべくレースに臨んだ。

 スタートタイヤの選択は、上位勢はミディアムタイヤが多数派。一方、中団以降はソフトタイヤをチョイスするマシンも多く、ミディアムタイヤを履く10番手角田、11番手リカルドは後方からそうしたマシンの脅威にさらされることとなった。

 そして迎えたスタートでは、RB2台の蹴り出しは悪く、角田はバルテリ・ボッタス(ザウバー)とニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に抜かれ、2ポジションダウンの12番手に後退してしまった。

 リカルドも集団に飲み込まれ、ターン2を抜けたところで3ワイドに。そしてターン3への進入でアウト側後方にいたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)と接触したリカルドは、あっという間にレースを終えることになってしまった。

「ミディアムを履いて、ごぼう抜きされてしまったよ」

 そうリカルドはスタートを振り返った。

「前のクルマもみんなミディアムだったけど、上手くスタートしたみたいだ。僕とユウキは予想していたほどグリップしていないように見えた。スタートしてすぐにボッタスとヒュルケンベルグが僕たちの間に入って、回り込んでいくのが見えたんだ」

「ターン2では『よし、落ち着いて行こう』と思ってスロットルを踏んだけど、まだ苦しんでいた。僕のアウト側に(ランス)ストロールがいると思っていたから、彼を抑えようとしたんだ」

「ターン3に向けてラインを戻そうとしたときに、そこにアルボンがいたんだ。彼のオンボード映像をみたけど、ソフトを履いた彼のトラクションはとても良かった。僕は彼がそこにいるなんて思っていなかったけど、彼は『そこにスペースがある』って感じだった」

「僕は彼を見ていなかった。でも正直なところ、僕はいつも誰かがそこにいると思っているんだ。1周目だから、コースの幅をフルに使って(他のマシンを)完全に無視するようなことをしたことはないんだ。でも明らかにスペースが足りなかったね」

 リカルドは、戦略的にはミディアムタイヤでスタートするべきだと考えていたものの、もし時間を巻き戻せたら、ソフトタイヤでのスタートを選ぶかもしれないと語った。

「もし時計を1時間巻き戻せるなら、ソフトで走りたいね。でも、僕はミディアムで走りたかったんだ。僕が(ソフトタイヤでのスタートに)反対したわけじゃない。だけど今わかっていることを考えれば、ソフトの方がずっと良かっただろうね」

 リカルドとアルボンのクラッシュで赤旗が掲示され、レースは中断。角田はソフトタイヤに交換してリスタートに臨み、9番手まで挽回。最終的に10位入賞を果たした。

 リカルドにもポイント獲得の可能性があったことを考えると悔しいのではないかと聞かれると、彼は次のように答えた。

「そうだね、予選も0.05秒差でQ3に進出できなかった。ポジティブなこともあったし、今日見せられると思ったこともあった」

「1周目のアクシデントは最悪だね。『ああ、どうすればよかったんだろう』『こうすればよかったかもしれない』という疑問が常につきまとうからね。そう、チームとしてだけでなく、アレックスにとっても残念なことだ」

「今日は特異点的な瞬間というか、雨降って地固まる、みたいな感じかな。24レースもあれば、また1周目のアクシデントに巻き込まれる可能性もある。だからこういうことは起こるものなんだ。そうなれば当然、最悪だ。でも、今日が特別な出来事だったとは思っていない」

「もちろん、レースを経験し、昨日のような何かを少しでも見せられたらよかった。でも、そうだね。火曜日に(ピレリのタイヤ)テストがあるんだ。だから今日走れなかった分は火曜日に取り戻すよ。少なくとも、そこから得られるものが少しはあるはずだ」

 クラッシュとは関係なく、リカルドは次戦中国GPで新しいシャシーを手にする予定となっている。これは自らが走らせているマシンに何か問題があるのではないかと以前リカルドが示唆していたことを踏まえたものだ。

 予選で角田と遜色ない走りをしていただけに、すでにそうした疑念は解消されているのではないかと聞かれると、リカルドはマクラーレン時代の経験も踏まえ、念の為の交換だと付け加えた。

「まだ気になっているのは確かだ。少なくとも、問題ないと安心できるよ。以前にも、何かしらの理由で上手くいかないシャシーに対して、懐疑的になることもあったんだ」

「(マクラーレン時代の2021年)モンツァで彼らはそのシャシーをリタイアさせようとしたんだ。だからロシアから別のシャシーだったんだけど、ロシアでは散々だったんだ。僕は覚えているよ。だからその後『みんな、このシャシーはいらないからあのシャシーを返してくれ』って言ったんだ。その次のオースティンのレースでは、またシャシーが戻ってきたんだ」