アストンマーティンF1、今年で43歳の最年長フェルナンド・アロンソは「ルーキーのように熱い」 | 北海熊の独り言

アストンマーティンF1、今年で43歳の最年長フェルナンド・アロンソは「ルーキーのように熱い」

フェルナンド・アロンソは確かにF1ドライバーの中で最年長かもしれないが、アストンマーティンは彼からルーキーのような熱量を感じ取っている。

 

2022年夏、アルピーヌのフェルナンド・アロンソは翌シーズンからアストンマーティンに移籍することを発表した。しかし当時の世間の目は懐疑的であった。大ベテランであるアロンソの電撃移籍は、必ずしも成功したものばかりではなかったからだ。

 

ただアロンソの移籍のタイミングは抜群であった。アストンマーティンが2023年の開幕に合わせて開発していたマシンは大当たりで、アロンソは42歳にして開幕8戦で6度表彰台を獲得するという大活躍を見せたのであった。

 

 これはアロンソの前任者であるセバスチャン・ベッテルが引退までの2シーズンでマシン開発に大きく貢献したことのあらわれだとして称賛されたが、アロンソのまるでルーキーのようなエネルギーと労働意欲がなければ、これほどの躍進はなかったかもしれない……そう実感しているのが、チーム代表のマイク・クラックだ。彼は次のように語る。

 

「より小規模なチームに移籍することになったドライバーというのは大抵、キャリアが終わりを迎えるまで『貰えるものは貰っておこう』という精神でいるものだ」

 

「(アロンソの)それは今まで見てきたものとは違っていて、完全に正反対だった」

 

「まるで1年目かと思うようなドライバーがやってきたんだ。彼はエネルギーに満ち溢れていて、ただ走らせるだけではなく、自分自身を突き動かしていた」

 

「まさに模範となるような人間で、オフィスにも一番乗りで来ていた。オフィスに来ると必ず彼が座っていて、『やあ、みんな』と言うんだ。それが良い影響を与え、チームを押し上げていった。我々は1年前よりもかなり良いチームになった」

 

「もちろん他の人たちの貢献も大きいし、決してそれだけではないが、彼がいたことによって大きく成長できたと思っている」

 

 

 チームのパフォーマンスディレクターを務めるトム・マッカローも、アロンソの不屈の精神がチームを前進させたと考えている。政治的でチームメイトにも厳しいという評判もあったアロンソだが、その働きぶりは期待を超えるものだったという。

 

「彼は最初から、毎日ポジティブな力を与えてくれた」

 

「彼は本当に厳しい。彼のことをよく知っていたわけではないが、大体どういう人間かという見当はついていた。しかし彼がどれほどハードに追い込むか、どれほど効率的なフィードバックをするのか、どれだけ知識があるのか……そういった点は印象的だっだ」

 

 

 アストンマーティンはシーズン中盤に伸び悩んだ。後半戦のアロンソは2回の表彰台獲得にとどまり、ドライバーズランキングは4位。チームメイトであるランス・ストロールも、戦闘力が落ちていくマシンの弱点を克服するのに苦労し、低迷した。チームはコンストラクターズランキングでマクラーレンに抜かれ、5位に終わった。

 

 こういう状況に陥った場合、かつてアロンソが所属していたチームでは緊張状態に陥っていたかもしれない。しかしクラックは、チームが調子を落としてもその調和が損なわれることはなかったと語る。

 

「どちらのドライバーも、我々の(マシンが)持つ特性に苦しんでいたと思う」

 

「メディアに注目を浴びることもなく、お互いに敵対したりすることなく、それに対処できたことを我々は嬉しく思っている」

 

「私はプライドがある方の人間ではないが、もし何か誇りに思うことがあるとすれば、我々がそうやって団結したことだ」

 

 先日、アストンマーティンのファクトリーでシート合わせに向かうアロンソの動画がソーシャルメディアに投稿されたが、その際のアロンソのコメントからも、彼がルーキーのようなエネルギーを持ち合わせていることの一端が感じられた。彼はF1参戦21シーズン目を迎えるにもかかわらず、未だ「ソワソワする」のだという。

 

「F1での21年目を迎えてもなお、(かつてと)同じくらいのアドレナリンが出るんだ」とアロンソは言う。

 

「F1に参戦して何年過ごしてもそれは変わらない。未だにソワソワする時があるんだ」

 

「どうすればマシンに乗ってもっと速く走れるか、良いドライバーになれるかをしょっちゅう考えているんだ。今年のレースを見直すと、各チームや各ドライバーの色んなライン取り、色んな戦略が見えてくるんだ」

 

「ドライバーの視点からは、より良くなりたいという好奇心が常にあるし、学ぶことや上達することを止めるつもりはない」

 

 

 2001年にF1デビューを果たしたアロンソは、7月に43歳を迎える。彼は自身のドライビングが衰えること以上に、F1カレンダーのレース数が拡大していくことの方が引退を決断させる要因になるのではないかと考えている。

 

それほどに衰え知らずのアロンソだが、クラック代表はアストンマーティンがアロンソとの契約をさらに延長したいと考えていると語る。

 

「私はそれを強く願っている」とクラック。

 

「関係を続けられたらと思っている。今のような協力関係を続けることができれば、それは永遠に続けることができるだろう」